タグ Lancers(ランサーズ)

クラウドソーシングのオープン化はビジネス躍進の起爆剤になるかーーランサーズ秋好氏に聞く

SHARE:

クラウドソーシングは新しい働き方となり、そのプラットフォームは堅牢なビジネスとなりうるのかーー前回、前々回と3回に分けて書いてきた考察も本稿が最後となる。取材してきたのはもうひとつの国内プラットフォーム「ランサーズ」だ。代表取締役の秋好陽介氏にインタビューした内容を元に、改めてクラウドソーシングの課題、ランサーズの攻め方を整理してみる。 クラウドワークス社同様、秋好氏にもこれまで何度か取材で話を聞…

ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏

クラウドソーシングは新しい働き方となり、そのプラットフォームは堅牢なビジネスとなりうるのかーー前回前々回と3回に分けて書いてきた考察も本稿が最後となる。取材してきたのはもうひとつの国内プラットフォーム「ランサーズ」だ。代表取締役の秋好陽介氏にインタビューした内容を元に、改めてクラウドソーシングの課題、ランサーズの攻め方を整理してみる。

クラウドワークス社同様、秋好氏にもこれまで何度か取材で話を聞いており、基本的な課題は前回挙げたものとそう変わりはない。下記に再掲するとこのようなものになる。

  • 課題1:発注者側の理解ーー個人発注時の法務、業務、支払などのルール、認識の擦り合わせ
  • 課題2:受注者側の理解ーーお小遣い稼ぎではないプロの自覚、事業運営能力のばらつき
  • 課題3:事業体の成長ーー発注者、受注者と共に成長するため、事業体としては時間がかかる可能性が高い

また、これも同様だが課題の1と2については早晩解決できる問題でないことはやはりランサーズも一緒だ。ただ、ランサーズはクラウドワークスと違い、プラットフォームとして積極的に受発注の「間」に関与する動きをみせていた。つまり、工程管理、ディレクションだ。

そしてこのディレクション部分こそ、ランサーズとクラウドワークスを大きく分けることになる要素のひとつでもある。

前回記事でクラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏にも聞いた通り、課題3については圧倒的な受注案件数をいかに伸ばすか、という論点があるのだが、その際にこのディレクションが課題に上がることが多い。この点は両社のビジネスの違いにも影響があるので少し遡って説明したい。

通常、クラウドソーシングで難しいとされるのは企画や工程管理、その分野に精通した「仕切り」であり、ここが未熟な場合に受発注でトラブルに発展するケースを散見した。(つい最近も発注側がディレクションしきれず、最終的に採用していないサイトデザインを勝手に流用するというお粗末な事件があったばかりだ)

2013年12月のインタビュー時、秋好氏はこの課題に対して「工程管理ができるプロジェクトマネージャー(の育成)」について言及しており、この件はその後、同月に公開された「ランサーズマイチーム」という機能に集約されることになる。

<参考記事> クラウドソーシング初の仕組み、ランサーズがチームで仕事を受けられる新機能 「ランサーズマイチーム」をリリース

さらに年明けの1月には法人向けクラウドソーシング「Lancers for business」を開始、ディレクションできる人材をランサー(受注側の人材)ではなく、ランサーズとして受託、よりその関与の度合いを強めた。ここまでは理にかなった動きといえよう。

しかし、この方式にはひとつ課題がある。スケールの問題だ。完全な垂直統合型のクラウドソーシングとして成功している事例にMUGENUPがあるが、やはりこの方法は「キャラクター制作」というカテゴリ特化をしたことで得られた成果であり、ロゴ製作から原稿作成まで「なんでもあり」のプラットフォーマーには、定義すべきワークフローが多すぎて成熟させることが難しい。

そこでランサーズが取った戦略が「ディレクションを他社に任せる」というものだった。つまり、システムの他社への解放だ。

openplatform

<参考記事> ランサーズ、会員データベースを他社に開放–成約金額も初公開(CNET Japan/8月12日記事)

約36万人という豊富なリソースに対して十分な案件を流し込むディレクション箇所を人ではなく企業単位にした、と考えればいいだろう。ここまでの経緯からしても、ランサーズはディレクションというボトルネックを他社に委ねることで解決し、この横展開で案件のボリュームを増やそうと考えているのがよくわかる。秋好氏はこれによって2014年内に月間1億円ほどの受注を目指すとしている。

少し前置きが長くなったが、こういう考えで動いていると思われる秋好氏を前提に、吉田氏同様、今後の事業体の成長戦略についていくつかの質問を投げかけてみた。(太字の質問は全て筆者、回答は全て秋好氏)

ーー今日はこれまでの取材と違って、事業体としての成長を焦点にいろいろお聞きしたいと思っています。まず、クラウドワークス社、吉田さんにもお聞きしましたが、やはりこのざっくりとした表を眺めてみるとElance-oDeskの数字が突出してます。これから先数字は伸びるだろうけどこの事業は倍々ゲームにはならない、この差をどうみますか?

グローバルの市場で真っ正面から戦うのは正直しんどいと思っています。同じモデルでやるのは不利な条件しかないですから。ただ彼らとの勝負を諦めているというのではなく、まずは二番手戦略としてついていき、対峙の仕方についてはいろいろ考えてますよ。それに彼らもまだまだ伸びているし、正社員や派遣の労働プラットフォームを目指してるんだろうなと思ってます。

ーー巨大連合を抜く勝算はある?

