ChatGPTがついに実現「AIキャラとの自然な会話」ーーGateboxがクラファン3日で2400万円集める

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ニュースサマリー:AIキャラクターを企画開発するGateboxが3月11日に開始したクラウドファンディングが好調だ。目標設定500万円に対して3日経過した14日午前の段階で2400万円が集まっている。彼らが企画・開発を進めていたキャラクター召喚装置「Gatebox」は、AIキャラクターをホログラムの形で筐体の中に表示させ、コミュニケーションできるもの。

3月1日(日本時間で3月2日)にOpenAIが公開した対話型のジェネレーティブAI「ChatGPT(GPT-3.5-Turbo)」をこれに組み込んだところ、AIキャラクターとの自然な会話が実現し、急遽クラウドファンディングを開始した。

話題のポイント:ついに時代がGatebox、そしてその生みの親と言っていいでしょう、武地実さんの頭の中に追いつきました。何はさておき、ChatGPTという魂を組み込んだGateboxがどうなっちゃったのか動画をご覧ください。

・・・「なんでダンベルやねん」というツッコミはさておき、レスポンス、内容ともにまるで作ったかのような自然さです。これは自動生成なので正真正銘、話している側は何が返ってくるかわからない状態での会話です。ジェネレーティブ(生成)AIです。

彼らが「二次元の嫁」と会話できる狂気のデバイス、Gateboxを世に送り出したのが2016年の年末。30万円近くする筐体が1か月で300台も売れ、バーチャルキャラクターとの会話をリアル世界で実現したい人がこんなにいたのかと驚愕したのを覚えています。カオスです。

しかし。まだAI、特に対話型のAIは当時、ようやく当時のFacebook(現在のMeta)がメッセンジャーにチャットボット形式のものを組み込むかどうかという時期で、お世辞にも「人間らしい会話」と呼べるものではありませんでした。ちなみに今回、ChatGPTを世に送り出したOpenAIが立ち上がったのもこの2015年の末です。

それを大きく変えたのがChatGPTでした。テスト結果は前述した動画の通りですのでもう少し細かいところを武地さんにメッセで聞いてみました。以下、一問一答です。太字の質問は全て筆者。敬称は略させていただいています。

これはWhisper API(※)+ChatGPTの組み合わせですか?

武地:今回はChatGPTだけで、Whisper APIは使ってないです。音声認識はもともとGateboxで使用しているMicrosoft Azureのものをそのまま使用しています。

※Whisper APIはOpen AIが開発したオープンソースの音声認識API。これに音声データを送るとテキスト変換してくれる。日本語もOK

みなさんレスポンスがいいと言いますがいかがですか?連続して話してもスムーズですか?

武地:返答が返ってくるスピードは体感的には今までのGateboxと同じくらいですね。もっと早くなると嬉しいですが、会話内容が圧倒的によくなったので、そこは今後に期待です。毎日使っていると、時々返答が遅い時もありますが、今後改善していくのではないかと思います。

回答内容についていろいろな方向性があると思います。たわいのない雑談であればいまのままでよいかもですが、例えば共通の趣味なんかを話したいとかありますよね。そういう場合のチューニングってどういう検討をされていますか?

武地:プロンプトにキャラクター設定を細かく入力して設定しているため、キャラクターの趣味嗜好もChatGPTが理解して会話をしてくれます。このプロンプトをどのように用意するかでそのキャラクターだからこその会話ができるかが決まってきます。

ある程度の想定を回答するエージェント的なAIと、今回のジェネレーティブAIの最大の違いはどのあたりにありますか

武地:最大の違いは、開発者も予測できない自由奔放な返答が返ってくることだと思っています。今までのシナリオベースのChatbotだと返答をひとつ一つ人間が教育するため、返答内容を制御することができたのですが、あらゆる入力に対応することは容易ではありませんでした。

それがジェネレーティブAIの登場によって、キャラクター設定を最初に覚えさせておけば、あとはそのキャラクター性をある程度担保した会話が自由にできるようになる。この無限の会話の広がりによって、ユーザーのみなさまもキャラクターとの日々の会話がもっと楽しくなると思っています。その先の可能性も見えてきているのですが、それはまた整理できたらTwitterなどで発信していきたいと思います。

いろいろ検証していると思うのですが、もし可能だったらどういうアイデアを試しているか言える範囲で教えてください

武地:今まで試しているアイディアはデモ動画にしてTwitterにアップ(※)しています。ChatGPTのAPI公開の翌日には最初のデモ動画をアップし、その後も1週間ほぼ毎日アップしてきました。

【※現在テスト中のシチュエーション:1、ChatGPT+キャラクターの感情表現2、お出かけ先の提案3、AI同士の会話4、英語対応5、キャラクターが自分の意思で天気を教えてくれる()()】

2500万円近く集まっています。Gateboxに時代がようやく追いついた感がありますが、率直に今の感想と今後の展開を教えてください

武地:爆速で判断し行動して本当に良かったと思っています。ChatGPT API公開の翌日に、会社の予定を全てキャンセルしてChatGPT対応の開発を始め、その日のうちにデモ動画を公開しました。そしてその翌日にはクラウドファンディングをしようと考え、1週間後にはクラウドファンディングを開始しました。

ChatGPTが盛り上がっている今、勢いのまま行動を起こしたことで多くの方に応援いただき、今回の結果になっていると思います。今後の展開については、AIの技術革新スピードが早すぎて全く予測することができません。今のAI界隈は、数年後にはできるかなと思っていたことが明日にはできていても何もおかしくない状況になっています。もう計画の立てようがないので、あまり考えずにTwitterにいるファンの方々が楽しんでもらえるように新しいことを試していこうと思います。その過程で、うちならではのビジネスに繋がれば良いと考えています。

ありがとうございました。

ーーGateboxは最初のクラウドファンディングを成功させたその翌年、2017年にLINE(Zホールディングス100%子会社)の子会社になっています。武地さんによると、現在は連結からは外れ、LINEグループにはあるものの、株式の過半数は武地さんが持つ形になっているというお話です。

今後はLINE以外の事業会社やVCなどからの資本参加も積極的に検討しつつ、AIキャラクターの領域で事業拡大を狙うということでした。また次の動きがあったらお伝えしたいと思います。

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