コロナ禍、DXへの取り組みで分かれる企業生き残りの明暗【Canvas 1月号(1月29日〜2月4日)】

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コロナ禍、DXへの取り組みで分かれる企業生き残りの明暗

今週の話題(1月29日〜2月4日):クラフトビール業界DXの「Best Beer Japan」、7,000万円をシード調達——醸造所ECから料飲店向け業務基盤を目指すリモートワークのキャスター、13億円をシリーズD調達——登録人材1,000名超、利用企業累計2,000社を突破

新型コロナウイルスの感染拡大から2年を経過し、職業や業態の変更を迫られた会社や人々も少なくないと思います。人と接することで対価を受け取るサービス業は特にインパクトが大きかった分野でしょう。ただ、そんな中でも DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んだことで、努力が実り存続の危機を脱した企業や店舗も多く出てきています。

今週資金調達した Best Beer Japan(BBJ)ですが、彼らは醸造所と料飲店の生死を間近で見てきています。BBJ はクラフトビール業界の DX を目指していますが、企業と違い、小規模生産や小売現場の人たちに DX と言ってもピンと来ません。売上が上がるツールを提供することで、結果的に DX できてしまうという妙。普及の二の足を踏むあらゆる IT ツールに応用できるヒントです。

7,000万円のシード調達を発表した、Best Beer Japan 創業者兼 CEO の Peter Rothenberg 氏
Image credit: Masaru Ikeda

そしてリモートワークの雄キャスターですが、コロナ禍で逼迫する企業のコーポレート業務のオンラインワーカーによるサポート需要を追い風に、13億円の2桁億円調達を成功させました。他の多くのスタートアップと同じく、渋谷に本社を置いていたキャスターですが、コロナで本社に出社できない社員が増えたのを機に宮崎県西都市に本社機能と登記を移しました。

最近、ヤフーや NTT なども社員の居住地条件を撤廃しました。こうした変化は、コロナがひと段落した後も戻らない不可逆なものと信じたいですが、仕事を支援するツールや環境づくりにはまだまだ充実が求められます。より柔軟な労働条件を提案ができる企業には優秀な人材が集まり、そうでない企業にはそれが難しくなる。こうして生まれる二極分化から企業淘汰が始まっています。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

東証マザーズへの上場が承認された「CaSy(カジー)」
Image credit: CaSy

〝AIの眼で見る〟Webアプリセキュリティツール「AeyeScan(エーアイスキャン)」開発、プレシリーズAで3億円を調達(2月3日)

  • エーアイセキュリティラボは、直近のラウンドで3億円を調達したと発表した。プレシリーズ A ラウンド相当と推定される。このラウンドはグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)がリードし、Salesforce Ventures、グロービスの G-STARTUP ファンド、ANRI が参加した。これは、2020年7月に実施したシードラウンド(ANRI から数千万円)に続くものだ。なお、GCP のプリンシパル南良平氏が社外取締役に就任したことも明らかになった。

京都フュージョニアリング、13.3億円をシリーズB調達——脱炭素で注目を集める核融合炉の部品開発(2月2日)

  • 核融合炉部品開発の京都フュージョニアリングは、シリーズ B ラウンドで13億3,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、産業革新投資機構傘下の JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、ジャフコ グループ(東証:8595)、大和企業投資、DBJ キャピタル、JGC MIRAI Innovation Fund(日揮とグローバル・ブレインが運営)。

広告効果最大化「ADVA」運営のサイカ、シリーズEラウンドで37億円を調達——累計調達額は59億円に(2月2日)

  • 広告効果分析マーケティングツールを提供するサイカは、シリーズ E ラウンドで37億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが共同運営)と、名前非開示の日本内外の機関投資家複数。また、日経によれば、これら投資家には、任天堂創業家のファミリーオフィス Yamauchi No.10 Family Office が含まれる。サイカにとっては、2020年9月に実施したシリーズ D ラウンドに続くものとなる。本ラウンドを受けての累計調達額は59億円。

緑内障検査機器開発のクリュートメディカルシステムズ、東大IPCなどから3.2億円を調達——米市場進出と量産化加速へ(2月2日)

  • クリュートメディカルシステムズは、直近のラウンドで3億2,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)、芙蓉総合リース、フューチャーパートナーズ。シリーズ C ラウンド相当と推定される。同社にとっては、2015年6月の約3.8億円(シリーズ A ラウンドと推定)、2018年12月の約2.5億円(シリーズ B ラウンドと推定)に続くもの。東大 IPC は2018年12月のラウンドに続くフォローオンでの参加。累積調達額は約9.5億円に達した。

リモートワークのキャスター、13億円をシリーズD調達——登録人材1,000名超、利用企業累計2,000社を突破(2月2日)

  • 宮崎に本社を置き、全国を対象にオンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」など人材事業を展開するキャスターは、シリーズ D ラウンドで13億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、インキュベイトファンド、グリーンコインベストメント、AXIOM ASIA Private Capital 、山口キャピタル、第一生命保険。

美容医療の口コミ・予約アプリ「トリビュー」運営、ニッセイ・キャピタルらから10億円をシリーズB調達(2月2日)

  • トリビューは、シリーズ B ラウンドで10億円を調達したと発表した。このラウンドは、ニッセイ・キャピタルがリードインベスターを務め、W ventures、三菱 UFJ キャピタル、KDDI(東証:9433)、ポーラが参加した。同社にとっては、2019年8月のラウンド(シリーズ A と推定)に続くものだ。ニッセイ・キャピタルと三菱 UFJ キャピタルは、前回ラウンドに続くフォローオンでの参加。

クラフトビール業界DXの「Best Beer Japan」、7,000万円をシード調達——醸造所ECから料飲店向け業務基盤を目指す(2月1日)

  • 醸造所や料飲店向けに、クラフトビール流通に関わるデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを提供する Best Beer Japan は、シードラウンドで7,000万円を調達したことを明らかにした。同社にとっては、2018年7月のエンジェルラウンド、2021年2月のプレシードラウンドに続くものだ。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

ソウルの乗合タクシー呼出アプリ「i.M」運営が76億円をシリーズA調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(1月31日)

  • i.M Taxi( 아이엠택)」運営会社 Jin Mobility(진모빌리티)が、シリーズ A ラウンドで800億ウォン(約76億円)を調達した。これをもとに i.M Taxi 1,500台以上の増車のほか、自動運転パイロットサービス技術の高度化、車両ラインナップ拡大などに乗り出す方針。

ByteDance(字節跳動)、メタバース? 的なソーシャルアプリと3つの新サービスをテスト中【報道】(1月29日)

  • 中国のテックユニコーン ByteDance(字節跳動)が、新しいソーシャルアプリのほか、3つの新製品・サービスを社内テストしていると、中国メディア Tech Planet(Tech 星珠)が27日、初めて報じた。ソーシャルアプリ以外の3つのサービスとは、検索アプリ、ゲームコミュニティプラットフォーム、近距離自動配送サービスだ。

台湾モバイル、ポッドキャストプラットフォーム「SoundOn」に出資し持分比率2位に——「MyMusic」の番組充実狙う(1月29日)

  • ポッドキャストプラットフォームを提供し、台湾の Apple Podcast の中国語ホスティングパートナーを務める SoundOn Global(声浪)は、通信グループの Taiwan Mobile(台湾大哥大)から戦略的出資を受けた。取引の詳細は未公表のままだ。

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