規模にいかないとマズいのは理解しています。というより、余裕であれぐらいにはならないといけません。それよりも時間軸の問題で、5年で達成できるのか、派遣業界のように数十年かかるのか、それは頑張りますとしか言えないですね。

ーー今回、成長率まではデータを揃えることができませんでしたが、明らかにゆるやかなカーブになっていることは間違いありません。ランサーズとの違いは。

例えばeBayは日本ではあまりうまくいきませんでしたよね。それ以上に仕事ってローカライゼーションの重要性は高いのです。英語でワンプラットフォームです、というわけにいかないのが働き方。二番手戦略でいうと、いわゆるローカライズではなく、カルチャライズ(文化適合)がポイントだと考えてます。まだまだ効率性は上げられると考えてますよ。

ーー確かランサーズは数字を発表してましたね。

数字を公開したのはプラットフォームのみで今月(※取材時は8月)で2億円ぐらい。今期で30億円ぐらいですか。受託(※注:Lancers for businessのこと)の方は順調に成長していて500%ぐらいで伸びてますよ。

ーー質問を変えます。現在36万人以上が働くプラットフォームになってますが、今後より一層の安定感が求められることになります。例えば手数料。ある日突然上がったり下がったりしたのでは、会社員でいうところの所得税が急に変動するのと同じような状況になってしまいます。「新しい働き方」の基盤としてどのように安定という課題に取り組むのでしょうか。

まず(案件量を押さえるという点では)外注マーケットに流れてる顕在化されたアウトソーシングニーズをちゃんとスイッチすることが重要ですね。規模については1兆円とか2兆円とかいろんな定義があるのですが、クラウドソーシングに向かってる量はほんの僅かなんですよね。つまり市場の可能性はまだまだありますから、そこをちゃんとやることですね。

次に世の中の働き方を変えていくという視点では、例えばランサーズと雇用契約を結んでるけどオンラインで働くということが重要なので、そういったことはやっていきたいなと思っています。中長期的な話ですが広義での個人の働くプラットフォームを指向してますね。

ーー案件の話になったので、そのパイの取り方について質問させてください。これは吉田さんにもお聞きした私の妄想ですが、やはり企業から仕事を取る場合はある程度の繋がり、例えば資本提携や安定株主など、そういった戦略も考えられます。もちろん営業マンを雇って大量に取ってくるのもひとつです。

こういうのに劇的な方法はあるんでしょうかね(笑。もちろん人をかけると一定確立で案件数は見込めます。ただそれはただの受託事業です。二つ目のアライアンスのスキームもあるとは思います。

とはいえ、企業の投資サイドがいくらコミットしても、現場は使いやすいものや安心感のあるものに発注したいと思うはずです。結局はプロダクト、プラットフォームとしての仕組みづくりが大切だと思ってるし、そこが本質です。アライアンスや営業、というよりはプロダクトに尽きると思いますよ。

ーー売上が伸びたのは株主のコネですっていわれてもね。

(笑

ーー最後の質問です。案件の量は国内だけでもまだパイがありそうですが、手数料ビジネスの利益率の問題は残ります。

これは一般論としての話ですが、やはり手数料モデルはECであろうといつかはしんどくなってしまいます。だから複数のプロフィットセンター(利益構造)を持つことはどの会社さんも思考されていることです。で、何を考えてるかというと…、どこまで話をしていいんでしょうか(笑。

ーーお話できる範囲で(笑。

ではあくまで可能性の話ですが、例えば中長期でいうとデータ。通常、人材事業では職歴などの粒度の情報しか持ってませんが、クラウドソーシングではどの案件の時に何を発言したか、といったかなり細かい情報を蓄積することができます。また大企業がクラウドソーシングを活用する際のコンサルティングのようなモデルも考えられます。

Elanceは有料会員の仕組みにも注力されていますし、また働く方のコミュニティができればそこに対して提供する保険などのビジネスも考えられますよね。つまり、可能性は沢山あるのです。

ーー今日はお時間ありがとうございました。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


「新しい働き方」を担う企業はどうあるべきかーー国内外の4事業者からみるクラウドソーシング事業考

SHARE:

「クラウドソーシング」というサービス、ビジネスモデルは定義が難しい。 例えば世界の課題をオンラインで解決するINNOCENTIVEのようなものもアイデアのクラウドソーシングと言えるし、デザイン作業に特化した99designsももちろんこのカテゴリに入る。 日本国内で言えばリクルートが実施しているC-teamもそうだし、gengoやConyacのような翻訳、CrevoやViibarといった動画、KA…

13993595066_a2210199c8_z
Image by Flickr

「クラウドソーシング」というサービス、ビジネスモデルは定義が難しい。

例えば世界の課題をオンラインで解決するINNOCENTIVEのようなものもアイデアのクラウドソーシングと言えるし、デザイン作業に特化した99designsももちろんこのカテゴリに入る。

日本国内で言えばリクルートが実施しているC-teamもそうだし、gengoConyacのような翻訳、CrevoViibarといった動画、KAIZEN Platformが提供するPlan BCDはサイトグロースの一部作業にクラウドソーシングを活用することで各方面から高い評価を得ている。

大規模なものだったらAmazonのMechanical Turkという軽作業プログラムも思いつく。

こういった中で敢えてひとつこのカテゴリの「王道」を決めるとするならやはりそれはオールジャンルのマッチングプラットフォーム、ということになるだろう。ーー国内で言えばランサーズクラウドワークスの2社、海外を見渡せば、シドニー拠点のfreelancerと昨年合併を果たしたElance-oDeskが主なプレーヤーだ。

ところでここ数カ月、国内2社は相次いでその事業の成長状態を公開している。私がクラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏に札幌の地で独自取材したのは5月末のことだったが、その時点で吉田氏は年間の流通額(依頼総額、つまり受注が決まっていない依頼された総額ではなく、受注した案件の依頼総額)が年間20億円規模に到達すると明かしてくれた。

