「TOKYO STARTUP GATEWAY」第6期決勝が開催——終末期旅行支援、次世代ナースコール、学生ボランティアポータル、入院着サブスクが入賞

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東京都主催のビジネスプランコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2019」のファイナルが1日、都内で開催された。

TOKYO STARTUP GATEWAY はテクノロジー、ソーシャルビジネス、地域課題解決などさまざまなジャンルにおいて、グローバルを見据えた起業家を「東京」から輩出しようというコンテスト形式のイベント。主催は東京都で、NPO法人 ETIC. が運営事務局を担当している。6回目を迎える今回は、2019年の4月からビジネスプランを公募。1,803件のプランが全国から集まり、約3割が女性から、高校生からも95件のエントリがあった。それらの中から選抜された10名のファイナリストによるプレゼンテーションが行われた。

「TOKYO STARTUP GATEWAY 2019」で、審査員を務めたのは次の方々だ。

  • 東京大学 教授/産学協創推進本部イノベーション推進部長 各務茂夫氏
  • 品川女子学院 理事長 漆紫穂子氏
  • 放送作家 鈴木おさむ氏
  • Mobility Service 代表取締役 中島徳至氏
  • ETIC. 代表理事 宮城治男氏

【最優秀賞】人生最期の「旅行」を叶える、医師の作る旅行会社 by 伊藤玲哉氏</h3>

副賞:トロフィー、100万円

日本では年間140万人が亡くなっていて、そのうち75%の人々は病院の天井を見ながら人生の最期を迎えている。残り少なくなった時間を、病床を飛び出して旅に出たいと考える人は多いが、いくつか理由でそれを実現することは難しい。病院側、すなわち医療提供側からは患者が旅の途中で体調が悪くなった場合に適切な支援ができないという心配があり、航空会社や旅行代理店は必要な準備がでできない、他の旅客に迷惑がかからないかなどの心配から断る傾向があるからだ。

医療には旅行業の知識が不足、旅行業には医療の知識が不足していると考えた伊藤氏は、その両方の業態の隙間を埋めるために「旅行医」というコンセプトを提案した。旅行前には適切な移動手段や宿泊先などでプランを作成したり、旅行中にはリモートで必要に応じた側面支援を提供する。伊藤氏自身、旅行医のコンセプト実現のため満を辞して大学病院を退職し、医療従事者や保険会社など累計2,500人と連携し事業を進めており、来年から東京を拠点の本格的に活動を開始する計画だ。

【優秀賞】ナースコールをパーソナライズし、医療現場を持続可能な場所へ by 澤田優香氏

副賞:トロフィー、50万円

緊急医療現場の看護師出身で、現在は外部からさまざまな病院向け支援を行っている澤田氏は、医師の約4割が「過労死ライン(健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間を指す)」を超えて勤務する状況を余儀なくされており、看護師の約7割が医療現場からの退職を考えているという。医師や看護師などに働きやすい環境を作ることが必要と考えた澤田氏は、ナースコールの仕組みを変えることによる看護婦らの業務効率改善を提案した。

現在のナースコールはボタン一つのみであるため、緊急性が高い連絡と雑用の区別ができない。一般的に昼は4分に1回、夜は8分に11回かかってくるとされる呼出の対応に追われて、緊急性の高い対応が後手に回ってしまうことになりかねない。そこでナースコールの呼出ボタンをタブレットに置き換え、用件の選択肢を設けることで、看護師はナースコールを受けた段階で、対応の優先度を決めたり、適切な対応ができたりしやすくなる。用件により医療資格を持たない者でも対応できるため、業務の効率化や分業化につながる。

既存のナースコールの仕組みは既に多くの病院で導入済であるため、タブレットによるナースコールの仕組みは、産婦人科・小児科・整形外科など、タブレット操作に抵抗のない若年層の患者が多い病院(全国約1万施設)に、既存システムのアドオンとの形で提供したいとしている。クラウド電子カルテを提供する医療スタートアップのクリプラ代表である鐘江康一郎氏をアドバイザーに迎え、2020年には急性期病院(急性疾患・重症患者の治療を24時間体制で行なう病院)で実証実験を実施する計画だ。

【優秀賞】アプリと信用制度で学生が気軽にボランティアに参加できる社会に by 軍神未来氏

副賞:トロフィー、50万円

ファイナリストの中では唯一、コアメンバーが高校生で構成されるチームだ。大学入試においては、2021年度実施分からボランティアなど社会活動への参加も評価対象に組み入れられるようになる。一方で受験生は、多くある選択肢の中から、どの社会活動を選んでいいのかが分からない。彼らが最適な活動を支援する目的で開発されたアプリが「Lyglee」だ。

体験したことのない社会活動に足を踏み入れるのは容易ではない。このことから、Lyglee には一種のソーシャルネットワーキング的機能を持たせ、ある社会活動に参加したユーザがその経験についてレビュー投稿し、そこから刺激を受けたり触発されたりした別のユーザがその社会活動に参加するというポジティブなサイクルが生じることを期待している。

社会活動に参加した学生による評価、その学生を受け入れた社会活動の主催者による評価の、双方による相互評価の仕組みも取り入れる予定。ユーザの信用スコアの仕組みも用意し、ユーザが(入学先に提出できる)ボランティアスコアや参加証明書に変換できる機能の追加も視野に入れる。サービスローンチから5日間で100名がサインアップしたそうで、学生からの関心が高いことがわかる。

【オーディエンス賞】病は衣から。入院着を変え、高齢者と家族、地域の心を変える。 by 笈沼清紀氏

副賞:トロフィー

入院患者は病院指定の入院着の着用を義務付けられることが多いが、見た目に画一的で無機的な入院着に抵抗や不満を持つ人は少なくない。入院している患者のうち、女性高齢者の82%、男性高齢者の14%が不満を感じているという。そこで笈沼氏は、病院が必要とする基本機能を備えた、複数のタイプや色からなる入院着を開発。月額レンタル形式で高齢者をはじめとする入院患者に提供する。来年1月からオンラインテスト販売を開始し、2020年6月からは病院の売店や介護施設などで販売を開始する予定だ。

レンタル形式の入院着であるため、着用に抵抗があるユーザがいるかもしれないとの審査員から指摘があったが、ユーザベースを確保するためにレンタルサービスから参入するものの、将来的には、入院しながらもオシャレを楽しみたい高齢者のために、洋服をイージーオーダーできる病院や施設訪問型のブティックや出張サロンなども提供したいという。高齢者が病院や施設に閉じた存在となることなく、地域のさまざまな事業者が入院着という入口を通じて高齢者とつながるプラットフォームとなることを期待している。


入賞には至らなかったものの、ファイナリストに残った他の参加者は次の通り。

  • これ来てあそこで素敵な写真! 海外旅行専門ファッションサービス by 相坂沙織氏
  • 風で空気感をデザインする by 赤木謙太氏
  • 全国の子供たちの「生きる力」を伸ばす料理教室 by 一門真由美氏
  • 戦後最大の教育改革の中、高校生を探究へ導く「ディスカバ!」 by 今村亮氏
  • 町工場がアートの最前線へ! 日本の伝統を繋ぐアトリエサービス by 懸谷直弓氏
  • 次世代型の路面開発で舗装を緑原に変え、雪が積もらない世界へ by 山本慎之介氏
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