CES 2019: Lora DiCarlo、マイクロロボティクスなセックストイの受賞を取り消したCESは間違っていると批判

by Dean Takahashi Dean Takahashi on 2019.1.19

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Lora DiCarlo の CEO Lora Haddock 氏は、ロボティクスセックストイ「Osé」の CES イノベーションアワード受賞を CTA に取り消されたと話している。
Image Credit: Lora DiCarlo

Lora DiCarlo のチームはセックスポジティブなマイクロロボティクスのセックスト「Osé」 が CES イノベーションアワードを受賞したとの手紙を Consumer Technology Association(コンシューマ技術協会)から受け取り、ラスベガスで今週(1月第2週)行われる大規模なテック展示会 CES 2019で披露するチャンスが与えられて非常に喜んでいた。

しかし、(かつては Uccellini LLC として知られていた)同社の設立者 Lora Haddock 氏は、以前は Vela と呼ばれていたこのデバイスへの賞を CTA が取り消し、大部分が女性で構成されたチームは打ちひしがれたと語った。彼女は取り消しの決定についてのみ訴えているのではなく、性差別やセックスポジティブな女性向け製品と男性向けデバイスの取り扱いの一貫性のなさについて批判している。確かに、不可解な点の1つは、CES ではセックストイは禁止されていないということだ。

Haddock 氏は VentureBeat の取材でこう述べた。

私たちの産業はメインストリームになります。弊社がこの件を暴露したいと思ったのは、非常に差別的だからです。CES やテック産業と性差別という問題に関して、行動や変化を起こしたいと思い公表しました。賞を取り戻せるという妄想は持っていません。ですがこれは女性たちが自分自身のために立ち上がる機会です。

Lora DiCarlo のマーケティングディレクター Sarah Brown 氏はこう付け加えた。

CES とテクノロジーには性差別的な問題があります。女性や男性以外の CES 参加者に対する敵意です。これは長い間ずっと続いている議論です。

今週(1月第2週)ラスベガスに18万人を集めると思われる CES のこの問題を、同社は提起したいと考えている。

広報の Sarah Brown 氏(当然 Lora DiCarlo の Sarah Brown 氏とは別人である)はこう述べた。
Vela は既存の製品カテゴリーのいずれにも当てはまらず、イノベーションアワードプログラムに受け入れられるべきではありませんでした。CTA はこの立場を Lora DiCarlo にお伝えし、この間違いに関して同社には陳謝しました。

行きつ戻りつ

最初、10月の書状では、賞を受けても「アダルト」企業は展示を行うことができないという方針のため Lora DiCarlo はショーフロアで展示できないと CTA は伝えていた。(かつて Consumer Electronics Show と呼ばれていた CES が Adult Entertainment Expo でポルノ業者と分離したのは2001年頃に遡る)。

その話の後で、CES は Lora DiCarlo に対し受賞もすべて取り消すと書面で伝え、「不道徳、猥褻、淫ら、冒涜的、または CTA のイメージにそぐわない」と思われる登録に対して資格を剥奪することができるということを挙げた。

その後、CTA の CEO である Gary Shapiro 氏と CES のエグゼクティブバイスプレジデントの Karen Chupka 氏からの書状の中で、同団体は陳謝しつつ賞を取り消し、製品がどのカテゴリーにも該当しないと述べた。エントリー料金は返還されるとも述べた。

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セックストイ「Osé」
Image Credit: Ose

Haddock 氏は書状で、同社が行っていることはすべて「セックスのポジティブさとそこに包含されるもの」に根差していると訴えた。ブログの投稿では次のように述べた。

弊社は何をしているかを隠しませんし、快楽とテックといういまだに男性の CEO や経営者がほぼ支配している分野で女性、ノンバイナリー、ジェンダーノンコンフォーミング、LGBTQI の人たちは声を上げて主張するべきだと固く信じています。また弊社はセックスやセクシャリティにまつわるタブーを社会が捨て去る必要があると考えています。これは人生や健康の一部であり、絶対にメインストリームの中の対話に含まれるべきものです。恥じることも罪悪感をもつこともなく、自分自身が心地よく自由に、自分自身の肉体を楽しめばよいのです。

