ハイパーローカル顧客獲得支援のZehitomo、プロとユーザのAIマッチング最適化を開始——紹介のスピードアップ、一部フリーミアム化が可能に

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プロに仕事を依頼できるサービス「Zehitomo(ゼヒトモ)」は13日、仕事を引き受けるプロと、仕事を依頼したいユーザの双方の満足度向上に向け、AI を活用したマッチング最適化サービス「スピードマッチ」をリリースした。

Zehitomo は2015年7月、日本の JP Morgan および Citi に勤務していた Jordan Fisher 氏と James McCarty 氏が共同創業(当時の社名は JAM Group)。2016年にマッチングプラットフォームの Zehitomo をローンチ。仕事を依頼したいユーザと、カメラマン・ヨガ講師・英語講師・トレーナーなどのプロフェッショナルをつなぐマッチングプラットフォームだ。

いわゆるクラウドソーシングやオンラインアウトソーシングと違い、Zehitomo では、ユーザが役務提供を受けられるサービスを検索するのではなく、ユーザが投稿した要望に対して、サービス提供者側であるプロからチャット形式で提案をオーダーメードで受けられる仕組みとなっている。

(一般的なマッチングサービスのように)仕事の受注者と依頼者の間に介在して、オフラインでつながってしまえる所から手数料をもらうのは難しいと考えた。それだけでは価値が提供できないし、受注者と依頼者が直接つながってしまえば、中抜きされる可能性もあるからだ。

Zehitomo では、ユーザとの受け答えから得られた仕事のニーズを元にプロに質問をする。プロには Zehitomo に料金を払ってもらってユーザに提案をするので、真剣に仕事を受けようとする人からしか、ユーザに提案が届かないのが特徴。プロは新規顧客の開拓ツールとして使っている。(Fisher 氏)

一方で、そんな Zehitomo にも課題があった。プロとユーザの数のバランスだ。ユーザの依頼にスムーズにマッチングさせるには、ハイパーローカルなサービスである以上、出来るだけ多くの場所に多くのプロを確保する必要がある。一方で、プロからユーザに提案した際、実際に採用され仕事がの受発注が成立するのは、提案10回に対し1回程度だそうで、プロ側には残りの9回分が徒労に終わるかもしれないという精神的なハードルが生じてしまう。

今回導入されるスピードマッチにより、プロは予め設定した条件に基づきユーザへの自動提案が可能になり、提案後の採用(仕事の受発注)の確度が高まる。また、ユーザにとっては、よりスピーディーに、かつ、自身のニーズにあったプロからの提案が受けられるようになるメリットがある。プラットフォームである Zehitomo にとっては、プロとユーザの数のバランスを最適化できるようになり、サービスをよりスケーラブルに育てることが可能となる。まさに〝三方良し〟である。

これまで真面目に仕事を受けたいという人(プロ)を中心に使ってもらってきたが、もっと、すべての人がプロになれるようなサービスを作りたい。そのために、どういった仕事にどういうプロがよりマッチングしやすいか、どういう人がユーザとエンゲージメントする可能性が高いかをモニタし、アルゴリズムをチューニングしていく。(Fisher 氏)

ユーザに対しては、料金を支払って能動的に提案をしてきたプロに加え、Zehitomo のシステムが AI により適合すると判断したプロの情報も表示されるようになる。ちょうどサーチエンジンの検索結果のように、広告出稿されたリンクが検索結果より上位に表示されるような形だ。AI で自動マッチングされて表示されたプロは、もしユーザに発注相手として選ばれた場合には、提案による料金が発生しないためフリーミアムのような扱いとなる。

Zehitomo で扱うスキル種別には現在、100ほどのバリエーションがある。ユーザから依頼のあった仕事の種類によって、どの地域のどのプロを推薦するかは、郵便番号などをキーに独自のアルゴリズムで抽出しているという。Fisher 氏によれば、Zehitomo には現在のべ15万人のプロが登録していて(スキル種別1つへの登録を1人とカウントしているため、例えば、1人のプロが2つのスキルに登録している場合はのべ2人とカウントされる)、ユーザからは月に1万件程度の仕事の依頼があるという。2017年12月から今年1月までで、仕事依頼の数はおよそ10倍に増えたそうだ。

Zehitomo は2017年7月にシードラウンドで1.5億円、2018年6月にシリーズ A ラウンドで4億円を調達している。

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