
皆さんは、近年持続可能なタンパク質源として昆虫に注目が集まっているのはご存じでしょうか。日本でも昔からイナゴや蜂の子を食べる習慣があったり、バラエティの罰ゲームとして昆虫食が登場するため、そのままの姿で調理されているものを食べるイメージが強いかもしれません。
もちろん、人間が摂取するタンパク質源としての昆虫も発展を続けていますが、家畜やペット向けに昆虫栽培する動きが加速しているのです。
Crunchbase によると、現にここ数年で6億米ドル以上の資金調達が行われています。農業および水産養殖産業向けに昆虫ベースのタンパク質を開発しているフランスのバイオテクノロジー企業 InnovaFeed は、昨年9月にシリーズ D ラウンドで2億5,000万米ドルの調達に成功し、動物飼料用の品質の高いミルワーム養殖業者 Ynsect は今年4月に1億7,000万米ドルの資金調達に成功しています。
そんな中、オランダの Protix は大手食品会社である Tyson Foods からの出資を受け、大規模に動物飼料原料、水産養殖、ペットフードに昆虫を提供するビジネス展開を進めています。

Image credit: Protix
Protix は、「ブラックソルジャーフライ(BSF)」というハエを使用して食品産業から排出される穀物、果物、野菜の残り物をタンパク質や脂質に変換しています。幼虫、キイロミルワーム、カイコ、バッタ、シロアリなどと同じで低品位の食品廃棄物を貴重な高級タンパク質や脂肪に変える能力があるのです。
Tyson Foods と Protix は、アメリカ国内に生産の全工程が行われる昆虫原料工場を設立する計画を進めていて、ペットフード市場を主なターゲットとしつつ、水産飼料や家畜・植物飼料の原料としても利用される予定です。さらに、Protix は Tyson Foods と国際市場への展開を加速させ、年間約14,000トンの生幼虫相当量を生産しようとしています。
これらの取り組みは、昆虫タンパク質の生産が持続可能な食品システム構築への重要なステップであり、環境への影響が少ないため、今後も食品業界における持続可能な開発の鍵となるでしょう。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待