それこそが同社が初めての製品である Osé を CES イノベーションアワードに提出した理由であると彼女は述べた。このハンズフリーのデバイスはセックストイ以外の何物でもないが、「ブレンドオーガズムという至高のオーガズム」を届けるという目標のための技術で作られている。マイクロロボティクス技術を使い、「まるで本物のパートナーのような感覚を体験」するために人間の口、舌、そして指のすべての感覚を模している。

またこの製品は個々の身体の生理機能に合わせて調整を行う。オレゴン州立大学(OSU)ロボティクスエンジニアリング研究所とのパートナーシップの下で設計された。Osé は出願中の特許5件の対象であり、ロボティクスやバイオミミクリー、および工学的な偉業と言える。

Haddock 氏は問いかける。

女性のセクシャルウェルネス製品がなぜか不道徳や猥褻とされることに関してはさておき、もし弊社が先方の方針にそぐわないのであれば一体どうやって CTA スタッフによる一次審査を突破できたのでしょうか、ましてや専門家の審査では全般的に高得点を受けたというのに。

不平等な扱い

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CTA から Lora DiCarlo に送られた書状
Image Credit: Lora DiCarlo

Lora DiCarlo の法務チームは書状で CES が「男性向けポルノを何の問題もなく明確に許容している」と述べ、さらに追及した。2018年、CES はポルノ企業である Naughty America が展示フロアで「アダルトエンターテインメントの未来はここに」と宣言する看板を掲げることを許可していた。Naughty America は2017年にも、CES 2017でラスベガスコンベンションセンターのサウスホール後方のミーティングルームに参加していた

Naughty America の CEO である Andreas Hronopoulos 氏は VentureBeat の取材に答え、CES 2019ではストリッパーをキャプチャーして自宅で拡張現実技術を使い密かにそれを見ることができるというテクノロジーを、ミーティングルームでのみ披露していると述べた。同社は VR ポルノの展示ブースを持っていない。

Lora DiCarlo はさらに主張する。

2016年にはフランスの企業 B.sensory が電子書籍ドリブンなバイブレーター型セックストイで CES イノベーションアワードを受賞しました。2016年は OhMiBod が同社のエクササイズ機器兼バイブレーター製品 Lovelife Krush Kegel で、国際 CES 2016「CES 最優秀賞」の「デジタルヘルスとフィットネス製品」カテゴリーで受賞者に名を挙げられています。OhMiBod は CES で何年も展示を行っています。

さらに、CES は何の問題もなく明確に男性向けポルノ製品を許可しています。たとえば Naughty America のバーチャルリアリティポルノ製品や、Abyss Creations の男性向けハンズオンセックスロボットである RealDoll の Solana などです。

CES のテックにおける女性の参加の少なさは、Emily Chang 氏の『Brotopia』のような本にちなんだ「brogrammer(男の世界とプログラマーをかけた言葉)」のような言葉や、ハッシュタグ「#CESSoMale(CES は男っぽい)」を生み出しています。…正しい判断を下していただきたいと心から懇願します。問題を作る側ではなくソリューションを提供する側であってほしいと。この件がポジティブな方向に解決されること、そして CTA がイノベーションを、その発案者が男性であるか女性であるかを問わず、認めることを願っています。

過去5年間の最優秀 CES イノベーションアワードを受賞した企業の中で女性が設立した企業は1社しか見つからないと Lora DiCarlo は述べた。

Haddock 氏はこう付け加えた。

非現実的なプロポーションの女性の形をした文字通りのセックスロボットや VR ポルノなどで露骨なまでに男性のセクシャリティは許容され、誇りを持って通路に並んでいます。一方で女性のセクシャリティは厳しく口を塞がれており、もし反すれば即座に締め出されます。非現実的な女性の形をしたセックスロボットは許容してもブレンドオーガズムのためのヴァギナ用ロボティックマッサージャーを許容しないのであれば、偏見がないと言うことはできません。このダブルスタンダードは、女性のセクシャリティはイノベーションに値しないと明確に述べています。

Lora DiCarlo のチームはポルノ産業と別れる前のように裸の女性や布地が少ないブースコンパニオン(今はほとんどいなくなった)を CES に戻せと主張しているわけではない。だが同社は「セックスポジティブ」な製品は、Brookstone の店舗で買えるマッサージャーのように、メインストリームになると信じている。

