【Web3起業家シリーズ】ユーザエンゲージメントを革新する〝2人の大輔〟——SUSHI TOP MARKETING 徳永氏&大塚氏

左から:CEO 徳永大輔氏、CTO 大塚大輔氏
Image credit: Sushi Top Marketing

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

バスケットボール選手の名プレイをデジタル版のトレーディングカードとして購入・固有・取引できるNFT「NBA Top Shot」が発表されたのは2020年11月のこと。2年が経過した今、世界の120万人以上が利用し、売上は10億米ドルを超えました。NBA Top Shot は「バスケファンだけど、Web3やトークンはよくわからない」という人にも広く受け入れられ、Web3技術を社会実装させた好例として、よく引き合いに出されます。実際、このニュースをきっかけに、NFTの購入を始めた方も多いのではないでしょうか。

NFTにはさまざまな機能があり、その一つはファンに手にしてもらうことで、事業のマーケティングに使えるというものです。IP大国の日本では、エンタメ産業を筆頭にさまざまなキャラクタがいて、それぞれのキャラクタにはファンがいます。売上の確保に貢献するだけでなく、そういったファンを魅了しながら、コンシューマ向けサービスや商品の認知度向上を狙えるため、NFTマーケティングには大きな可能性があるのではないでしょうか。SUSHI TOP MARKETING の徳永大輔氏さんと大塚大輔さんに話を伺いました。

大塚:トークングラフマーケティングという形でNFTを使って、企業さんの広告などに使っていただけるような開発・導入をしている会社です。まだNFTをやっている人が少ない頃に、銀座のお寿司屋さんのNFTを一緒に作ろうという形で、趣味で集まったのが設立の経緯です。板前の技というのがありまして、それがアメリカで少し前に流行っていたバスケットボール選手の技と近しいんです。アメリカでは、「NBA Top Shot」というNFTが人気を集めました。

NFTの配信では、まずはどんなものをNFTにしたいかというデータをもらい、それをNFT、ブロックチェーンに適合する形でデータを保存した上でブロックチェーンに書き込む必要があります。普通のデータをNFT形式に変換して、それをユーザに送るという形になります。

OpenSeaでは何かを買うときはOpenSeaに購入依頼を出してから送られてくるんですが、弊社が扱うのはマーケティングなので、無料でもらえるNFTが多いです。

このビジネスを始められたきっかけを伺えますか。マーケティングにNFTを使おうと思われたきっかけは何でしょう。

徳永:私はもともと広告業界にいました。新卒で山と渓谷社という登山系の出版社に入り、そこでアナログな広告の企画に携わっておりました。その後、寿司のイベントみたいなのをやった時に、個人に対してトークンを送ることによってコミュニケーションできるということに非常に面白さを感じたんです。今までの広告とは違う、企業と個人とがトークンを介在させてやり取りするというところに非常に可能性を感じました。

NFTを使ったマーケティングは、使わないマーケティングと比べ、どういう利点があるのでしょうか?

大塚:トークングラフという形で、NFTを所有している人同士の情報が分かりますし、同じNFTを持っているということで仲間意識が出てくるなんてところもあります。これが非常にファンマーケティングの領域と相性が良いということが今のところ見えています。

ファンコミュニティを作るため、Discordや世の中で使われているものも導入しますが、それでは足りない点があったので自社で開発したりもしました。自社システムの方がスムーズにコミュニティにできるんじゃないかと思います。Webシステムのようなものも開発しています。

お客様としては、コンシューマー向けのところで、コンシューマー同士が商品やアイドルの魅力をやりとりしあったりとか、そんなところが多いと思います。逆にB2Bの大きな一台の装置とか、そういうのをやりとりするところは確かにお客さんとしてはそんなに多くないです。

Image credit: Sushi Top Marketing

ここから新たなる展開としては、どういった攻め方を考えていますか?

