実名グルメアプリ「Retty」がシリーズDでWiLらから11億円を調達——MAU2,000万人からさらなる高みへ

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Retty 代表取締役 武田和也氏

日本のソーシャルグルメアプリ「Retty」は28日、シリーズDラウンドで11億円を調達したことを発表した。今回のラウンドは WiL (World Innovation Lab)がリードし、朝日放送の CVC である ABC ドリームベンチャーズEight Roads Ventures Japan が参加した。なお、Eight Roads Ventures Japan(旧称:Fidelity Growth Japan)は、2015年3月に行ったシリーズCラウンドにも参加している。これまでに、開示されている Retty の調達金額の合計は25.5億円に上る。

今回調達した資金は、海外版サービスの開発、レストラン向けのダッシュボード機能の開発強化、グローバル展開に対応可能なインフラ整備のためのエンジニア採用に活用するとしている。

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Retty の月間利用者数(MAU)の推移

あわせて、同社は2016年5月に、Retty の月間利用者数(MAU)が2,000万人を突破したことを明らかにした。2015年5月に MAU が1,000万人だったことからすると、初めの MAU 1,000万人の確保にサービスのローンチから約5年間かかったのに対し、直近1年間はその5倍のスピードでに MAU が増加したことになる。なお、Retty ではモバイルの(アプリではなく)ウェブサービスのインタフェースを5月にリニューアルしている。

かねてから海外展開を標榜する Retty だが、その道は容易なものではないようだ。2012年にはアメリカやシンガポールへの進出を画策したが、その試みは一度撤退を余儀無くされた。2015年の MAU 1,000万人突破発表の記者会見で明らかにされた年内のアジア向けの本格進出についても、現時点ではまだ実行に移せていない。ただ、Retty 代表取締役の武田和也氏によれば、2020年までに MAU 1億人を達成する目標は揺らいでおらず、この数値は日本国内の市場のみをターゲットにしていたのでは実現できないため、海外展開することについては必須だとした。

どの国から始めるかは、まだ具体的に言える段階にない。ただ、アジアから順次広げていきたいと考えている。(武田氏)

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5月にリニューアルした、モバイル版ウェブのインターフェイス

Retty の場合、海外展開を行うといっても、現地にオフィスを構えるわけではなく、基本的には東京で現地語対応を行い、現地のユーザをエンゲージメントしていくというプロセスをとるため、B2C のサービスを展開する上においては、大きなリスクは生じない。Retty では現在、収入の多くを店舗向けの集客支援と国内のナショナルクライアントからの広告出稿に依存しており、海外でも現地エージェントなどを活用すれば、日本と同じモデルでのビジネスを構築することが可能だろう。

レストラン向けの売上向上や営業効率化を狙ったサービスでは、日本のトレタがシンガポールでの営業を開始したほか、シンガポールの TabSquare や台湾・香港の iChef(資厨)など数々のレストラン向け台帳サービスやクラウド POS サービスが業績を伸ばしているが、武田氏は、これらのスタートアップは Retty にとって競合ではなく、将来的に協業できる相手となる可能性があると語った。実際のところ、国内では現在、Retty は HotPepper や OpenTable といったサービスと提携している

グルメサイトのトレンド5年ごとに変化を迎えると言われる。Retty の iOS アプリが生まれたのが2011年11月であることを考えると、Retty にとっては、次の高みを目指す上で、今年は大きな正念場になるに違いない。

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Retty のオフィスで、打ち合わせに余念の無い社員の皆さん

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