サムスン子会社のSTAR Labs、人そっくりの動きを再現するAIアバター「Neon」を公開

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Image credit: STAR Labs

サムスンは AI アシスタントで満たされた世界を標榜しているが、我々が慣れ親しんでいるようなチャットボットを使ったアシスタントのようなものではない。ソウルに本社を置く同社は、6日夜のプレスリリースで、子会社の STAR Labs が開発したプロジェクト「Neon」を発表した。このプロジェクトは、「サイエンスフィクションを実現する没入型サービス」の提供を意欲的に目指している。

サムスン電子のヒューマンコンピューターインタラクション研究者で、元シニアバイスプレジデントである Pranav Mistry 氏は、Neon の基盤となるソフトウェアエンジン「Core R3」が、映画、拡張現実(AR)体験、Web、モバイルアプリで使われるリアルなアバターをアニメーション化すると説明した。

(彼らは)自律的に新しい表現、新しい動き、新しいダイアログを作り出す。キャプチャされた元のデータとはまったく異なる見え方を再現する。キャプチャされたデータから、新たな動きが作り出されるまでの遅延は数ミリ秒未満だ。(Mistry 氏のツイッターから)

Neon のアバターは、コンピュータ生成されたキャラクタというより動画のようだ。設計上、これらのアバターはメディアを超えて「仲間や友人」になり、ホテル、店舗、レストランなどのコンシェルジュや受付に立つことを目的としている。とはいえ、彼らは個人情報が許可なく共有しないよう、厳格にプライバシーを保証をするよう設計されている。

彼らには、ユーザが使う平均的な AI アシスタントほどの能力は無い。記者に共有された FAQ の中で、STAR Labs は、Neon のアバターは「何も知らない」と明示しており、「天気予報を尋ねる」「お気に入りの音楽を再生する」といったことに対応できるインターネットにつながったインターフェースでもない。その代わり、会話をして目標のあるタスクを支援したり、人間的な質感を必要とする少し複雑な事柄を支援したりするのだ。

Mistry 氏によれば、β版が今年後半にリリースされ、企業は「Neon-as-a-service」のライセンスを取得または購読できるようになる。Neon アバターの知能、学習、感情、記憶を担当する2番目のコンポーネント「Spectra」はまだ開発中で、今年後半のカンファレンスでデビューする可能性がある。

我々は SF 小説や映画の中で、そのようなバーチャルな生き物を常に夢見てきた。 Neon のアバターは我々の世界と連携し、「人間は人間」であり「機械は人間」である、より良い未来への新しいリンクとして機能する。(Mistry 氏の声明)

Image credit: STAR Labs

AI を使って忠実に再現されたアバターは、地球上で最も斬新なものではない。 2018年11月、中国で毎年開催される「World Internet Conference(世界互連網大会)」で、国営の新華社通信は24時間にわたってニュースヘッドラインを読み上げることができる AI ニュースキャスター「Qiu Hao(邱浩)」をデビューさせた。スタートアップの Vue.ai は、服による違いを排除し、リアルなポーズや肌の色などを学習させることで、AI によるモデルが洋服を着用したファッション画像の生成を実現した。また、Boris Johnson 氏があたかもやっていないスピーチをしたかのように、政治家候補のフェイク動画を作るのにも AI や機械学習は使われてきた。

Neon は、2009年に Lionhead Studios が開発したプロトタイプのエモーショナル AI 体験「Project Milo」を想起させる。Milo は、話し言葉、ジェスチャー、事前定義されたアクションに応答する AI 構造を特徴としており、音声生成クリップと会話中の単語を一致させることができる、組み込み辞書を常に更新する手続き生成システムを備えている。

Milo は日の目を見ることがなかったが、サムスンは今後も Neon に使われている技術を商業化することに熱心なようだ。時が経てば、それがわかるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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