現在形のブースコンパニオンについてお話しているわけではありませんが、歴史を指摘することは重要です。(Brown 氏)

最初の懐疑

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Lora DiCarlo は Uccellini LLC の1ブランドである。
Image Credit: Lora DiCarlo

Uccellini がこのデバイス開発の提案のために初めて OSU の工学部にアプローチしたとき、当然ながら最初は懐疑的なところがあったと Haddock 氏は述べた。しかし Haddock 氏が長年かけて集めた科学的なデータ、コンセプト、ニーズ、そしてこういった製品のために会社がとる女性中心のマーケティングを説明すると、その懐疑的なところも消えた。

さらに、Haddock 氏によると、OSU の男性の工学部シニアファカルティは多くの工学部女子学生がこのプロジェクトに熱心に取り組んでいるのを目にし、これが大学のイメージ向上につながると悟ったそうだ。

マイクロロボティクスはチームをバイオミミクリー、つまり人間の動きの模倣へと導いた。これによって振動の必要性がなくなった(そう、実際これはバイブレーターではない)。むしろパートナーが動いているようなものであると Haddock 氏は述べた。

振動を使うよりもはるかに効果的なのです。適切な動き方で動き、適切な場所に当たり、そして個々のユーザにフィットすることができます。ロボティクスはこの製品に絶対不可欠な要素です。弊社はこれをバイブレーターとは呼びません。

CES アワードに関して知らせを受けた後で Uccellini は多くの潜在的投資家と話をし、この賞によってデバイスを支えるエンジニアリングやテクノロジーにおける同社の信念が確認されたことを伝えたと、Haddock 氏は述べた。投資家からの反応は極めて良好で、これは初製品を市場に出そうとしている若きスタートアップの将来の展望にとって非常に重要な点であった。

スタートアップの世界では、女性は資金調達の機会があまりありません。女性はそれについて口を閉じたままです。それを口にするのは危険なことなのです。(Haddock 氏)

Haddock 氏と彼女の弁護士 Kenneth Bass 氏はこう主張する。

CTA が100年以上も前の女性のセクシャリティがタブーだった時代に後退しているのでなければ、女性のセクシャルヘルスを目的とするデバイスが不道徳ということは一切ありません。こういったデバイスはアメリカにおいて合法的に販売でき、主要な公立大学が何の問題もなくその開発にリソースを割きました。またこのデバイスは猥褻なものでもありません。適切な解剖学的側面を持ち機能する、単なる電動デバイスです。性的に挑発的なものではありませんし、誇張された形や色でもありません。確かに Lora DiCarlo のデバイスの先進的な部分の1つはその目的のための解剖学的な正しさであり、そのため他の多くの単一機能で刺激を与えるデバイスよりも小さくなっており、それゆえに電気的な構成の必要性に適合させるという工学的なチャレンジを提示しているのです。

大手のカンファレンスという点では、必ずしもすべてを失ったというわけではない。Lora DiCarlo は CES 期間中の火曜日(1月8日)の夕方にラスベガスの Wynn Hotel で行われる Showstoppers Party で商品を披露することができる。CES の数百のベンダーや報道関係者がそこを訪れる。また Lora DiCarlo はラスベガスで1月の終わりに開催されるポルノショー AVN にも参加する。Technazio によればセックストイは2021年までに300億米ドル規模の市場になると期待されており、CES はそれを重視する機会を逃したと Haddock 氏は考えている。

メインストリームの関心を集めた方がよいと Brown 氏は述べた。たとえば、ショーの中にセックスやポルノのセクションを設けたり AVN のような展示会で行うよりも、CES のロボティクスセクションでロボティクス技術を使用したセックスポジティブな製品を展示することができたら素晴らしいことである。

Brown 氏はこのように述べた。

今回の取り消しを知ったときには、あなたでは相応しくないと言われたように思いました。この健康とセクシャリティという分野はイノベーションに値しないのです。女性のセクシャルヘルスについては特にそうです。露骨なセクシャリティについてではありません。弊社のブランドは過激なヌードは使用していません。ですが今回の件は女性のセクシャリティは価値がないと言っているのです。弊社はテクノロジー業界の女性のためにこの議論を広げていきたいと考えています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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