Cyberpunk 2077の世界を再現するーー相互運用可能な「デジタルユニバース」Avalonが1,300万ドルを調達

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原点

Avalonの共同設立者兼CEOのSean Pinnock氏

(前回からのつづき)Pinnock氏は、デジタルユニバースを作ることをずっと夢見ていて、それがゲーム開発の世界に入った理由だという。しかし、何から始めればいいのか見当もつかなかったそうだ。そんなとき、Butler氏がEverquest Nextについて講演しているのを見て、自分たちと同じようなビジョンを持っていることに気づいた。

Butler氏はPinnock氏に自分が作りたいゲームのことを話したところ、Pinnock氏が彼の言葉で内容を補ってくれた。Butler氏は2人が同じようなゲーム世界を作りたいと思っていることにショックを受けた。

Butler氏は、デジタルオーナーシップとユーザー生成コンテンツの力について語り、Butler氏が「Vanguard」というオンラインゲームに取り組んでいた頃、EpicのCEO Tim Sweeney氏とこれらの夢について語り合ったそうだ。

Sweeney氏は、開発者がUnrealを使用してメタバースのようなものを作成することを望んでいた。そしてButler氏はそれがオープンであることを望んでいた。Pinnock氏は次のように語る。

「ディストピアのようなものを作っている他の会社によってメタバースが作られることを深く憂慮しているのです。私たちがやっていることの倫理観はそれに完全に反しています。メタバースをどのように民主化し分散化すればよいのか。これらはもっと多くの人が話してほしいと思う重要な要素です」。

Butler氏とPinnock氏は1年半ほど前に一緒に仕事をするようになった。空虚ではなく人々で溢れ、喜びに満ちたゲーム世界を作りたいと考えている。Pinnock氏はインディーゲーム、バーチャルリアリティタイトル、ユニバーサルスタジオやDave & Busters向けのゲームに携わった経験がある人物だ。

Butler氏は初期のMMOに携わっていた。「older than Sean is.」「Dungeons & Dragons」のキャラクターシートに携わった経験もある。Butler氏は次のように語る。

「私たちには若気の至りが必要なんです。私はこの業界で働く多くの友人と出会いました。めちゃくちゃ面白いことにファンファーレに包まれて祝福されている75歳のゲーム愛好家に会ったこともありますし、私たちがプレイするゲームを愛してくれる15歳の人たちにも会いました。これこそまさに若気の至りで、その高揚感を表現しているのです」。

1990年代にEverquestに携わったButler氏は、かつては軍隊が必要だったような世界を人々が創造できるように、ジェネレーティブAIなどの今日のツールは著しく効率的だと考えているという。他の人が作ったものを編集し、その過程で貢献した分のお金を稼ぐことが簡単にできる方法があるべきだと考えている。「ジェネレーティブAIは戦力増強剤」とButler氏は言う。

UGCとジェネレーティブAIで土台を作る

Avalonの最高製品責任者のJeff Butler氏

Pinnock氏は資金をこのデジタルユニバースの基礎構造を構築するために投資すると語った。リアルタイムのインタラクション、スケーラビリティ、人々が使いやすいツールといった問題への取り組みが含まれる。Pinnock氏は「本当に難しい技術的な課題をたくさん解決している」と語る。

ツールは使いやすいものでなければならない。MayaやUnrealで構築するような感覚ではなく、ゲームの中でゲームをプレイするような感覚であるべきだとButler氏は考える。Pinnock氏はジェネレーティブAIは、一般ユーザーが素晴らしいユーザー生成コンテンツを構築するのに役立つと考えている。

「若者や経験の浅いゲーム開発者、あるいは経験豊富な開発者が、週末に友人と一緒にトリプルAクラスの体験を簡単に作れるようにしたい。また、例えばゲーム開発者のようにコンテンツを作って生計を立てている人たちにも、同じように気軽に参加してもらい、私たちの作品を使ってゲームのビジョンを実現してもらいたいと思っています」(Pinnock氏)。

ライバルはユーザー生成型のゲーム世界のためのプラットフォーム「Core」を持つManticore Games社だ。Pinnock氏は、類似点があるとしながらも、NPCのAIやNaniteのような技術、Star Warsのコルサントのような世界観など、多くの新しい技術を活用していると教えてくれた。

「本当に人々の心を揺さぶり、非常に簡単に作成できるようなものにしたい」。Pinnockはそう語る。

同社は、技術的にはフロリダ州オーランドを拠点としており、チームは米国内の多くの都市と10カ国に分散している。フルタイムの社員が30人、契約社員が数十人いる。さらに募集中で、世界中に人材を求め、リモートファーストを貫くとのこと。そして、製品を出荷する頃には、かなりの規模に成長させるつもりだ。

ステルスを維持する

Avalonはデジタル ユニバースを構築する

彼らは自分たちが作っているものについてもっと話したがっているが、今のところ沈黙を維持しなければいけない。分散化がゲーム制作を民主化する道であると考え、ブロックチェーン技術を使用している。また、デジタル資産の所有権、相互運用性、支払い方法の鍵になると考えている。

「私たちはパラダイムを壊したいと思っており、ブロックチェーン技術はそのための完璧な選択肢です。最も重要なことは、中央集権的でない方法でこれを行うことです。メタバースについて考え始めたら、ディストピア的な未来を回避できるような方法で行いたい」とPinnock氏は力を込める。

彼らは、暗号通貨やブロックチェーンのゲームに悪徳業者がいることを認めている。しかし、同社は人類にとって有益な形でこの技術を利用するつもりだとPinnock氏は言う。その意味で、ブロックチェーンは単なるツールに過ぎない。

彼は最終的にデジタルユニバースに教育、トレーニング、シミュレーション、健康、メンタルヘルスに関連するコンテンツが含まれることを望んでいる。しかし、まずはゲームからが本番だと感じているそうだ。

Cyberpunk 2077の世界を再現し、その中でプレイヤーが出会い、3Dアバターと対話する多人数参加型ゲームを実現したいのだ。そして、そのような環境の中で、プレイヤーが何かを学んだり、精神的な健康を増進させたりできるようにしたいと考えている。それが彼らにとってのメタバースなのだ。

「やっとこの話ができて、とても興奮しています。でもまだ話せないこともたくさんあるんです」とPinnock氏はインタビューを締め括った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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