看護師のタレントマネジメントソリューションを開発するエピグノ、東北大学ベンチャーパートナーズなどから1億円を調達

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エピグノの経営陣。中央が CEO の乾文良氏
Image credit: Epigno

看護師の病院定着率向上ソリューション「Epigno 病棟ナース」などを開発するエピグノは21日、プレシリーズ A ラウンドで1億円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターは東北大学ベンチャーパートナーズが務め、医療コンサル大手の CVC であるキャピタルメディカ・ベンチャーズ、フューチャーベンチャーキャピタル(東証:8462)、コロプラネクストが参加した。

これは、エピグノにとって、昨年2018年1月に実施したシードラウンド(1,500万円を調達)に続くものだ。シードラウンドには、IF Lifetime Ventures(現在のライフタイムベンチャーズ)が参加していた。

エピグノは2016年、富士通や商社出身の乾文良氏(現 CEO)や、乾氏の慶應ビジネススクール時代の同期である東北大学麻酔科医・集中治療医の志賀卓弥氏(現 CMO=最高医療責任者)らにより創業。2018年からはヘルスケアスタートアップであるサイマックス出身の Malik Olivier Boussejra 氏もメンバーに加わっている(当初は CPO=最高製品責任者、現在は CTO=最高技術責任者)。

エピグノが挑むのは看護師の退職問題だ。日本全国には250万人以上の看護師がいるが、調査によれば、実に4分の3の看護師が現在今いる病院を辞めたい、と考えることがあるという、仕事内容がハードであることも一因だが、より大きな理由として、病院という組織の中で適正な労務評価がされにくいことや、自身のキャリアについての希望が通らないことが挙げられる。

<参考文献>

実際のところ、日本の一般企業では規模無関係に平均を取ると年間8〜9人が辞めるのに対し、病院で一年に辞める看護師は10〜14人と高い数字となっている。慢性的に人手不足の市場であるため、辞めた看護師の多くは、より良い待遇と労働環境を求めて新たな病院への転職を目指すが、転職先の病院が転職前の病院より環境が良いとも限らない。そこでエピグノが考え出したのが、看護師版の「カオナビ」や「タレントパレット」とも言えるタレントマネージメントプラットフォーム「Epigno 病棟ナース」だ。

「Epigno 病棟ナース」の看護師スキルマップ機能
Image credit: Epigno

Epigno 病棟ナースは、看護師長など責任者がメンバーである看護婦のスキルや頑張りを評価したり、目標や今後のキャリアに応えたりするのに役立つ SaaS。現時点ではスキルマップ機能が中心だが、今後、評価・目標管理シート、アンケート機能を備えたモチベーション測定、インシデント・アクシデント報告(過去の医療事故履歴記録)などが追加される予定。「この病院、辞めます」と言われる前に、事前にリスクを察知できる機能は、一般企業向けの「モチベーションクラウド」などにも似ている。

エピグノのビジネスモデルは、病院向けのサブスクリプションだ。病院は看護師を雇用するために人材紹介会社に費用を支払っているが、平均的な病院で全人件費の約6割を占める看護師を、欠員を補うために新規に雇用しオンボードするコストは小さなものではない。むしろ、現在いる看護師の労働満足度向上に力を注いだ方が、病院の財務改善につながるだけでなく、医療現場の健全化にも大きく貢献するというわけだ。

看護師はその勤務体系に応じて、入院患者の看護を行う病棟ナース、外来患者の看護を行う外来ナース、患者宅を訪問し看護を行う訪問ナースに大別されるが、エピグノはまず、最も市場として大きい病棟ナースをターゲットにすることを決めたため、象徴的な名称が製品に付けられている。Epigno 病棟ナースは、病床数100床以上の中規模以上の病院(目安として看護師が60人以上在籍)を主な対象としているが、複数拠点で運営され互いの連絡が取りづらい訪問看護の分野でも需要が大きい。来月から複数の民間企業がエピグノの製品トライアルを始める。

エピグノは昨年、サイバーエージェント・キャピタルが運営する月例ピッチイベント「Monthly Pitch」に登壇し、AI 手術室マネジメント・ソリューションを紹介していた。当初は手術室のオペレーション効率化に特化していたが、その後ピボットし、看護師のタレントマネージメントに行き着いた。今後 PMF(プロダクトマーケットフィット)を進め、東北大学との産学連携による研究成果を活用しつつ、日本内外の医療機関マネジメントソリューションを普及させていくとしている。

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