徳永:我々がやりたいのはトークングラフマーケティングの文化を作るということなんです。文化を作ってそれをシンプルに売っていくということなんですけれども、こういうのをやって、企業と個人がちゃんとトークンでコミュニケーションしていく文化を作るには、大きい協力者が必要だと思っています。

そういった意味で、僕らは大日本印刷さんとか電通さんとか、KDDIさんも含めて協業しているんですけれども、シンプルに大企業とベンチャーのコミュニケーションというか、協業はうまくいかないと思っています。

なぜかというと、大企業はベンチャーと組むことによって安く開発委託できると思う。ベンチャーは高く受託したいと思うので、コンフリクトがあるわけですね。それを回避するためにベンチャーと大企業が一緒のソリューションを作りたいわけなんです。

なので、大きいパートナーと組んで一緒に売る商品というかプロダクトを作ってそれを一緒に売っていくというようなパートナーシップを組む。一言で言うと大企業さんと共同プロダクトみたいなのをいっぱい作ってスケールしていくというのが僕らのアウトルックです。

僕がもともと出版社にいた関係で印刷についても詳しいんですよね。うちの特許技術で、一回しかNFTを発行できないQRコードというのがあります。そういうのを雑誌のおまけにつけることで、例えば大日本印刷さんだと、いろんな出版社さんにソリューションを提供できる。デジタルコンテンツを封印したカードが配るというようなソリューションを作れるわけなんです。

お互いがいることに必要性があるプロダクトというか、お互いの強みを生かした共同のプロダクトを作って、大量に、世の中のいろんな人に広めていくというのが我々のやりたいことです。

Image credit: Sushi Top Marketing

先ほど「文化を作ることに注力したい」というお話がありました。ファンマーケティングやユーザエンゲージメントを考えると、コンシューマー向けのサービスを作ってらっしゃる会社の方が親和性は高いと思うのですが、まだまだ世の中には浸透しているとは言えない感じです。今後、何かブレイクスルーはあるでしょうか。徳永:そもそもウォレットの開設数で言うとフィリピンが人口の30%に対して、日本は1%未満と言われています。フィリピンで「Axie Infinity」というゲームがあったように、キードライバーの出現が必要なんですよね。そういうのが来るとすぐに環境が変わるような気もしますが、それを待っているんじゃなく、逆に我々がキードライバーになっていくくらいの気構えでやっていきたいと思っています。いろいろな人にNFTとかウォレットを使ってもらうためには、より一般の人々に密接なところでNFTを配っていく必要性を感じています。そういった意味ではデベロッパーさんであったり、街づくりですね。また、自分たちがよく行くような街とか商業施設で簡単にNFTがもらえると、より広がっていく。我々がキードライバーになれる可能性も十分にあると思うので、そういう意味では面を持っているクライアントさんと積極的に提携していきたいです。デベロッパーさんや街づくりをしている会社さん、駅ビルさんとか商業施設さん、百貨店さん。そういうところへNFTをゴリ押しするんではなくて、こういう便利なツールがあるんですよという感じで、コミュニケーションしていきたいと思っています。

Axie Infinitty の場合はお金が儲かるという、コロナもちょっと重なったと思うんですけど、それがすごく追い風になったと思いますが、日本ではなかなかそういうことは起きにくいかもしれません。一方でポケモンGOなんかは社会現象が起こりましたね。

徳永:ポケモンGOは非常に良いアナロジーでして、ポケモンGOってみんながポケモンGOを端末に入れて持ってないとできないわけじゃないですか。あれと同じことが全てのIPでできますよ、というのが我々のコンセプトの一つです。

ポケモンの映画に行くと大体ポケモンがもらえるんですよ。あれと同じようなことがあらゆるコンテンツで体験できますよというのが、そこにNFTとかブロックチェーンを介在させていく必要性なんですよね。

また、必ずしも海外の事例をなぞる必要はないと思っていて、日本だったら日本にしかない「推し活」みたいな文化ってあると思うんです。例えば高齢者の方にNFTを出すのは無理だと言われるんですけれども、逆に、例えば歌舞伎だったり、氷川きよしのNFTとかだったりすれば40〜50代の人が逆に積極的に取るかもしれないし、結構コンテンツに依存すると思います。

