アプリテストマーケツールのDeployGate、米国法人を設立しグローバル展開に向けた一歩を踏み出す

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スマホアプリのテストマーケツール「DeployGate」を開発するデプロイゲート社が、米国法人設立と発表した。

デプロイゲート社はミクシィ社からスピンアウトしたスタートアップで、開発途中のテスト版アプリを配布しアプリローンチに向けたユーザフィードバックなどのマーケティングを行う開発ツールを提供している。スピンアウトしたのは2015年2月末で創業から1年を迎えたばかりだが、サービス自体はすでに3年以上を経過しており、現在では個人開発向けやスタートアップなどのスモール企業向けのプランから、大企業向けに複数アプリの管理や人事管理をしやすくするエンタープライズプランなどを提供している。ミクシィ、リクルート、クックパッド、最近では大手ゲーム制作会社への導入が進んでいるという。

ABC社が運営するAndroidゲーム総合メディア「ゲームギフト」と連携してスマホゲーム向けのテストマーケサービス「サキプレ」も展開。それまでのコンソールゲームは、完成してリリースしてからユーザの反応やフィードバックがあることから、徹底して作りこむために制作期間が長期化することは多々あった。しかし、ゲーム業界も次第にスマホシフトが起きつつあるなか、ベータテストを容易にすることで開発者とユーザが一体となってゲームを作りこみ、またサービスやアプリのファンづくりを事前に行うというこれまでにないゲームのリリース方法の道を築き上げてきた。

「最近では、ゲーム業界の方々から口々にDeployGate使ってます、と言っていただくようになった。ゲーム業界のスマホシフトと連動する形で、新しいゲーム開発の環境を提供するツールへとなっていったのは大きい。すでにサキプレからのアプリの配布端末数も4万台を越え、クライアントからも、リリース前に売れるか売れないかが分かる、サキプレのアンケートで3.5点以上を獲得するとGooglePlayストアの平均スコアも3.9を見込めたり、サキプレ参加者のアンケート回答率も30%を越えてて、リリース直前の改善点が抽出できる、などの声をいただいています」(CEO藤崎氏)

2015年7月には、Slack、HipChat、ChatWorkなどの連携機能も提供し、開発ツールと社内のコラボレーションツールとのやりとりが容易となり、開発のフィードバックもスムーズだという。8月には、開発技術のアワードCEDEC AWARDS2015にて優秀賞を受賞、WWDCやGoogle I/Oなどの米国のカンファレンスに定期的に参加し、現地の開発者向けサービスでクラッシュログ解析サービスの「Crittercism」と共同でイベントを開催するなど、着実にグローバルの開発者コミュニティにもサービスを浸透させてきた。以前のインタビューでも話しているように、CrittercismやGitHubなどの開発者と密にコミュニケーションをしており、当初からグローバル視点で徹底して開発者に目を向けたサービスづくりに力をいれている。

すでに100カ国近くにサービスが使われ、開発者も日本は半数、次に欧米各国や北欧系など、サービスリリース時からグローバルでの利用が浸透していた。また、Android版を早々にリリースしたことから、ブラジルなどのAndroidシェアの高い地域などでも開発者に重宝されているという。

「チームが無駄なく機能できるようなルールや組織作りをはじめ、お客様からのお問い合わせやご要望に迅速に対応できる体制を整えました。結果的に数々のお客様にご利用いただくことができ、第1期を無事に黒字で終えることができました」(COO安田氏)

こうした状況を踏まえながらも、エンタープライズ向けのサービスにおいてカスタマーサポートや現地開発者たちの意見を参考にツールのブラッシュアップをするためにも現地拠点の必要性を実感。今後のグローバル展開の足がかりとして、米国法人の設立を行うと発表した。現地法人に伴い、DeployGateの完全子会社として米国法人を設立。COOである安田氏が米国法人の代表を兼務するという。

開発者向けサービス事業者との提携も視野にいれながら、ツールとしての拡充も図っている。最近では、開発ソースから自動ビルドするdg commandの実装など、「アプリを作る人達の開発環境をどれだけ簡単にするか」をテーマにサービス強化を図っている。このあたりは、DeployGateブログに日々更新内容をアップデートしている。

着実に売上の目処が立っていることや組織づくりや検証ニーズの堀りおこし、プロダクトのブラッシュアップ、サポート体制を丁寧につくっていく考えから、現在のところは資金調達はせずに資本金と売上で事業を回す予定だという。開発者たちの声を聞きながら製品をつくり上げるために、春からは自社でオフィスを開設し、開発者同士がコミュニケーションできる場も定期的に開催していく。メンバーも創業の3人に加えて、リモートで開発やデザインやサポートを行うメンバーなど、チームビルディングもできつつある。

「開発者の人たちに着実に必要とされるツールとして育ってきた。特に、IT業界だけでなくゲーム業界などのニーズは高く、多くの企業や開発者たちがアプリローンチ前のテストマーケの重要性を理解しはじめている。良い形で開発者とユーザがコミュニケーションできる場を用意していきながら、期待を裏切らないアプリを作り続けるために『みんなで作る』を当たり前にするツールとなれるようにしていきたい」(藤崎氏)

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左から二番目が安田氏、三番目が藤崎氏

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