IMGP9281
クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏

<参考記事> クラウドワークスの年間流通額は20億円規模の見込み #IVS

また、もう一方のランサーズは先頃実施した事業説明会の壇上で2014年第1四半期(4月-6月)の結果として成約額が4億5000万円規模に到達したと公表している。

そこでこれらの情報を元に、海外大手のfreelancer(オーストラリア証券取引所に2013年11月に上場済み)および2013年12月に合併を果たしたElance-oDesk連合(サービスはそれぞれバラバラに継続運営中)の状況を並べてみたのがこの一覧だ。freelancer以外は非公開企業なので数値に幅があることはご了承頂きたい。

crowdsourcing.001

まず目に入るのはElance-oDesk連合の流通額の大きさだろう。日本円で100円換算として930億円規模の受発注が彼らのプラットフォーム上で実施されている。比較的国内組と創業時期も近いfreelancerに関しては日本だけを対象とする国内2社に比較して対象としている市場は広いので、その差はそれほどでもないという見方もできるかもしれない。

また、この規模にいたるまでの時間にも注目したい。Elance-oDesk連合はこの規模になるまで16年(Elance創業時期を起点)かかっている。freelancerが既に上場しているのでそれを参考に考えても、このままのペースで国内2社がこの規模に達するまであとまだしばらく時間は必要だろう。さらにfreelancer社より流通規模で10倍近くあるElance-oDesk連合を視野に入れればさらに時間は必要になる。

国内2社についてはどのタイミングで市場範囲を拡大(海外展開含め)して成長率を上げるか、が注目点だ。

さらに過去、2社をインタビューして理解できたのは新しい働き方への理解を得る難しさだ。詳細は下記の記事をぜひご一読頂くとして、特に発注側の体制は人員を投入してフォロー体制を作るなど、完全にフリーハンドでマッチングが自動的に発生するとは言い難い状況になっている。これは2社とも同じ課題を抱えている。

1386145984
ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏

<参考記事> 1万人がクラウドソーシングで”食える”世界に立ちはだかる「見えない壁」ーーランサーズ秋好氏に聞く #IVS

率直に言ってこのビジネスが明日、1カ月後、半年後、1年後に倍々ゲームで拡大していくイメージはなかなか持てない。また手数料ビジネスの利益率の低さはどうしても目立ってしまう。

そういった困難があったとしても、この事業の社会的意義はとても大きい。本当に時間と場所に縛られない、さらに会社員でもなく派遣社員でもない第三、第四の働き方が成立すれば、大げさかもしれないが、人の生き方も変えることができるからだ。

つまりここに並べた数社が作っているのは数十人、数百人が働くクラウドソーシングのサービス提供会社ではなく、数百万人の生活(の一部)がかかっている「街」のようなものと想像してもいいかもしれない。私企業の一存で手数料は上げ下げできるが、生活がかかる税と考えれば、そう簡単に調整はできなくなる。株式市場の圧力に負けて税金が上がる街には誰も住みたくないはずだ。

国内2社はこの先、これらの課題をどうクリアして新しい働き方の文化と事業を作っていくのだろうか?

  • 新しい働き方を生み出す上で事業体をどのように成長させるのか?
  • 働き手とどのように対話し、コミュニティをつくっていくのか?

そこには会社を上場させて社会の公器とするステップも当然含まれる。後半では2社の代表にインタビューを実施し、彼らが作ろうとしている新しい働き方とそのコミュニティのあり方について考えを深めたいと思う。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


「選択肢としてのクラウドソーシング」を普及させたいーー隠れたキーマンを調べるお・ランサーズ根岸氏

SHARE:

編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。 クラウドソーシングを国内の黎明期に立ち上げたランサーズ。昨年には約3億円の資金調達をし、創業以来活動していた鎌倉から渋谷に移転、さらなる注目を浴びています。同社代表取…

編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

lncs1

クラウドソーシングを国内の黎明期に立ち上げたランサーズ昨年には約3億円の資金調達をし、創業以来活動していた鎌倉から渋谷に移転、さらなる注目を浴びています。同社代表取締役の秋好陽介氏を主に事業面で支え、先日、取締役 CMO 兼 サービス企画部 部長に就任した根岸泰之氏をインタビューしました。

「自分は日本語ができる」のでフリーライターに

大柴:今日はよろしくお願いします。

根岸:よろしくお願いします。

大柴:根岸さんはランサーズにいつ頃参画されたのですか?

根岸:去年の4月です。

大柴:じゃあまだ会社が鎌倉にあった時ですね。

根岸:そうなんです。何度か鎌倉に行って、秋好とコミュニケーションとりまして、入社することになりました。

大柴:秋好さんの第一印象はどうでした?

根岸:「若いなぁ」って(笑)。今まで会ってきた社長ってみんな年上ばかりだったので。

大柴:なるほど。秋好さんのお話は後ほど改めて伺うとして、まずは根岸さんのご経歴をざっくりと伺えればと。

根岸:数年前に、オーストラリアに行きました。その後、日本で同世代が就職活動を始めるのを見て焦り始めたんですよ。「このままじゃヤバい」って。

大柴:僕も同じような状況でした。あれ、焦りますよね(笑)。

根岸:はい(笑)。それで自分に何ができるだろう?って考えたんですが、「私は、日本語が強みだ」って結論に達して、フリーライターになろうと思いました。

大柴:すごい(笑)。

根岸:いろんな人にアプローチして、とあるフリーライターの弟子になったんです。業界では、有名な方で、オールジャンルでライターの経験を積むことができました。

大柴:へぇー。どんな記事を書いてたんですか?

