中国のEVメーカーAiways(愛馳)、自動車生産の加速に向け中国のOEM企業に17億5,000万人民元(約275億円)を出資

SHARE:
Aiways(愛馳)初の電気自動車「U5」
Image credit: Aiways

中国の電気自動車(EV)企業 Aiways(愛馳)は、同社初となる商用車モデルの市場投入時期を早めるために国内自動車メーカー Jiangling Holdings(江鈴控股)の株式50%と引き換えに17億5,000万人民元(約275億円)を出資する。株主である Chang’an Automobile(長安)は6月5日、会社声明の中で次のように述べた

中国のガソリン車市場は減速しつつあります。新たな戦略投資家を得て、Jiangling Holdings はインテリジェントで最新のエネルギー車市場に進出する速度を上げていきたいと考えています。

深圳に上場する Chang’an Automobile は2004年、江西省中心部で国営自動車メーカーの Jiangling Holdingsと共に、それぞれの持分を50%とする合弁会社を設立した。しかしながら、Yicai(第一財経)の報道によると、SUVブランド Landwind(陸風)の2018年度の販売は需要低迷により60%減となった。会社発表によれば、Aiways の出資により既存株主2社の持分は25%に低下する。これにより Aiways は、自動車生産の免許を取得して市場参入への道が開ける。

2017年に Volvo China(沃尔沃)元社長のFu Qiang(付強)氏が国営 SAIC Motors(上海汽車)の CFO だった Gu Feng(谷峰)氏と共同で設立した Aiways は、Tencent(騰訊)などの投資家から約70億人民元(約1,100億円)を調達し、時価総額は100億人民元(約1,570億円)になったと Gu 氏は昨年4月に話していた。同社によると、11月にリリースされる SUV の旗艦モデルU5を年末までに国内の消費者に提供し、来春にはヨーロッパで EV を販売する中国初のメーカーになる計画だという。

しかし、公式記録によると、中央政府から電気自動車製造の免許を与えられたのは15社にすぎない。そこには、Nio(蔚来)や Xpeng Motors(小鵬)といった未だ実験をしたことがない EV メーカーの名前はみられない。中国では、アウトソーシングによる生産や買収を通しての市場参入が一般的な業界慣行となっている。別の EV スタートアップ である CHJ Automotive(車和家)も昨年終盤、重慶を本拠とする自動車メーカーの Lifan Motors(力帆)を6億5,000万人民元(約102億円)で完全買収した

中国当局は、政府の支援を受けたEV市場が過熱するのを防止するため参入障壁を引き上げる新たな規則を定めようとしている。中国の計画立案機関である国家発展改革委員会(NDRC)が12月に発表した規制によると、年間の生産数が10万台に満たない EV メーカーは、自社工場の建設が認められない。

Nio の報告によれば、同社が2018年6月に高級電気 SUV モデル ES8 の販売を開始してから5月末時点での総販売台数は1万7,550台で、これに3月末時点で約8,000台の EX5 を販売した WM Motor(威馬)が続いている。中国最大の EV メーカー BYD(比亜迪)は2018年、前年比108%増となる24万7,800台以上を販売した。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録