X Infinity、IoTとモバイルアプリでコインパーキングの価値転換を図る「ParkX」を発表——駐車は管理される時代から、感謝・評価する時代へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.6.24

Image credit: PaylessImages / 123RF

X Infinity は24日、既存のコインパーキングの仕組みをリプレイスする新たなサービス「ParkX」のコンセプトを明らかにし、そのプロトタイプを発表した。既存のコインパーキングにあるロック板や集金管理システムを無くすことで設備投資コストを大幅に削減。駐車場オーナーの採算分岐点を下げることで、これまで駐車場化できな買った遊休地の活用、普段は自車の駐車場として使っているスペースを他者に貸し出しできるようにするなど、コインパーキングのシェアリングエコノミー形態を提案する。

ParkX のサービスは、そこが駐車場であることを示す地面に配置された IoT デバイスとユーザが持つモバイルアプリで構成される。駐車を希望するユーザはアプリ上の地図で近隣の駐車場を探し、その場所に近づくことでアプリ上に駐車場を示すデバイスが表示される。そのデバイスを確認し、アプリ上でチェックインを完了し、その場所に駐車ができる仕組みだ。駐車場から立ち去る際には同様にチェックアウト・決済をするだけ。

Image credit: X Infinity

地面に配置された IoT デバイスには BLE(Bluetooth Energy)が搭載されており、駐車場の所在地情報を含んだデバイス ID 情報が、ParKX ユーザのモバイルアプリに伝えられる。チェックイン・チェックアウト・決済情報などのやりとりで、ParkX のセンターと通信する機能はモバイルアプリ側に集約されており、地面に配置されたデバイスには SIM カードやモバイル通信のための回路が不要で電力消費・製造コストが抑えられる。デバイスは一個数千円程度で、電池で一年程度の連続稼働が可能のため電力供給のための配線も不要。

ParxX を手がけるのは、以前は大手コンサルファームに勤務し、直近では仮想通貨取引所向けの財務支援業務などに従事していた中村仁亮氏(X Infinity 代表取締役 CEO)だ。既存のコインパーキングの仕組みが、〝ある種の性悪説〟に基づいて、ごく少数の料金を支払わない不届者を排除するために高度なものになっていることを指摘。この不届者をシェアリングエコノミーの概念に基づいて、コミュニティの力で排除することができれば、コインパーキングの設備投資や運営管理はシンプルなものにできると言う。

Image credit: X Infinity

この話を聞いて、筆者はヨーロッパの鉄道の仕組みを思い出した。日本の鉄道の場合は、自動改札や切符に代わるアプリなどを配して、多額の設備投資をかけて乗客の決済を管理している。現代では無賃乗車やキセル乗車を図る人は少数と思われるが、そういう仮想敵への対抗を想定して鉄道の入退場システムが出来上がっていることは否定できない。一方、ヨーロッパのいくつかの国々では自動改札は存在せず、乗客は切符を買って利用時間を刻印するバリデータに挿入するのみ。無論、ヨーロッパの鉄道にも不届者は存在するが、鉄道会社は彼らを見つけた時に非常に高額な罰金を科すことで抑制している。

ParkX には、このヨーロッパの鉄道の仕組みに似たコンセプトが感じられる。罰金のような仕組みはないものの、もし、正しくチェックイン・チェックアウト・決済が行っていないユーザを見つけた場合は、駐車場オーナーはモバイルアプリ上に用意された「駐車違反報告」の機能を使って、ParkX のセンターに申告することが可能。その評価内容によっては、ユーザは二度と ParkX を使えなくなったり、自らも駐車スペースを他者に貸出たりすることができなくなる。Uber や  Airbnb などに似た、ユーザによる評価の仕組みがここに応用されているわけだ。

X Infinity のチームメンバー(一部)。写真手前が CEO の中村仁亮氏。
駐車場に配置する IoT のプロトタイプが机に置かれている。
Image credit: Tadashi Takahira, Abit

駐車スペースの提供側と需要側で、アプリが分かれていないのも ParkX の特徴の一つと言えるだろう。これは、自動車を持っている人なら自分の普段の駐車スペースを持っていることが多いという前提に立ち(車庫法によれば、所有または賃貸で駐車スペースを確保しておく必要がある)、同じアプリで需要側だけでなく提供側の立場も体験してもらうことで、ParkX を中心とした経済エコシステムが形成されることを想定している。ただ、サービス開始当初は、駐車スペースの確保に向け、大手パーキング運営会社や不動産事業者などをターゲットにした B2B に注力するようだ。

X Infinity は2019年1月に設立され、チップセットやデバイス基盤などを開発・生産するエイビット代表の檜山竹生氏と、東京・多摩地域を中心にコインパーキングを展開するコムネット代表の山口進一氏から、シードラウンドで800万円程度の出資を受けている。エイビットとコムネットは共に東京・八王子を拠点とする会社だ。X Infinity 代表取締役 CEO の中村氏はエイビットの新規事業開発担当を兼任しており、X Infinity とエイビットは、前者がサービスを開発・展開し、後者がそのサービスに必要なハードウェアを開発・供給する関係にある。コムネットは ParkX の PoC 実施や導入先開拓で協力する。

X Infinity では、ParkX の今秋のサービス開始に向け、これからシリーズ A ラウンド調達に動く計画だ。

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