根岸:大手外資企業の公式HPのコンテンツや、ライフスタイル誌、エンターテイメント誌を多くやっていました。中には、初心者ゲーマーとして、とあるゲームを「やってみた」的な企画などもありました。

大柴:その後に転職してエンジャパンに。

根岸:はい。それまで多種多様な文章を書いてきたんですが、読んだ人がどう思ったのか、その反応がわからなかった。でもインターネットの媒体で書けば、そのリアクションや効果がわかるんです。それで転職しました。最初は、求人広告の文章を書いていました。

大柴:なるほど。

根岸:ちょうど会社が急成長している時期でした。そんな中、マーケティングの担当に選ばれまして。

大柴:ライティング業務がメインだった根岸さんが選ばれた理由は何だったんですかね?

根岸:サービス全体を見ていた役員が元々コピーライターということもあり、同じような視点でサービスを見れたのかもしれません。ライター目線でのマーケティングといいますか。

大柴:根岸さんの本来持っている能力を見抜いたのかもしれませんね。具体的にどんなことをされていたのですか?

根岸:広告全般にSEOなども見ていました。

大柴:幅広いですね。

根岸:はい。いろいろと経験することができました。

働き方の変化を感じ、人材業界からランサーズに

lncs2

大柴:エンジャパンには約10年いらっしゃったそうですが、それだけ長く働いた会社を辞めてランサーズに転職した理由あたりをお聞かせください。

根岸:エンジャパンで過ごしていた時にリーマンショックが起こりました。景気が減速する中で、これまで以上に「効果重視」に世の中がシフトしていきました。そんな中、会社でもサイトをしっかりと分析し、より効果の高いサービスに改善する必要があるなと感じ、新しく部門を立ち上げました。

大柴:なるほど。

根岸:大手他社と差別化したプロモーション戦略を展開し、厳しい状況でも同社の過去最高売り上げをチームで達成できた。そして、3年かけてメンバーも育ってきた。そうやって、後任がちゃんと確立したら彼らのためにも、自分は次のステージに行こうと考えていました。

大柴:任せられるチームに育ったんですね。そしてランサーズに転職します。

根岸:はい。人材ビジネスをずっとやっていく中で、世の中の会社の中が変わっていったのを実感しました。

正社員、終身雇用というのが日本ではスタンダードの考え方でしたが、それがバブル後に派遣やバイトなどを組み合わせた雇用になっていきました。さらにそれがプロジェクト単位でのアサインみたいな形になっていくところもあり、変化を感じていました。

大柴:なるほど。

根岸:組織は小規模で筋肉質なものになり、最低役職者が部長とか、そういった時代になるのかなと感じていました。アウトソーシングやクラウドソーシングを活用して事業を運営していく。そういう流れが確実に存在しました。この分野はビジネス的に大きくなっていきそうだなと。そんな中、秋好に出会いました。

大柴:すぐにランサーズへの転職を決めたのですか?

根岸:いや、(秋好さんに会ってから)3ヶ月くらい経ってからです。働き方の変化を感じていたことや、秋好の考えなど、総合的に考えて決めました。自分が持っているスキルや経験も活かせると考えました。

大柴:なるほど。秋好さんの第一印象は「若い」でしたね。

根岸:はい。今まで会ってきた経営者はもっと年上でしたし、若くても40代。当時秋好は30代前半。とても若く感じました。しかし、2008年から日本で初めてクラウドソーシングをやってきた経験もあるし、何より会社を5年も経営している。すごいなぁ、苦労してるんだろうなぁって。

大柴:会社の中での秋好さんってどんな感じなのですか?

根岸:社長って地位にありながら、チームという意識が強いですね。間違ってもトップダウンはしない。もちろん社長として先頭をきって走っていくんだけど、チームプレイを意識されてますね。最初に会った時も今も変わらず、そういう印象です。

大柴:そうなんですね。

根岸:人材業界にずっといたので、いろんな会社を見てきたのですが、個人的な感想としてはトップダウンは属人的なので、組織を大きくしていく上ではよくない。なので、秋好のやり方は長い目で見ると良いと思っています。

大柴:なるほどですね。ちなみに根岸さんはどんな業務をされているのですか?

根岸:自分の専門領域はWebマーケティング。ランサーズでは、秋好が一人でほとんどのマーケティング業務をやっていたので、まずはその辺を自身が巻き取りました。次第にマネジメントもするように。サービス全般を見て、マネジメントしている感じです。

新しい働き方を作って、日本を飛び出したい

lncs3

大柴:クラウドソーシングという分野はとても注目されていますね。

根岸:労働人口が減っている中で、シニア層や女性などがもっと活躍できる場を提供する事ができるのがクラウドソーシングです。クラウドソーシングだから日本社会に貢献できると思っています。とても意義のある仕事だと感じています。

大柴:そうですね。

根岸:あとは、若者に対しての選択肢としてクラウドソーシングというものを普及させたい想いもあります。就職マーケットは次第に縮小していくと思うんです。企業はより即戦力になりうる人材を求めるようになると。

そんな時代において、就職前にスキルを磨く場所としてクラウドソーシングを活用していってもらいたいなと思うんです。それによって課題の一部は解決できると考えています。

大柴:なるほど。確かにそういう面でもクラウドソーシングの可能性はありそうですね。

根岸:はい。ランサーズは、クラウドソーシング業界の開拓者であり、業界のリーダーです。そのプライドを持って、人々の幸せに貢献できるクラウドソーシングの可能性を追求していきたいと考えています。

大柴:頑張ってください!最後に根岸さん個人の夢などをお聞かせ頂ければと。

根岸:新しい働き方を日本に広げ、多くの人の幸せに貢献したいです。それができたら、私自身も、家族と共に日本を飛び出し、時間や場所にとらわれず働けたらと考えています。特に、自然豊かなオーストラリアに住んでみたいです。また、そんな夢を多くの方に実現していただくのが私の夢です。

大柴:なるほど。今日はいろいろお話を伺えました。ありがとうございました!

