上場企業からスタートアップへ戻るーー2000万ドルを獲得したThirdverse、國光宏尚氏がCEOに(1/2)

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Thirdverseは2,000万ドルを調達し、gumiの創業者である國光宏尚氏をCEOに指名した。彼はモバイルゲームを卒業し、バーチャルリアリティとメタバースの世界へと旅立つ。

モバイルゲームで一時代を築き、現在はVRに大きく賭けているシリアル・アントレプレナーにとってこれは大きな一手と言えるだろう。彼は日本の起業家であり、ゲームと共に人生を過ごしたCEOだ。

Thirdverse社は、『Sword of Gargantua(ソードオブガルガンチュア)』などのバーチャルリアリティゲームを開発する企業で、國光宏尚氏は、VRとメタバースを次の壮大なエンターテインメントプラットフォームとして確立することを目指している。

彼は2007年にgumiを設立し、日本におけるモバイルゲームの先駆者の1人となった。東京を拠点とするこのモバイルゲーム会社は「ブレイブ フロンティア」などのゲームを開発している。2014年には同社代表としてgumiを上場させ、2020年にはThirdverse(※訳者註:旧社名は「よむネコ」で設立は2013年、2020年に社名を変更している)を共同設立し、Virtual Reality Fund、gumi Cryptos Capital、そして東京、ソウル、ヘルシンキにあるいくつかのVRインキュベーターも立ち上げた。

國光氏は、gumiでのすべての役割(最近では会長)を後にし、共同設立者の新清士氏、伴哲氏、大野木勝氏らとともにThirdverseに専念することにした。VR、ゲーム、ブロックチェーンなどの技術が、『スノウ・クラッシュ』『レディ・プレイヤー・ワン』などの小説、『ソードアート・オンライン』といった日本のアニメに登場するような、仮想世界が相互に結びついたもう一つの世界「メタバース」へと誘うと確信したからだ。

彼はこれまでに培ったゲーム、VR、ブロックチェーン、グローバルビジネスへの展開などの経験を活かし、Thirdverseの成長を加速させるという。筆者は國光氏に本誌イベント「GamesBeat Summit」でインタビューを実施している。2021年1月のイベント「Into the Metaverse」では、アニメ『ソードアート・オンライン』のストーリーに触発され『レディ・プレイヤー・ワン』で想定されているようなメタバースを考えるようになったと振り返っていた。

Thirdverseへの投資

JAFCOグループがThirdverseへの投資ラウンドをリードし、Presence Capital、Sisu Ventures、Incubate Fund(インキュベイトファンド)、Animoca Brandsがこのラウンドに参加した。また、ゲームプロデューサーであり、inXile Entertainmentの創業者であるBrian Fargo氏がThirdverseのアドバイザリーボードに参加している。

かつて筆者のために『Swords of Gargantua』の初期バージョンをデモしてくれた大野木氏は、「グローバルなビジネスを拡大し、メタバースを創造するというミッションを達成するため、國光氏がCEOとして参加することを嬉しく思います」とコメントしている。

JAFCOグループのパートナーである北澤智武氏は、彼の経験とVRの未来に対する鋭いビジョンが、Thirdverseへの投資を決めた理由のひとつと語る。また、Animoca Brandsの会長であるYat Siu氏は、同社がゲーム配信やグローバル展開を拡大していく上で、國光氏の存在は非常に重要であるとコメントしている。

上場企業からスタートアップへ

Thirdverseは60人、一方のgumiは730人以上の規模だ。大手上場企業であるgumiからスタートアップに乗り換えるのはリスキーなことではないだろうか?

しかし、國光氏それを楽しみにしているという。

彼によるとThirdverseは、ゲーム、VR、ブロックチェーンにまたがるワールドクラスの技術開発・パブリッシャーチームを結成しているそうだ。今回のAnimoca Brandsからの追加出資により、同社はメタバースの複数年にわたるビジョンも推進していくという。國光氏は、昨年、Thirdverseの保有株式や商標権などをgumiの子会社から買い取ることで、CEO交代に備えたそうだ。交代について彼はこう説明する。

「gumiから完全に卒業し日常業務に関わることはありません。gumiに大きな問題はなくなったので、私はThridverseに集中することにしました。VRとブロックチェーンは私にとって新たなステージとなったのです」。

なお、同社のCEOにはこれまでCFOを務めてくれていた川本寛之氏が就任している。

次につづく:「これがゲームとインターネットの未来なんだ」ーー2000万ドルを獲得したThirdverse、國光宏尚氏がCEOに(2/2)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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