
アジア各国を中心にアプリ開発のクラウドソーシングを展開するセカイラボの親会社であるモンスター・ラボは2日、エンジニア人材大手のパソナテックと DG インキュベーションから合計4億円を調達したと発表した。両者の具体的な出資額、出資比率などについては開示されていない。今回の調達にあわせて、具体的な提携内容についても発表された。
パソナテックとの提携では、親会社パソナグループ傘下1,000名、パソナテック70名の営業部隊と連携、パソナやパソナテックのクライアントが不足するITエンジニアの需要を、セカイラボが世界15カ国に展開する現地エンジニア総数10,000名にアウトソースすることが可能になる。パソナテックによれば、エンジニアの需要と供給のバランスを表す求人倍率は約8倍に達しており、日本国内のエンジニアだけでは需要をまかなうのは難しい状態となっている。特に、スマートフォン関連のアプリ開発の人材需要の急増が顕著であることから、受託開発や地方人材など、さまざまなソリューションメニューの多角化を図る過程で、今回の提携に至ったとしている。
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セカイラボは9月にアメリカ現地法人を設立し、サンフランシスコとロサンゼルスを拠点に営業活動を開始している。DGインキュベーションからの出資を受けて、親会社であるデジタルガレージとの連携により、セカイラボはデジタルガレージのサンフランシスコ拠点 DG717 にオフィスを間借りし、シリコンバレーのフィンテックやデジタル・マーケティング分野のアプリ開発需要の掘り起こしを強化する。デジタルガレージは社内に開発チームを持っていないため、デジタルガレージ社内や投資先企業の開発需要の受託にも狙いがある。
セカイラボのアウトソーシングを使うことで、日本やアメリカのクライアント企業は、従来の半分から3分の1程度のコストでアプリの開発が可能になる。セカイラボでは、プロジェクト単位でアジアの開発拠点にエンジニアチームを構成、日本にディレクターを置いたり、現地にブリッジSEを置いたりすることで、クライアントのニーズにあった円滑なアプリ開発を実現する。
オフショアのアウトソーシングをする上では、現地エンジニアの質の向上とローヤルティの確保が重要だが、この点について、セカイラボおよびモンスター・ラボの代表を務める鮄川宏樹(いながわ・ひろき)氏は、レベルの高い仕事をアサインし、社内に風通しのいい文化を作ることで、エンジニアの満足度を高める努力をしていると強調する。
(海外拠点で業務に従事している)エンジニアたちは、セカイラボが成長している会社だというイメージを抱いてくれている。ベトナムのダナンのラボ拠点でも200名とかいう規模なので、現地は指折りの規模の大きなシステム会社とみられている。
年功序列の色合いが残る日本よりも、海外はパフォーマンス重視なので、納期管理や勤怠管理もしっかりしている。オフショアは時代の流れだが、セカイラボが大企業と現地エンジニアの間に入ることで、大企業がとれないリスクをスタートアップであるセカイラボが先行して取ることで需要に応えていきたい。
モンスター・ラボは2006年の創業。インディーズ音楽配信サービス「monstar.fm」、インターネットBGM放送サービス「monstar.ch」をリリースし、2014年2月にシンガポールに100%子会社のセカイラボを設立。今回のラウンドに先立ち、2014年8月に、East Ventures、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタルから1.2億円を資金調達している。
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