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


ランサーズが医療Q&Aサイト「Doctors Me」と提携、200人の医師がクラウドソーシングの活用を開始

SHARE:

クラウドソーシングサービスを運営するランサーズが、サイバー・バズと医療分野での業務提携を発表した。 サイバー・バスは医師200人が登録している医療(ヘルスケア)Q&Aサイト「Doctors Me」を運営している。今回の提携により、「Doctors Me(ドクターズミー)」に登録している医師が、ランサーズにも個々のスキルを登録することになる。子育てや、介護で休職している医師に対して、クラウ…

Doctors Me

クラウドソーシングサービスを運営するランサーズが、サイバー・バズと医療分野での業務提携を発表した

サイバー・バスは医師200人が登録している医療(ヘルスケア)Q&Aサイト「Doctors Me」を運営している。今回の提携により、「Doctors Me(ドクターズミー)」に登録している医師が、ランサーズにも個々のスキルを登録することになる。子育てや、介護で休職している医師に対して、クラウドソーシングを通じてスキルを活かす機会を提供することが狙いだ。

「Doctors Me」と「ランサーズ」が提携することにより、ランサーズに登録する約87,000の企業(発注者)が、医療関連のライティングなど、高度な医療知識を必要とする仕事の相談を、医師200人に対してクラウドソーシングで行うことができるようになる。

専門家がクラウドソーシングに参加することにより、今後ランサーズでは、ヘルス関連のコンテンツのライティングなど、高い専門性が求められる仕事の受発注を引き受けることが可能となる。ライティングにおいて専門知識は非常に重要なもの。コンテンツの需要が増していく中で、こうした組み方は他にも可能性がありそうだ。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


ランサーズがKDDIグループと業務提携ーー中小企業向けクラウドソーシング「利用促進の秘訣」とは

SHARE:

今日はクラウドソーシングの話題が多い。今度は2強のひとつ、ランサーズだ。 クラウドソーシングを提供するランサーズは2月18日、KDDIおよびKDDIグループ企業で中小企業向けの業務支援サービスを提供するKDDIまとめてオフィスと業務提携することを発表した。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign U…

今日はクラウドソーシングの話題が多い。今度は2強のひとつ、ランサーズだ

クラウドソーシングを提供するランサーズは2月18日、KDDIおよびKDDIグループ企業で中小企業向けの業務支援サービスを提供するKDDIまとめてオフィスと業務提携することを発表した。

両社の提携により、KDDIまとめてオフィスが抱える中小企業向けに人材不足や新規の顧客開拓といった課題をクラウドソーシングの活用で解決するとしている。一方、ランサーズ会員向けにはスキルアップや起業支援などのサポートも提供するとしている。

KDDIまとめてオフィス、というストレートな会社名を持つこの企業は、中小企業向けにオフィス機器や業務支援サービスなどを提供する営業中心のKDDIグループ企業だ。

KDDI側が持つという顧客層(そして今回、営業先となる企業)もランサーズ代表取締役の秋好陽介氏に言わせれば「日本の中小企業の縮図。あらゆる業種が網羅されてる」というほど広い。つまり、街の小さな飲食店から町工場までありとあらゆる企業が対象なのだ。

ただクラウドソーシングはかねてより、「企業側の理解の壁」が高いことが課題だった。クラウドソーシングを使うにしても、そもそも使い方がわからなければ、発注のしようがない。

もちろんランサーズではこういった企業側の不安を取り払うために、ディレクションを強化したチーム機能などをリリース、秋好氏も企業へ出向いて勉強会を実施するなど、地道な「啓蒙活動」を続けてきた。

しかし相手は「非」IT系の事業者が中心だ。ただ単にクラウドソーシングでございと営業をかけても戸惑いしか広がらないのではないだろうか。

この疑問に対する秋好氏の説明は明快だった。以下、同氏との一問一答。

ーー交渉はいつ頃から?

半年間ほどの交渉を経てようやく提携までやってきました。(KDDI)本体とまとめてオフィスの営業チームと連携して彼らの顧客基盤に対して対面でクライアント営業をかけることになります。これまで中小企業についてはウェブからの自然流入での獲得でしたが、そこが大きく改善されることを期待しています。

ーー営業かける先の企業はそもそもクラウドソーシングを理解して利用できないのでは?

春頃からKDDIさんと一緒に新しいサービスを共同で発表するのですが、そこではオーダーできる仕事の職種はある程度絞ります。さらにこれまでIT系の職種が多かったのですが、ここにリアルの仕事を追加していくことになります。これまでも存在はしてましたが、数百件レベルしかなかったのです。

なるほど、例えば町工場で一時的に手が足りない、清掃が必要になった、調査をするので調べ物をしてきて欲しい、そういった軽作業は確かに存在する。もちろん従来からランサーズが得意にしているチラシや簡単なサイト制作も、高度なディレクションが必要な案件とはまた違うだろう。

ーーでも、これまで数百件しかなかったのであれば、オーダーを受け止めるランサー(働き手)はどうやって確保するんですか?

