インドネシア5社目のユニコーン「OVO」とは

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OVOウェブサイト

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ニュースサマリー:インドネシアのモバイル決済サービスOVOのCEO Karaniya Dharmasaputra氏は8月1日、同国において最大のデジタル金融エコシステムのプラットフォームとなったと発言している。同社は2017年9月創業。現在までにクレジットスコア、マルチファイナンス、投資、P2Pレンディング、保険、といったサービスを提供している。

重要なポイント:インドネシア政府は2019年までにユニコーン企業5社を創出するという目標を掲げていた。OVOは2019年10月に企業評価額が10億米ドルを超え、配車サービスのGojek、旅行サービスのTraveloka、電子商取引大手のBukalapakとTokopediaに続くインドネシアで5番目のユニコーン企業となった。OVOがユニコーン企業となったことでこの目標は達成されており、また、同国における金融系企業としては初のユニコーンとなる。

詳細情報:2017年9月にモバイル決済サービスとして始まったOVOの2019年度の年間取引高は前年比27.7倍、総支払額は18.5倍、アクティブユーザー数は400%増と急成長を遂げ、インドネシア最大のデジタル金融プラットフォームとなっている。

  • 大手オンラインマーケットプレイスTokopediaやオンライン投資信託会社Bareksaとの提携、P2Pレンディングサービスを提供するインドネシア初のフィンテック企業Taraliteの買収などを通じ、モバイル決済以外にも多岐なサービス展開をしている。
  • クレジットスコア:OVOの利用状況を元にした独自の与信システムを提供。
  • 融資:Tokopediaで商品の販売を行う中小規模の小売業者対して、販売実績を元にした融資を実行している。また、OVOユーザーに対しての融資のほか、2020年6月にOJK(インドネシアの金融サービス機構)のライセンスを取得し、P2Pレンディングサービスの提供も開始した。
  • Pay Later(後払い決済):Tokopedia上でのOVOを使用した決済時、後払い決済や分割払いによる商品購入をサポート(利用の可否、可能額はクレジットスコアにより決定される)。
  • 投資:投資信託、政府証券、金への投資がOVOプラットフォーム上から可能で、今後は社債と株式の取り扱いも行う
  • 保険:保険会社のプルデンシャルと提携し、OVO経由での同社保険への申込みや支払いに対応。
  • Jakarta Globe社が6都市1,800人に対して行った調査では、1番好きなモバイル決済アプリにOVOと回答した人は58%で1位の座を獲得している。Rapyd社によるAsia Pacific E-Commerce and Payment Studyでは、過去1カ月の商品購入(オンライン・オフライン問わず)に利用した支払い手段にOVOと回答した人は最も多く69%を占めていた。ちなみに2位はデビットカード(67%)、3位はATM(64%)、次点のデジタル決済は4位のGo-Pay Walletで62%。
  • OVOはインドネシア最大のコングロマリットの一つLippoグループの企業だが、2019年末に3分の2の株式をソフトバンクグループに売却している。現在、Lippoグループが所有するOVO株は30%前後に留まる。

背景:インドネシアはクレジットカード保有率が4%と非常に低いものの、モバイル決済サービスの普及が急速に進んでいる。OVO以外にもGo-PayDANALinkAja を始めとする多数の企業がモバイル決済サービスを展開し競争が激化している。また、直近では新型コロナウイルスの流行により解雇された労働者への失業給付金給付で政府機関を通して利用されるなど、インドネシアで初の社会保障給付に採用されたデジタルプラットフォームになっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志