レンタカーを好きな場所までデリバリーする新ビジネス「Kyte」ってなんぞや

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Image Credit : Kyte

ピックアップ:Kyte raises $9 million to deliver rental cars to your doorstep

ニュースサマリー:レンタカーのデリバリーサービスを運営するKyteは5日、シードラウンドにて900万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家には、DN Capitalが参加し、個人投資家で元UberのEd Baker氏やJörg Heilig氏なども同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Kyteが提供するのは、レンタカーを希望する場所までデリバリーしてくれるサービスです。不思議に思うかもしれませんが、確かにレンタカーを借りる場合は店舗に行くか、もしくはカーシェアのポートまで向かうという選択肢が当然でした。Kyteを使えば「好きな場所まで」持ってきてくれますので、自由な移動の幅が広がります。Uberをそのままレンタカーできるようなイメージなんですが、ここでポイントになるのが「誰が持っていくのか」という点です。

レンタカー店の従業員が借りた人の自宅まで持っていけば同じようなサービスになりますが、Uberのようなリクエストを少ない固定の人員で対応するのは不可能です。

そこで彼らが採用したのがギグエコノミーの仕組みでした。実際に車を運ぶのはSurferと呼ばれる配達する人で、彼らが中間に入ることで「車を持ってきて欲しい人」と「車を持っていける人」のマッチングによってこの体験を成立させたのです。特にSurferと借主のマッチングのオートメーション化には力を入れているとしており、区間スケジューリングの最適化を目指しプラットフォームを構築しているそうです。これによってレンタルする側・配送する側の双方が時間的・金銭的利益を最大限享受できることがセールスポイントとなることを挙げています。

Image Credit : Kyte

ギグエコノミーと車といえば、Uberに始まり、個人の車をレンタカー化できるTuroなどが最近では台頭していた印象です。Turoも比較的フレキシブルに、場所の制限無くレンタルすることは可能でしたが、既に決められた選択肢の中からピックアップとリターンの場所を決めるという流れだったので、その点ではKyteに軍配が上がります。Kyteでは、Turoのように個人とパートナーシップを結ぶというよりも、レンタカーエージェンシーと契約を結び、Surferを介すことで貸し出し工程を効率化・最大化させます。利用者としてはレンタカーをする際の長い待ち時間や書類の記入など全てをスキップできるというのも大きな利点となるのです。

レンタカー事業者のHertzが昨年経営破綻をし、市場としても苦しい状況が続いていますが、Kyteのようなマッチングオートメーション化がさらに発展すれば新しい形で業界の再建も可能となるような気がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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