今回、営業をかける先となる顧客基盤は企業といっても大小あって、クラウドソーシングを使う側にもなるし、実は、請ける側にもなるんです。これはKDDIサイドも持っていた課題で、営業先を探して欲しいとかあれこれ困っているという相談を彼らから聞いていたそうなんです。

これで全て理解できた。つまり、今回の提携はKDDI側の持つ顧客基盤に営業をかけるだけではなく、それら中小企業をマッチングさせる、と考えた方が自然なのだ。そこにランサーズのプラットフォームがあり、KDDIグループの営業がかかる。

ーー例えば新規案件獲得数などでどれぐらいの数字目標を持ってますか?

現在、月間の案件数が1万8000件とかそういう数字なので、その1.5倍は目指したいですね。

今回のアプローチは従来から彼らが考える、クラウドソーシングの「文化づくり」において、非常に合理的な攻め方だと感じた。

一方的に営業されるのではなく、自分たちも仕事にできる、という世界観は双方向のプラットフォームだからこそできる戦略だ。既に事前登録などの営業は動いており、反応は上々だという。

利用が進むか。注目したい。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


ランサーズが法人向けクラウドソーシング「Lancers for business」を開始

SHARE:

クラウドソーシングサービスを提供するランサーズは2014年1月22日、法人向けサービス「Lancers for business」を開始することを発表した。 これまでクラウドソーシングでは、発注する側は各個人と契約する必要があり、複数人に依頼しなければならない案件では、発注する側の手間が多かった。「Lancers for business」では、ランサーズが企業から発注を受け、見積もりなどを提示し…

Lancers for business

クラウドソーシングサービスを提供するランサーズは2014年1月22日、法人向けサービス「Lancers for business」を開始することを発表した。

これまでクラウドソーシングでは、発注する側は各個人と契約する必要があり、複数人に依頼しなければならない案件では、発注する側の手間が多かった。「Lancers for business」では、ランサーズが企業から発注を受け、見積もりなどを提示し、ランサーズに登録しているユーザに仕事を発注する。

ランサーズが受発注の間にはいることで、発注側の負担を減らし、納期や品質などの担保をしていく。企業側のクラウドソーシングの懸念を払拭していくことができれば、企業のクラウドソーシング利用もより促進すると考えられる。

ランサーズは先月、チームで仕事を受けられる新機能 「ランサーズマイチーム」をリリースしている。ランサーズ内でのチーム作りが活発になれば、「Lancers for business」と良いシナジーを生み出すかもしれない。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


クラウドソーシング初の仕組み、ランサーズがチームで仕事を受けられる新機能 「ランサーズマイチーム」をリリース

SHARE:

クラウドソーシングサービスを「ランサーズ」を提供しているランサーズが、登録ユーザ同士でチームを組み、チームで仕事を受注できる新しい仕組み「ランサーズマイチーム」をリリースした。 これはクラウドで仕事を受発注するサービスとしては、初の仕組みとなる。これにより、個人では提案が難しかった案件でも受注が可能になったため、ランサーズの登録ユーザはこれまで以上に仕事の幅が広がることになる。 ニュースレターの購…

lancers myteam

クラウドソーシングサービスを「ランサーズ」を提供しているランサーズが、登録ユーザ同士でチームを組み、チームで仕事を受注できる新しい仕組み「ランサーズマイチーム」をリリースした。

これはクラウドで仕事を受発注するサービスとしては、初の仕組みとなる。これにより、個人では提案が難しかった案件でも受注が可能になったため、ランサーズの登録ユーザはこれまで以上に仕事の幅が広がることになる。

個人で対応できる仕事の範囲はそれほど大きくない。筆者もフリーランスで仕事をしているが、規模の大きい仕事は他のフリーランスなどとチームを組んで対応することが多い。「ランサーズマイチーム」の仕組みは、よりフリーランスの働き方に近いものを実現するとものだと言えるだろう。

「ランサーズマイチーム」の使い方は、 以下の3ステップ。

  • チームを作成する
  • チームで仕事に提案する
  • チームで仕事を進める

チームを作成した人がチームリーダーとなる。クライアントへの提案なども、このチームリーダーが行うことになる。チームメンバーには直接会ったことのない人でも招待することが可能となっている。報酬の配分については、チームリーダーが決定することになっているが、独断で最終決定はできないようになっているという。

「ランサーズマイチーム」での仕事の提案が可能になるのは、12月20日から。

本誌ではランサーズ代表取締役の秋好陽介氏には、先日開催された「Infinity Ventures Summit 2013」にてインタビューを実施している

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


1万人がクラウドソーシングで”食える”世界に立ちはだかる「見えない壁」ーーランサーズ秋好氏に聞く #IVS

SHARE:

本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2013」の取材の一部である。 ジモティのインタビューに引き続き、個人間取引についての課題や状況をIVSの会場で聞く。インタビューしたのはクラウドソーシング業界を創世記から牽引するランサーズ代表取締役の秋好陽介氏。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情…

本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2013」の取材の一部である。

ジモティのインタビューに引き続き、個人間取引についての課題や状況をIVSの会場で聞く。インタビューしたのはクラウドソーシング業界を創世記から牽引するランサーズ代表取締役の秋好陽介氏。

インタビューはまず、大きな調達を発表したクラウドワークスの話題から始まった。

ユーザーは年明けに30万人規模に成長。課題は発注側

ーーこの会場では個人間取引というテーマでいろいろな方を捕まえて話を聞いてるんですが、聞けば聞くほど奥深いですね。大きな話題としてはクラウドワークスさんが大型調達もしました。

「クラウドソーシングの事業をすでに5年やってみて思うんですが、開始当初に比べて周囲の理解度は全く違いますよ。私たちのターゲットになるのはウェブ素養がある人たちなんですが、そういう方々のクラウドソーシングやランサーズといったワードの認知度は格段に上がりました。

