グーグルのDeepMind、AIを使って腎臓の症状悪化の早期検知に挑戦、米国退役軍人省と協業

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上:Meet DeepMind Health

Googleの子会社DeepMindは22日、マシーンラーニングを活用して入院中に患者の症状がいつ悪化するかを予測するために、アメリカ合衆国退役軍人省と協業していることを発表した

患者の症状の悪化は、医療サービス提供者が命に関わる危険性のある重要なサインを見逃してしまう可能性があるため、重要な問題となっている。DeepMindと退役軍人省は、患者の腎臓の機能が一時的に停止してしまう急性腎障害の解決に取り組むことを目指す。急性腎障害は、治療をしなければ致命的である。

DeepMindのゴールは、急性腎障害を検知するためのアルゴリズムを改良し、医者と看護師がより迅速に患者を治療することだ。DeepMind Healthの臨床チームを率いるDominic King氏はブログ記事で、両組織はこの症状に関する知見がすでにあるため、問題解決の最初の対象に選んだとコメントしている。

DeepMindは、詳細の個人情報を抜いた状態の70万名分の医療記録にアクセスできるようになる。この記録を使って、同社と退役軍人省はマシーンラーニングを使って急性腎障害の予測が可能かどうかを理解することを目指す。

ここで特筆すべき重要な点の一つは、現在のマシーンラーニングのアルゴリズム、利用可能なデータ、またその他の要素をもってしても、この課題がAIの利用を通じて最終的に解決できない可能性もあるという点だ。

DeepMindはまた、医療データを扱うという繊細な領域に踏み込むことになる。同社は、国民の匿名の医療データにアクセスするために英国の国民保険サービスとの間に交わした契約が法律を遵守していないと主張する英国のデータ保護監視団体と昨年衝突した経緯がある。

退役軍人省もまた、データ保護の問題にぶつかった。2016年、同省は退役軍人の医療情報を活用して疾病を予想する計画だったAIスタートアップのFlow Healthとの契約を解約している。退役軍人の遺伝子データと医療記録を使って今後5年間取り組む予定だったスタートアップにとっては突然の結末だった。

こうした状況はあれど、マシーンラーニングの適用は医療領域で可能性を示し始めている段階だ。Google Brainのチームは、コンピュータビジョンを用いて心臓疾患を検知できることを今週発表したばかりだ。DeepMindの仕事は、病院における死亡の主要な原因を軽減できる可能性がある。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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