モバイルアプリプラットフォーム「EAP」展開のランチェスター、XTech Venturesから1億円を資金調達——2023年までにARR10億円を目指す

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左から:XTech Ventures ジェネラルパートナー手嶋浩己氏、
ランチェスター代表取締役 田代健太郎氏
Image credit: Lanchester

モバイルアプリプラットフォーム「EAP」を展開するランチェスターは3日、XTech Ventures から1億円を資金調達したと発表した。EAP は既に事業を黒字化しているため、事業拡大に伴うグロース資金とみられる。

2007年に創業したランチェスターは、大手企業の受託開発事業を展開。その経験から、モバイルアプリの開発を効率化し、アプリマーケティングをワンストップで提供できるプラットフォーム「EAP(Engagement Applicatippon Platform)」を2017年に立ち上げた。EAP は、主にアパレル、百貨店、ワイン販売、化粧品など全国展開する小売事業者のアプリ開発に活用されており、今月初めには EAP をベースに開発された東急ハンズの「ハンズクラブアプリ」がローンチしたところだ。

今回の調達について、ランチェスター代表取締役の田代健太郎氏は次のように語った。

事業としては既に回っているので、(外からの資金調達をしなくても)自分達だけで可能。しかし、資金だけが欲しいというわけでなく、外部からのパートナーが欲しかった。(XTech Ventures ジェネラルパートナーの)手嶋さんとは通算で2回しか会ってないが、最初にお会いしてお話しし、それから「お願いしたい」というメッセージをするまで、2時間もかからなかった。

「EAP」
Image credit: Lanchester

ランチェスターが目指すのは、現在売上の6〜7割を占めると思われるシステムインテグレーションから、SaaS/PaaS モデルへのシフトで、XTech Ventures はこのシフトを強力に支援するとみられる。EAP を中心とした SaaS/PaaS モデルのビジネスは、初期費用350万円 + ARPU45万円(ユーザの MAU に基づいた料金体系)というユニットエコノミクスで構成されているが、ランチェスターでは今期も既に EAP 関連で5億円程度の売上を見込んでおり、2023年までに導入ユーザ200社、ARR(年間経常収益)10億円規模を目指すとしている。

アプリ開発のコンポーネント化・プラットフォーム化という文脈では、ヤプリやフェンリルなど、ランチェスターにとって競合とみられる企業も少なくない。ランチェスターの提供する EAP はマーケティングプラットフォームとの連携が高く評価されていて、今のところ、提案した企業からの受注率は100%なのだそうだ。2023年の目標達成に向け、同社では今後、フロントエンド、バックエンドのエンジニア、ビジネス開発の人材強化を図る。インサイドセールスやカスタマサクセスのチームアップも進んでいるそうだ。

XTech Ventures は今年2月、店舗集客アプリおよび CRM を展開するインサイトコア(当時の社名はエンターモーション)にも出資している。両社のビジネスモデルは一見似ているが、インサイトコアは収益の柱がサブスクリプション系であり、ランチェスターの顧客とは層が異なるため、ビジネスとしては完全に住み分けができているようだ。

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