セブン銀が11億出資したカンム、250万DL「バンドルカード」の次に狙うは“決済×投資”領域

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カンム代表取締役の八巻渉氏(写真提供:カンム)

ニュースサマリ:消費者向け決済ソリューションを提供するカンムは8月11日、セブン銀行を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は約11億4000万円で払込日は7月31日付。このラウンドにおける評価額や出資比率などその他詳細は非公開。増資した資金は提供するバンドルカードのマーケティング強化、および今年12月に予定している決済・投資領域の新プロダクト開発に必要な人材に投じるとしている。

また、同社はこれまで開示してこなかった資本政策の一部についても公表している。カンムの創業は2011年1月で、2013年にはEastVentures、ANRI、個人投資家を引受先とする第三者割当増資で4300万円を調達。2016年9月に公開したプリペイド型Visaカード「バンドルカード」が若年層を中心にヒットした。

これを受けて2018年1月にはフリークアウト・ホールディングスとは資本業務提携を実施し、およそ30億円の段階的な出資を受けている。上記以外でカンムに出資している株主はISGS、アドウェイズ、クロノスファンド(現アントレプレナー)、TLMおよび有安伸宏氏、梅田裕真氏を含めた個人投資家5名と創業者となっている。これまでの累計調達金額は約44億3000万円。

主力のバンドルカードは今年6月時点で専用アプリのダウンロードが250万件を超えており、特に巣篭もり需要の高まった今年3月から6月の決済利用金額は過去最高となった。

話題のポイント:個人の決済領域で躍進していると噂があったカンムが、これまでの大型調達などの情報を公開してきました。本誌取材にカンム代表取締役の八巻渉さんがいろいろ答えてくれたのですが、まずは気になる現在の主力サービス「バンドルカード」について。簡単におさらいすると、いわゆるプリペイド型のクレジットカードです。リアル(物理的なカード)・バーチャル(アプリ)の両方で提供されていて、コンビニやセブン銀行ATM、ドコモ払いなどで使う金額をチャージして利用が可能になります。

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カンムが開発・提供するバンドルカード

普段、クレジットカードやデビットカードを使っている人からすると一瞬、用途が分からないかもしれませんが、主に活躍するのはオンライン決済のシーンです。特に若年層でクレカがそもそも持てない年代だったりすると、オンラインでアプリをひとつ買うのに親のカードを使う必要があります。そういうケースにさっとアプリでVisaの番号を発行し、必要な分だけチャージして使わせることが可能になります。

八巻さんのお話では、15歳から39歳までの利用が全体の8割を占めていて、特にポチッとチャージ!という後払いの仕組みを提供してから一気に伸びたということでした。また、一般的なクレカを持てる上の年代についても使いすぎ防止の観点で利用するケースが多いそうです。セブン銀行が出資したのも、チャージする場所としてセブン銀行ATMの利用が非常に多く、両社が今後の可能性を高く感じたからという説明でした。

決済・投資領域を狙う

では、これまで大きく出資してきたフリークアウト・ホールディングスと、セブン銀行という後ろ盾を得たカンムはどこにチャレンジするのでしょうか。ここで出てくるキーワードがリリースにもある「決済・投資」領域のプロダクトです。実は、まだ許認可等の関係からその詳細については非公開ということになっていますが、現在の決済領域に加え、投資分野のサービスを加えた個人向け金融プラットフォームの構築を狙う、ということになっています。

ここ数年、国内でもハードルを下げた形の個人向け投資領域は激戦が続いています。

例えば株式についてはOne Tap Buyのようなスマホ特化型の証券会社もあれば、LINE証券のようにコミュニケーションアプリに組み込むようなアプローチ、WealthNavi・FOLIOといったロボアド、bitFlyerやCoincheckといった暗号資産系も出てきています。具体的なサービスイメージに触れることはなかった八巻さんですが「相当に変わったアプローチになる」という気になるコメントだけ残していました。

フィンテック領域、期待の若手

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2011年当時にカンムも入居していた柳ビル。写真中央はみんなのマーケット社(写真提供:カンム)

かつて学生や若手の起業家がたくさん集まる六本木のビルがありました。「柳・セイコー・六本木ビル(※)」がそれです。2010年代、ここに集まった若手起業家たちは、CAMPFIREやくらしのマーケット、コイニー、FONDなどを次々と立ち上げ、フリークアウトやメルカリ、BASEなどはその後、大きく上場を果たすことになります。2000年代の方は渋谷ビットバレーという場所を記憶されていると思いますが、2010年代はそれがまさに六本木にありました。

八巻さんもここで出会った一人で、当時はクレジットカードをロイヤリティマーケティングに紐付けるCLO(カードリンクドオファー)のソリューション研究などを手掛けていました。そこからバンドルカードを生み出すまでの4年間はあまり表に出ず、さらにバンドルカードがヒットしたそこからの5年間も地道に積み上げを重ねることで、あまり派手な戦略は打ってこなかったように思います(マーケティングは適切にタレントさんなど使って展開されていました)。

長いサブマリン生活から一気に浮上してきたカンムが年末にどのようなプラットフォームを展開するのか。また、セブン銀行やフリークアウトHDがそこにどのように関与してくるのか。混沌とする国内個人向けフィンテック市場において台風の目になるか注目しています。