YouTubeアニメのPlottと、動画マーケのBUZZCASTが経営統合——IPビジネスを強化、海外事業もワンチームで展開へ

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左から:奥野翔太氏(Plott 代表取締役)、山田雄介氏(BUZZCAST 代表取締役)
Image credit: Plott

YouTube アニメの制作・配信を行う Plott と、動画マーケティングなどを展開する BUZZCAST は27日、経営統合することを明らかにした。株式交換により、Plott が BUZZCAST を買収する形をとり、Plott が事業承継会社となる。Plott 代表取締役の奥野翔太氏が経営統合後も Plott の代表取締役を続け、BUZZCAST の代表取締役だった山田雄介氏は、Plott でビジネス開発部門統括のポジションに就く。なお、買収額などについては明らかにされていない。

Plott の前身となるファボは2017年、当時、筑波大学に在籍していた奥野氏により創業。当初はインフルエンサーマーケティング、お笑い系 VTuber 集団「ワラシベ興業」、ライブ配信の「御伽りざれくしょん」などを運営していた。最近では、YouTube アニメ「テイコウペンギン」で人気を集めている。これらのプロジェクトで評価を得た同社は Tokyo XR Startups の第4期のデモデイに登壇しているが、当時ステルスだった頃から BRIDGE の記事ではカバーしていない。

一方、BUZZCAST は2015年創業(当時の社名は AppStair)。2016年1月にメタップスの連結子会社化となり、以前はゲーム開発者だった山田氏が代表に就任した。その後、2016年10月、事業拡大を目的として MBO(経営陣による買収)を実施。同社の事業は YouTuber を活用したプロモーション効果測定ツールを提供するマーケティング事業と、YouTube を中心とした2次元コンテンツの制作運用の2本柱だ。コンテンツ事業では集英社と共同で VTuber を立ち上げるなど、IP 開発にも積極的だ。

左から:奥野翔太氏(Plott 代表取締役)、山田雄介氏(BUZZCAST 代表取締役)
Image credit: Plott

Plott と BUZZCAST は互いに領域が重なっている部分もあり、奥野氏は創業当初から山田氏とコミュニケーションがあった。また、両社は共に gumi Ventures から出資を受けており(Plott は2019年8月に公表したプレシードラウンド、BUZZCAST は2018年10月に公表したラウンド)、同じ出資者から支援を受けた〝兄弟〟として gumi Ventures ポートフォリオのコミュニティに参加していて、一緒になることでもっと大きく成長していかないか、との話になり、今回の経営統合に至ったという。

奥野氏と山田氏という、2人のキャリア・スキルセット・世代の違いが、双方にとって補完関係となっている点も理想的な組み合わせだった。奥野氏は現在26歳、さまざまなコンテンツを生み出していることからも想像しやすいように、コンシューマ向けコンテンツのクリエイター的指向が強い。一方、山田氏は複数のキャリアを積んだ38歳で、メディアやエンターテイメント各社と協業や提携を行うなど、ビジネス開発に長けた人物だ。両者が手を組むことで、ビジネスはより速く大きなものに育つ、と判断したわけだ。

Plott が保有する IP コンテンツ(一部)
Image credit: Plott

2人は力を合わせることで、グローバルで戦えるような大ヒット級の IP を生み出したいという。特にターゲットするのはアジアだ。コンテンツや IP 開発系のスタートアップが力を合わせることでアジア市場で事業を拡大する動きは、最近ではクオン と wwwaap の経営統合(新会社名は Minto)にも見られる。

Plott では現在、複数のYouTubeチャンネルを運用しており、月間再生数は合計1億件(年間12億件)、チャンネル登録者数合計365万人に達している。経営統合後の Plott の社員数は総勢100名程度となる見込みで、今後、YouTube や TikTok でのアニメーション制作サービスを強化し、コンテンツや IP パートナーの募集も始める。

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