2017年にICOした235件が集めた金額は37億ドルーー失敗するプロジェクト、その4つの理由

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ICO(イニシャル・コイン・オファリング)関連の調査サイトCoinScheduleは、2017年に235件のICOプロジェクトが開始されたと報じている。これらは合計で37億米ドルを調達しており、スタートアップがこういったICOを通じた資金調達を利用する最大の理由の1つとして、伝統的な金融機関を通じた複雑な資金調達プロセスの回避を挙げている。

起業家たちは投資家を引き付けようとし、また投資家はプロジェクトがどんなものか探ろうとしている。こういったマッチングが上手くいけばプロジェクトは成功し、発行されるトークンの売買によって大きな利益が生み出されることになる。例えば過去にはこういった成功例がある。

  • スマートコントラクトプラットフォームのイーサリアムは2015年に実施したICOで1800万ドルを調達し、トークン価格は0.4ドルから14ドルに値上がりした。
  • データストレージソリューションのためのクリアリングハウスを提供するファイルコインは2017年に2億5700万ドルを調達している。

一方で多くのICOは失敗に終わっている。その確率は実に75%〜90%とも言われる。

というのも、ICOをする起業家たちは資金調達の数字を報告することなく黙って逃げ出すこともあるからだ。実際、Bitcoin Market Journalの分析によれば、600件のICOプロジェクトを評価したところ、資金調達の終了日まで実施したものは394件に過ぎず、その内、報告をしっかりやっていたのは35%しかなかったそうだ。こういった報告がない場合のICOは最終的に失敗している可能性が高い。

ではなぜ彼らはそこまで高確率で失敗するのだろうか?

ひとつは無数のICO詐欺の存在だ。ここには無知であまりよく調べていないしょっぱい投資家や、そしてイーサリアムのような強力なチームを謳うスタートアップが転がっている。

別のリスクもある。例えば構築しているチェーンテクノロジーがスケーラビリティの問題を処理しきれない可能性もある。スマートコントラクト上の不具合を誘発したり、セキュリティ問題を発生させることにもつながる。こういった明白なリスク以外にも失敗にはいくつかの理由が考えられる。

小さい市場での競合

暗号通貨の利用ユーザーと投資家はまだ投資市場全体から見ればわずかな割合しか占めていない。また事業計画によっては、プロジェクトに応じてターゲットとなる投資家がさらに分割されることもある。こうなればクラウドセールキャンペーンは非常に小さなターゲットオーディエンスにのみアピールすることになりかねない。結果として、そのようなプロジェクトは目標とする資金調達を達成できなくなる。また多くの場合は次の原因と密接に関連している。

創業者が野心的すぎる

ICOコンサルティングを手がけるOGS Capitalによると、多くの創業者がビジネスモデルに真剣に取り組まず、大口の投資家向けのアピールに終始する場合があるのだそうだ。こういう場合、長期的なICO価格の維持に失敗する。

そしてこういう拙速な行為をすることで、ICOプロジェクト中の起業家の評判を落とすことになる。たとえば、トークンの大口購入が可能な投資家だけをディスカウントなどで優遇する行為は、小口の投資家が去る原因になるし、ICO資金がハッキングに遭遇する可能性もある。こうしたタイプのプロジェクトは投資家に疑念を抱かせ、躊躇させることにつながる。

長期の価値を正当化できない

時間の経過と共にトークンが増加するためには十分な需要がなければならない。そもそもトークンの拡大が持続不可能な場合、この状況は明らかに崩壊し、その暗号通貨はただのゴミになってしまう。買い手のいない無価値なトークンを保有しつづける人はいない、という単純なことだ。暗号通貨の設計がそんな状況であれば、当然ながらプロジェクトは上手く成長しない。

規制

中国は昨年に自国の経済的安定に対する大きな脅威であるとしてICOを禁止した。これは一時的なものかもしれないが、市場に活況が戻ってくればさらに規制が厳しくなる可能性もある。米国の証券取引委員会では最近になってDAOを有価証券に指定しているので、ICOも同じルールが適用される可能性がある。また他国もこれに続くかもしれず、こういった見通しは投資家を萎えさせることにもなりかねない。

もう1つの問題は、暗号通貨と法定通貨のエクスチェンジだ。5万ドル以上の暗号通貨を保有する投資家は、米国の銀行や他の多くの銀行で検査対象となることになるだろう。実際問題としてあまりにも巨額の暗号通貨を交換した場合、その預金の受け入れは難しくなる可能性がある。

これらのリスクがICOの大きな失敗率につながっている。調達を考えるスタートアップは、それらを販売する前に、こういった事項を考慮すべきだろう。

【原文】