Baidu(百度)、自動運転車戦略強化のため電気自動車スタートアップNextEV(蔚来電動汽車)への投資を計画中か

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中国のネット巨大企業 Baidu(百度)は、国内の電気自動車メーカー NextEV(蔚来電動汽車)に1億米ドルを投資する計画で、不振の自動運転事業に弾みをつけたい考えだ。今のところ詳細については公表されていない。TechNode(動点科技)は Baidu に直接確認してみたが、同社はコメントを拒否した。

この Baidu と NextEV の提携は、減益によって打撃を受けたネット巨大企業 Baidu が立て直しを図るための大きな動きの一つと言える。現在、Baidu は将来的な成長を促すために人工知能事業に大きく賭けている。 Baidu は無人運転技術の研究開発をスタートさせるにあたり、2013年にディープラーニングの研究所 Institute of Deep Learning(百度深度学習研究院)を設立している。

しかし、同社はここ3年間で BMW や Chery Automobile(奇瑞汽車)などの自動車メーカーと提携を進めたものの、具体的な成果は挙がっていない。自動運転車部門を担当していた シニアVP のWang Jin(王竞)氏などのメンバーがコアチームから抜けたことで、ただでさえ暗かった見通しはさらに悪化した。

Baidu は中国で初めて自動運転車事業へ参入した企業で、車の製造を行う予定はないものの、自動運転技術関連ソフトウェアに焦点を当て、センサーモジュールや自動運転システムの脳にあたる技術をパートナーに提供していくようだ。今回のNextEVとの提携はこうした戦略に沿ったものである。

2014年11月設立の NextEV は、高性能電気スポーツカーの研究、開発、生産に特化した企業だ。上海に本社を置く同社は欧州や米国にもオフィスを構え、世界中に2,500人以上の従業員を抱えている。NextEV は昨年、最初の電気自動車「NIO EP9」をロンドンで発表した。

NextEVは2015年6月から3回のラウンドで6億米ドル以上を調達し、次のシリーズDでBaiduとの提携が実現する見込みである。NextEVを支援する投資家には、Sequoia Capital(紅杉資本)、Tencent(騰訊)、JD.com(京東商城)、Hillhouse Capital(高瓴資本)、Joy Capital(愉悦資本)、Temasek、TPG Growth などがいる(中国語)。

政策支援と技術革新によって、自動運転業界は急成長期に入ると予想される。 2020年までに、市場規模は中国の自動データ収集システム(ADAS)分野だけでも200億人民元に達すると推定されている(中国語)。

電気自動車や自動運転技術の発展によって、自動車製造業における業界のルールや利益分配パターンを変わってきた。そうしたこともあり、既存の中国電気自動車メーカーだけでなく、流れに乗って絶好の機会をモノにしようと考えるスタートアップが増えている。

自動運転車市場は利益の見込める市場であると考えられ、中国動画配信大手LeTVなど他業種の企業でさえその分け前にありつこうとしている。 LeTV(楽視)は電気自動車の研究開発に取り組んでいるとされており、昨年10月にサンフランシスコで開催されたスペシャルイベントでは、新たなコンセプトカー「LeSEE Pro」の展示を行った。

参加するプレイヤーが増え、ますます競争が熾烈になる中で、Baiduにとって今回の提携は自らを成功に導く良い買い物になるかもしれない。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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