ブロックチェーン関連を手がけるテックビューロは12月28日、ECプラットフォーム事業を展開するロックオン【3690】と共同でECサイトの受注エンジン開発の共同実証実験を実施すると発表した。テックビューロの提供するプライベート・ブロックチェーン技術「mijin」を応用したもので、大型ECサイトのバックエンド運用コストを最大3分の1程度に圧縮できる可能性があるとしている。
主に金融関連技術であるフィンテックの分野で、そのセキュリティ面の高さとコスト圧縮の可能性から多いに注目を集めるようになったブロックチェーン技術をECに応用するのが今回の実験となる。同社の説明によれば、秒間数百件の受注があるような大型ECサイトでもゼロダウンタイムの堅牢なインフラを安価に提供できるとし、さらにロックオンが提供するECオープンソースパッケージ「ECCUBE」に展開することも予定されている。
テックビューロの実証実験は先日、本誌でもご紹介したさくらインターネットとの連携が記憶に新しい。フィンテック分野、特にビットコイン文脈で語られることの多かったブロックチェーンを意欲的に他分野に拡大させる活動を続けており、今回のロックオンとの共同実験もその一環とみていいだろう。
ブロックチェーン関連については前回記事同様、テックビューロ代表取締役、朝山貴生氏のこの連載記事を参照されると理解がしやすい。
ECの負荷分散についてはCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の発達により画像などの処理については容易になったものの、勘定データベースについてはサーバーなどの機器増強が解決策の中心だった。
これをブロックチェーンの持つ自動的な遅延処理によってゼロダウンタイムを実現し「秒間数十オーダーのピークに併せて必要だった1千万円上の年間コストが、mijinのブロックチェーンとECCUBEの組み合わせによってライセンス料を含めても年間数百万円未満に圧縮」(同社リリース)できるとしている。
セキュリティやデータの整合性についても、ブロックチェーンの二重払い防止機能、内部データ改ざん防止機能などを活用することができ、従来ソリューションよりも高い安全性を備えた環境が構築できる。この辺りはビットコインが証明してくれている点がやはり強い。
ロックオンとテックビューロでは2016年1月からこの実証実験を開始し、将来的なロックオンによるmijin利用パッケージの独占販売なども視野に入れているという。「mijin」は2016年夏にオープンソースとして公開予定で、商用ライセンスの価格は年間で数十万円程度を予定している。
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