Grab-gojekとTokopedia-gojek、どちらの合併がよいビジネスとなるか?——東南アジア2人の投資家に訊く

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Image credit: Grab, gojek, Tokopedia

Grab CEO の Antony Tan 氏が合併後の事業体の支配権を譲ることを拒否したことから Grab と gojek の合併協議は暗礁に乗り上げる中、焦点は Tokopedia と gojek の合併協議に移っているが、これもまた長い間、検討されてきた話だ。これら3社間の対話は過去にも度々行われてきたが、最近ではより深刻なトーンになっている。

Bloomberg の最新報道によると、Tokopedia は gojek との間で180億米ドルの合併交渉を進めており、2社は互いの事業のデューデリジェンスを行うための詳細なタームシートに署名したとのことだ。報道によると、Grab と gojekに出資しているソフトバンクの孫正義氏は2社を統合させようとしていたが、そのメリットについて Tang 氏を説得することができなかったという。

実際、Tokopedia と gojek は2018年から合併協議を行ってきたが、gojek と Grab は両社の対話が行き詰まった後に勢いを増した。合併協議はまだ進行中であり、どの事業体が最終的に一緒になるのかはまだわからないが、Grab と gojek、Tokopedia と gojek、どちらの合併がよりよいビジネスとなるかを考えるのは興味深いことだろう。

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まず、Tokopedia と Grab の投資額と時価総額を見てみよう。

投資と戦略の観点から Grab と Tokopedia を見てみると、どちらもシリーズ H ラウンドのステージを超えている。つまり、IPO 以外に次のラウンドの資金調達の余地が無いということだ。さらに、さらなる成長、拡大、顧客基盤の拡大のために、事業に資金を投入し続けているため、両社共に黒字化できていない。

シンガポールを拠点とする Morphosis Capital Partners のマネージングパートナー Sergei Filippov 氏は次のように述べている。

しかし、これまでに Grab が調達した101億米ドルという巨額の資金と比較すると、累積調達額わずか28億米ドルの Tokopedia の方がはるかに機敏に見え、IPO の段階でより高い時価総額を得る余地が十分にある。

EC 大手の Tokopediaは、複数のラウンドを通じて28億米ドルを調達し、現在の時価総額は70~80億米ドル程度。つまり、投資家のにとっての投資対効果は2倍以上(2.5倍~2.75倍)になっている。それに比べて、これまで101億米ドルを調達してきた Grab の時価総額はわずか150億米ドルで、投資対効果は1.48倍にしか上がっていない。

Tokopedia と gojek の合併の方が良いビジネスとなり、市場価値を高めると信じているのはそういう理由からだ。

長年業界を注視してきた Filippov 氏はそう付け加えた。

ちなみに、The Information の報道によると、Grab Financial Group は、韓国の Hanwha Asset Management がリードした調達ラウンドで3億米ドルを調達したばかりだ。これは、Grab 傘下のすべてのフィンテックプロジェクトを擁する Grab の金融部門が、Grab とは別に IPO する可能性があることを示唆していて、Grab は gojek と合併する理由が無いことになる。

金融サービスが、Grab の時価総額が2016年の30億米ドル(配車サービスの提供のみだった頃)から2020年には150億米ドル(ウェルスマネジメントサービスや保険を提供し始めた頃)まで上昇した主な理由の一つであったことを忘れてはならない。(Filippov 氏)

さて、シナジーという点では、Tokopedia の C2C EC マーケットプレイスと gojek の配車サービス/デリバリ/フィンテック部門の間には、直接の競合にあたる gojek と Grab の2社よりも多くのシナジーがある。また、gojek はすでに Tokopedia に一日に数万件の注文を届けており、両プラットフォームには多くのオンデマンド商品が存在する。

EC と他の追随を許さない物流ネットワークを組み合わせることで、インドネシアや他の東南アジア諸国で Alibaba(阿里巴巴)や Amazonのような役割を果たすことができる。(Filippov 氏)

Tokopedia と gojek の合併は、市場の観点から見ても意味がある。

ソフトバンクは Grab と Tokopedia の主要株主なので、さまざまな合併交渉はすべて、より良いビジネスをもたらすことを目的としている。投資家を喜ばせ、成功に IPO でより多くの価値をもたらすというものだ。

これらの合併の組み合わせは、IPO 段階での潜在的な関心を推し量るべく、世論をテストするためにも存在していることを忘れてはならない。(Filippov 氏)

ユニコーンのジレンマ?

確かに、Grab、gojek、Tokopedia ——全社ともにユニコーン——は面白い三角形を形成している。しかし、業界ウォッチャーによると、これらの企業間での協議は、そのライフサイクルのこの時期に、すべてのテックビジネスにとって避けられない疑問に対処する必要があることを示している。

ユニコーンと呼ばれた後、ここから先はどこに行くのか、ということだ。実際、Grab、Tokopedia、gojek は Razer や Sea Group と同じように、2000年代後半から2010年代前半に設立されたテッスタートアップ企業だ。Sea Group と Razer の両社はすでに公開株式市場へと卒業し、立派な成功を見せている。

したがって、Grab、gojek、Tokopedia、そして、Traveloka さえ前例に続くかどうかを尋ねる人は多いだろう。そして、もしそうならば、「いつ」なのか、とね。 (Altara Ventures のジェネラルパートナー Dave Ng 氏)

彼の見解では、Tokopedia と gojek は競合要素が少ないため、事業が相互補完の関係になる可能性がある。彼らはまた、同じ主要市場(インドネシア)で事業を展開していて、合併し国を挙げてのテックチャンピオンとなることをアピールする可能性がある。

第二に、この結婚により、複数のプロダクトとサービスカテゴリにまたがる包括的なビジネスが生まれ、声rは真のスーパーアプリになる願望にさらなる追い風となる。第三に、文化と人々の観点から、両社は「インドネシアのためのインドネシアのテック」環境で育ち、双方の経営陣は実際に剣を交わしていない。

ビジネス人生を通して排除しようとしてきた人と対峙するよりも、協議のために寄り合う方が容易であることは想像できる。しかし、そのことが gojek と Grab の合併の場合と比べ、シナジー効果やメリットがあると意味するとは限らない。そうでなければ、最初の段階で gojek が Grab と意見を交わすことは無かっただろう。(Ng 氏)

とはいえ、これらの取引には長所と短所がある。Grab と gojek の合併では、市場のカバー範囲の統合、コスト面での効率化、地域の強力な人材プールの統合、言うまでもないドミナントプレイヤーの創出などが可能になる。しかし、これらを実現するには、リーダーシップ、人材、運営、プロセスの大幅な合理化が必要だ。

一方、Tokopedia と gojek の組み合わせは、さまざまな理由から魅力的に見えるかもしれない。しかし、両社はまだ黒字化していないと思われる。このような規模で、複数の事業を統合した場合、今後、大幅に拡大するための事業資金をどうやって調達するかを考えなければならない。それは些細なことではない。(Ng 氏)

【via e27】 @E27co

【原文】