なるほど。元々SUSHI TOP SHOTはNBAにヒントを得たんだと思いますが、「SUSHI」と名前がついてるので、ひょっとしたら結構海外展開を考えたのかなと思ったんです。

徳永:おっしゃる通りです。最初はNBA Top Shotへのオマージュなんですけども、名前に関してはめちゃくちゃ考えました。僕らはNFTでマーケティングするっていう、文化という一番難しいものを作ろうと思ってます。なぜ難しいかと言うと再現性が無いからなんですね。一番大事なのはこの事業への認知を取ることだと思っています。そういった時に寿司とマーケティングとテクノロジーが絡まっていて、この気持ち悪い違和感みたいなことが、覚えてもらう上で大事だと思っています。そういった意味でこういうネーミングにしています。

ビジネスとしてはまず最初は国内企業から攻めていくという、そういう順番ですか?

徳永:いや、実は最近サンフランシスコのPolkadotのイベントで使ってもらったり、サウジアラビアのアニメエキスポで弊社のシステムを活用していただいたりと、徐々に海外での事例も増えつつあります。ですが、国内のクライアントさんからのお問い合わせが多い感じです。

基本的にトークン配布は汎用性は高いです。ですが特に注力しているところで言いますと、大きく分けて3業種だと思ってます。

一つが広告とかメディアの会社です。日経新聞でNFTを配るというのをこの間やりました。オールドメディアの問題って、読者の顔がが分からないことです。だけど、そこにNFT配布のQRコードでつけることによって、何人が主体的にそこからNFTを受け取ったかが誰でも分かるんです。そういう新しい体験をオールドメディアと一緒に作っていける。

二つ目が、NFTを常時面で配布したいので、商業施設やデベロッパーさんといった、大きな物理的な面を持っている会社さんと一緒にNFTを常時配布するような場所づくりをしていきたいです。

三つ目に関しては、先ほど出版社のところで申し上げたんですけれども、1回だけ配布できるQRコードという技術を持っているんです。これはすごく可能性があって、例えば服。3,000円のTシャツがあって、これを5,000円で売ります。5,000円で買った場合にはカードが1枚ついていて、それをスキャンするとNFTが1回だけもらえて、その3Dデータの同じTシャツのデータでメタバースでも着られる、というようなことができるんです。そのためには小売業、例えばアパレルブランドさんとかで価値を追加したいような会社になりますね。

SUSHI TOP MARKETING は、寿司屋「渡利」でNFTを出されたのが発端ですね?

「Sushi Top Shot」で発行されたNFT。
Image credit: 銀座渡利

徳永:それで言うと、最近、渡利で面白いことがあって、この前、私と大塚と2人で渡利に行ってきたんですけど、0xMakiっていうSushiSwapの創業者とお寿司を食べてきたんです。SushiSwapはまさに2020年の「DeFiサマー」を牽引した存在で、僕らにとっては、SushiSwapのSUSHIトークンでお寿司を食べるいうのがオリジンなんですよ。それがこの前叶ったわけなんですよね。

これは本当にすごいことで、多分、彼が日本に来て最初に会ってくれたのが僕らなんです。そういったところで、このプロジェクトは本当に1年いい区切りだったなと思ってます。

これは世界のDeFiの中でも結構有名な1つの節目なんですよね。伝説的なプロジェクト、伝説的な創業者と一緒に僕らがコミュニケーションできたので、日本ってなかなかプロダクトだけだとグローバルに行かない印象があるんですけど、そういうのもブロックチェーンを使うと、うまくいかなかった理由が概ね解決できるんですよね。グローバルでちゃんと勝負できる存在感を出せるような、そういうプロダクト、プロジェクトにしていきたいなと思っています。

僕らはスタートアップとしてAppleをリスペクトしています。Appleはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが立ち上げて世界を変えた会社です。2人のスティーブから始まっているんですよね。僕らは徳永大輔と大塚大輔、2人の大輔で世界を変えていきたいなと思っています。

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