ウェブサイト多言語化の「WOVN」運営元、シリーズBラウンドで3億円を調達——SBIインベストメント、凸版印刷、SMBC、アドウェイズらが参加

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ウェブサイト多言語化サービス「WOVN.io(ウォーブン・ドット・アイオー、以下、WOVN と略す)」を提供するミニマル・テクノロジーズ(以下、ミニマルと略す)は9日、シリーズBラウンドで3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは SBI インベストメントで、凸版印刷(東証:7911)、SMBC ベンチャーキャピタルアドウェイズ(東証:2489)が参加した。今回の調達は、ミニマルにとって2015年9月の1.3億円の調達に続くもので、公開されているものだけで調達金額合計は4.3億円規模に上る。

WOVN は2014年に MVP(実用最小限製品)をローンチ、Java Script 1行をウェブサイトに挿入することで、最大で27ヶ国語の多言語化に対応することができる。WOVN そのものは翻訳サービスではないが、機械翻訳や人間翻訳のサービスとも連携しており、一言語でしか対応できていないウェブサイトの多言語化プロセスを劇的に効率化する。2016年11月現在、WOVN が多言語化を任うウェブサイト総数は約8,000ドメインの83万ページ、代表的なクライアントには、インバウンド需要では旅行大手の HIS(東証:9603)や東急電鉄(東証:9005)都市創造本部が運営する渋谷文化プロジェクト、アウトバウンド需要では Shibuya 109WEGO などがいる。

日本でも英語版のページを備えたウェブサイトが増えてきたものの、コーポレイトサイトは英語化されていても、定期的な情報更新が求められるサービスサイトまでは手が回っていないというケースがほとんど。コストと手間がかかるからだ。

当初は Tumbler ユーザのようなライトユーザをペルソナにサービスを開始したが、営業を開始して蓋を開けてみると、寄せられた問い合わせの4割くらいは制作会社からだった。

従来の方法だと、ウェブサイト多言語化はクライアント企業が制作会社に発注し、時間をかけて実装してもらうのが一般的だった。WOVN を使ってもらうことで、多言語化に加え、多言語での情報更新もスムーズに行えるようになる。クライアント企業はお抱えの製作会社を持っているケースが多いので、そのような製作会社をユーザとして取り込んでいきたい。Adobe の Photoshop や Illustrator のように、WOVN を制作会社にとって無くてはならないツールにできればと考えている。(代表取締役 林鷹治氏)

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左から:Minimal Technologies 共同創業者の 林鷹治氏と Jeff Sandford 氏

今回の調達に伴い、SBI インベストメントと凸版印刷とアドウェイズについては業務提携の内容を含んでいる。

SBI インベストメントとは、同社の中期経営計画の中の強化テーマに地銀連携があり、地方創生の分野で WOVN を積極的に活用してもらうことを想定している。

凸版印刷は、小売業や自治体などに翻訳サービスを含めたオフラインメディアの多言語サービスを提供しており、WOVN と協業することで、オンラインメディアの多言語化をあわせたシームレスなサービスの提供を目指す。

アドウェイズとの連携では、海外から EC サイトを訪問した顧客向けに、WOVN で多言語表示した画面の延長で IP アドレスによる判別を行い、アドウェイズが運営する「楽一番」などの海外配送代行サービスへ送客するようなサービスを計画しているようだ。

今回調達した資金を使って、ミニマルでは、エンタープライズ UX の強化(自動返信メール機能、OEM 提供機能、レイアウト編集機能)、マーケティング支援機能(A/B テスト機能、分析機能、SEO 最適化)、周辺領域拡大(多通貨決済、グローバル配送、多言語カスタマーサポート)などを行うとしている。

また、「これまでは正直なところ、どぶ板営業で拡大してきた(林氏)」ミニマルだったが、制作会社などを介さず WOVN を自ら使ってウェブサイトの多言語化を図りたい企業へのサービスを強化し、販売プロセスの自動化を図るため、同社では WOVN のチュートリアルコンテンツを増やす計画としている。

今回の資金調達を受け、ミニマルでは前述したような機能強化を図るため、エンジニアを絶賛募集中だ。2020年の東京オリンピック、そして、来るかもしれない 2025年の大阪万博に向け、日本のウェブサービスの多言語化に WOVN が大きく寄与することを期待したい。

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WOVN のエンジニアチーム
Image credit: Minimal Technologies

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