ピックアップ:FOURSQUARE IS ADDING EVEN MORE DATA ABOUT WHERE YOU ARE
ニュースサマリー:位置情報共有サービス「Swarm」の運営元、Foursquareは30日、Snapからロケーションアナリティクスサービス「Placed」を買収したと発表した。買収額は公開されていない。同社はFoursquareの競合とされており、2017年にSnapによって1億3500万ドルにて買収されていた。
また、Foursquareは同じタイミングで1億5000万ドルの資金調達を発表。リード投資家としてThe Raine Groupが参画している。同社は資金をPlacedと絡ませたR&D等にあてるとしている。
話題のポイント:「位置情報には価値を付ける」。これを実現すべく、当初は消費者向けのSNSアプリをリリースしたFoursquareも今年で10年目を迎え、法人向けビッグデータ企業へ変化を遂げています。

コンシューマー向けSNSは、位置情報をSNS上へシェアするため(チェックインと呼ばれる)の機能のみが残され2014年に「Swarm」と名を変え現在でも運営を続けています。Vetro Analyticsの調べでは、2018年8月の段階でMAU200万人を記録しているとしています。
その反面、ビジネス向けの機能が数多く残されているFoursquareでは同期間においてMAU600万人とビジネス向けであるにも関わらず、コンシューマー向けサービスより利用者が多い(約3倍)ことを示しています。
さて、ではFoursquareのプラットフォームが提供するビジネス向けビッグデータとは具体的にどの様なものなのか。以下が、その一覧です。
【Foursquareの事業者向けサービス内容】
<参考記事>
あの人は今ーーチェックインの火付け役「Foursquare」誕生から約10年、実は10億人が使っている影の主役に
- Place Insights:1億以上の場所の情報を持ち、人々がどう動いているかがわかるツール
- Pilgrim:サードパーティアプリ向けの広告配信ツール。GPS、通信、通信信号強度、周囲のWi-Fiネットワークなどの信号を組み合わせることで、ユーザーがチェックインする必要なくユーザーの位置を推測することができる。
- Pinpoint:ロケーションベースの広告配信・分析ツール
- Attribution:来店者の動向分析ツール。Attributionの最新リリースでは、過去の訪問数、時間帯、曜日、店舗からの距離、アプリやプラットフォームの使用状況など、500を超えるさまざまな要素が存在。
- Places API:直近リリースしたアプリ開発社、中小企業、スタートアップ向けの位置データ活用ツール。ロケーションベースのデータへのアクセスを提供するだけでなく、Placesデータベース内の1億以上の場所に関する写真、ティップス、レビューなどを利用することができる。
これらのビッグデータを約15万社が有効活用しており、上図のUber、Spotify、Snap、コカ・コーラ、ツイッターがその一例です。では実際に、どの様な面で「位置情報」のビッグデータをビジネスアプライしているのでしょうか。今回はUberを例にとり、見ていきたいと思います。
FoursquareはUberに対し、自社ビッグデータから構成される「Points of Interest」(PoI) データを提供しています。Uberのアプリに「東京タワー」と入力すると、自動的に東京タワーの情報(住所)が指定されますが、これはFoursquareが提供する独自のPoIが利用されていることになります。

また、単に名称と住所を組み合わせているだけではなく、FoursquareのPOIデータをカスタマイズすることで、より正確な位置情報を得ることが可能です。
Uberの公式ブログでは、UberEatsを想定した「店舗とドライバー側の”誤解”」を例に挙げて説明していました。以下はその一例です。
「UberEatsのドライバーは店舗の入り口で料理をピックアップすると思っています。もちろん店舗の場所は、住所通り辿っていけば到着するので問題ありません。ただ、店舗側はお店の裏口で料理を受け渡しすると思っていて、一向にドライバーが到着せず受け渡しが上手くいかなくなる。こんなトラブルをFoursquareのPOIをカスタマイズし、両者の誤解を防ぐことが可能です」
Uberを空港で使った際、特定のピックアップロケーションが指定された経験ありませんか?これもFoursquareのPOIデータをカスタマイズし、空港という利用者が多い場所にて的確なピックアップ場所を指定しているということなのでしょうか。
個人的にはFoursquareと聞くと、Swarmが思いついてしまうのですがビジネス向け事業の方も非常に興味深い動きをしていることが今回分かりました。位置情報というビッグデータをどう生かしていくか、今後の新しいビジネストレンドを作る大きな要素となる気がするので同社の動きを今後も追っていきたいです。
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