ユーザー(受注側の働き手)も4年かかって10万人だったのが先々月には20万人を達成して先月が22万人、年明けには30万人に到達するかもしれません。

ただ、もっと使いたいけれど深いところではよく分からない。なのでまだまだ啓蒙も大切なんです。そういう意味でも11億円の調達というのは業界発展のためにもいいことだと思っています」。

ーー今日、リリースになったようですがGMOイプシロンと連携されるそうですね。

例えば今回のイプシロンさんでは決済を提供されているわけなんですが、この導入時には様々な業務が発生するんですね。そういうものをランサーズに向けて発注することになりますね。

ーー外注するには高い、けど社内にはリソースが足りない。個人に注文するには不安があるからクラウドソーシングを選択する、という流れですね。

プラットフォーム系の事業者さんとクラウドソーシングって相性がいいんですね。

クラウドソーシング成長への三つの課題

ーー好調ぶりが話題になりがちですが、実際は個人間取引、企業と個人の取引という文化づくりで他のサービスも苦労されてると聞いています。秋好さんの考える課題はどこにありますか?

「ユーザーは伸びいているのでそちらは問題ないと考えてます。課題は発注側ですね。今は(利用に慣れている)コアな企業が使ってくれている状況ですが、今後は普通の会社でも扱えるのかが焦点になります。その上での課題は三つほどあると考えてます」。

ーーなるほど。

「まず、ディレクション。クラウドソーシングに発注しようとする時、発注内容を切り分けるところから始まるんですが、ここでつまづく」。

ーーウェブ制作だったらデザイン、コーディング、ライティング、プログラムと切り分けてそれぞれを発注する必要がある、と。

この点は企業でセミナーを開催したり、システム側の工程管理をさらに細かく分けたりすることで対応しようとしています。

それに関連して、そのような工程管理ができるプロジェクトマネージャー(の育成)ですね。私たちには認定ランサーという方がいるのですが、テストなどの制度を細かく用意して育成を推進しています。最後はやはり発注側の企業への啓蒙活動ですね」。

ーー企業への啓蒙活動時、クラウドソーシングの利用メリットはどこを押してますか?

「どれかひとつ、という訳じゃなく、スピードとコスト、リソースのバラエティなどの組み合わせですね」。

秋好氏の話で大変興味があったのは、積極的にランサーズが工程管理の部分にフォローをいれようとしていることだ。このスタイルの成功者はもちろんMUGENUPだ。

一方で、このモデルはやりすぎるとスケールしにくくなってしまう。ちなみにクラウドワークスは過去の取材からもプラットフォーム的なスタンスを保っており、このあたりの比較は興味深い。

質問をもう少しだけ進めよう。

ーー受注側のユーザーにはどのような啓蒙活動を実施してますか?結構地方を回られているようですが。

「すでに15ぐらいの地域を回りましたね。やはり人とちゃんと向き合って課題を共有することは大切です」。

ーー地方の課題とか聞こえてきましたか?

「やはり仕事がないですね。むしろ地方の仕事を東京の事業者が取ってしまっている。さらに東京のような便利なコミュニティも少なく、チャンスが少ないです」。

ーー今日は個人間取引、働き方の変化が起こるのかというテーマでお話をお聞きしました。この先、クラウドソーシングが第三、第四の働き方として定着するまでにどの程度の時間がかかるとお考えですか?

「もちろん成功の定義にもよりますが、私たちの中で決めている数字があるんです。今、ランサーズだけで生活している人が200人ほどいらっしゃるのですが、これを2017年までに1万人まで増やそうとしています。

ただ、本当に意識が変わる、例えば新卒の学生が就職や起業などと並立してクラウドソーシングを選択したり、日曜日だけクラウドソーシングを活用したりと働く構成要素のひとつとなるのはもう少し先の話でしょうね」。

ーー時間かかりますよね。ちなみに今はどの数字を注目していますか。

「ユーザー体験をどこまで上げるかということに注目して、継続率やリピート率は追いかけています。もちろん案件数や会員数も横目にみてますけどね」。

ーーお時間ありがとうございました。

クラウドソーシングという分野で言えば、確実に受注側の理解は進んでいると考えていい。彼らは仕事を求めているし、新しい働き方への期待も大きいだろう。そういうモチベーションがある。

一方で発注側には安いとか早い以外にも安定感や信頼感、そして今回のインタビューでも分かったように、そもそもの「使い方」、例えばプロセスを細かく分割したりといった作法を理解する必要がある。ここは明示的になっていないがため、見えない壁になっている。

ジモティのインタビューとも併せて振り返ると、個人間取引や企業と個人の取引にはこの暗黙のルールというのが国内のユーザーにとって障壁になっているのではないだろうか。「なんでもできる」が「なにもできない」になる典型的な例だ。

国内ではどのアプローチが成功するのか興味深いし、引き続きこの点は注目していきたい。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


「ヒトとカネ」はクラウドで集める時代ーーLancersとCAMPFIRE、連携の試みを聞く

SHARE:

プロジェクトを立ち上げるには何が必要だろうか。まずはアイデアだ。サービス思考ならば問題解決から攻めるだろうし、事業思考であればマーケット分析からその種は出てくるかもしれない。アイデアが決まれば試作だ。多くの協力者を得るためにも、形になってなければプロジェクトは動きづらい。そしてこの試作に必要な資金や人員が、必要とされる最小単位のリソースといえよう。 ではそのリソースはどうやったら集められるのか。ヒ…

campfire_lancers.001

プロジェクトを立ち上げるには何が必要だろうか。まずはアイデアだ。サービス思考ならば問題解決から攻めるだろうし、事業思考であればマーケット分析からその種は出てくるかもしれない。アイデアが決まれば試作だ。多くの協力者を得るためにも、形になってなければプロジェクトは動きづらい。そしてこの試作に必要な資金や人員が、必要とされる最小単位のリソースといえよう。

ではそのリソースはどうやったら集められるのか。ヒトとカネーー誰もが頭をひねる箇所だ。

今日、この課題に対してひとつ興味深い試みが始まる。クラウドソーシング「Lancers」を運営するランサーズと、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営するハイパーインターネッツは8月26日、プロジェクトに必要な資金から実現にあたっての人員までを一貫して調達するスキームを発表した。

CAMPFIREで集めた資金を元に、開発する人員をLancersで集め実現に導くという内容で、第一弾の支援プロジェクトとして糖尿病患者団体「MYSTAR-JAPAN(マイスター・ジャパン)」の炭水化物量検索アプリCarbodataの改修開発を実施するとしている。

アイデアさえよければ「ヒトとカネ」がクラウドで集められる、一見すると理想的なスキームのようにみえる。しかし本当にこれは上手く回るのだろうか?いくつかの疑問について両社に話を聞いた。(下記回答は全てランサーズ山口豪志氏)

リソースが分断されると責任箇所が曖昧になりそうです。誰がどういう責任をもってどこまでやるのか、という点を教えてください。

「[依頼者]となるマイスター・ジャパン社がすべての局面において主体的に動きます。具体的には、CAMPFIREでの応援者集めや応援者への対応、ランサーズ上では発注要件の依頼内容の定義、発注先の撰定、制作進行・管理、納品チェック等全てです。CAMPFIREとLancersのどちらもそれぞれの役割で支援致します」。

1081749_550432965010622_1796794987_n

それだとCAMPFIREとランサーズをバラバラに利用するのとそんなに変わりないような気もします。いくつか取材で気がついたのですが、やはりクラウドソーシングを使うにはそれなりのコツが必要だと感じていますので、折角連携するのであれば、その辺りに問題が出た場合に何らかのサポートがあった方がわかりやすいと思うのですが。

「本企画はの主体者はあくまでマイスター・ジャパン社となるため(このスキームでなんらかの問題が出た場合にも)ランサーズとしてはサポートできず、それを第三者からサポート頂くようにしていただきます。ただ、ランサーズでは、製作案件の相談も直接持ち込まれることがあります。その場合、予算感や実際のディレクション機能をどう担保するのか、をアドバイスさせていただいております」。

第三者というのは?

「ご指摘の通り、全く知見が無いクライアントにとって(いきなりクラウドソーシングを使った開発は)難しいかもしれません。そのため今回は、ディレクションと開発サポートに外部の開発実績がある、ウェルビー社が参加されます。単純に2つを使えばいいという話ではなく、そのためには、責任範囲の明確化とディレクションのサポートを担当してくださる方のアサインは必須です。

また、一部流動的ですが、今後はランサーズエキスパートというカタチでランサーズが認定した方(法人・個人含む)にサポートに入って頂く機会を設ける予定もあります」。

では通常の外注開発とそんなに変わらないという認識ですね

「クラウドソーシングでの開発と、通常の開発というものの差分は、ほぼ無いと考えております。現状のツール(skype等)を活用することで、制作サイド(ランサーさん)が複数人が所属する法人であれば、そのまま、開発会社への発注と同様になります。

クラウドソーシングにすることでより多くの製作会社、製作ができる個人からの提案が集まり、外部製作の実績があるディレクション会社、または、ディレクターがおられれば、その開発を依頼する発注先、および、製作進行の内容においても、遜色なく進めることが可能になると考えています」。

ーー「集合知」という概念で情報集種は飛躍的に効率的になった。同じようにカネとヒトというリソースをインターネットで集めることができるのが昨今登場しているクラウド・プラットフォームだ。ゆるやかに進化する市場をハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平氏はこう語る。

「資金だけでなく、人材、空間、知恵等が単一的でなく、クラウド(群衆)の力によって加速、拡大する時代は日本でも昨年から今年にかけて来ていると思います。またそれらが双方向に連動することで更なるブーストがかかり、よりクラウドから生まれる価値が増幅する時代が来年以降に来ると予想しています」(石田氏)。

試行錯誤が必要だろうが、アイデア一つで実現までもっていける可能性があるスキームだけに継続的なチャレンジを期待したい。

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録


クラウドソーシングのLancersが個人で働く人のための福利厚生・スキルアップ支援「フリーランストータルサポート」を開始

SHARE:

組織と個人で働き方を比較したとき、当然ながらスケールメリットにおいて差が出てしまう。たとえば福利厚生やスキルアップといったものを、個人やごく少人数で実現しようとするとどうしても割高になってしまう。 もしそんな状況に悩んでいる人がいるなら、この支援策は嬉しいものになるかもしれない。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届…

フリーランストータルサポート___ランサーズ

組織と個人で働き方を比較したとき、当然ながらスケールメリットにおいて差が出てしまう。たとえば福利厚生やスキルアップといったものを、個人やごく少人数で実現しようとするとどうしても割高になってしまう。

もしそんな状況に悩んでいる人がいるなら、この支援策は嬉しいものになるかもしれない。

新しい働き方を提案するクラウドソーシングサイト「Lancers」を運営するランサーズは7月31日、既に発表されているフリーランスのための支援サービス「フリーランストータルサポート」の申し込み開始を発表した。

提供されるサービスは法律や税金サポートに福利厚生、スキルアップや育児など多岐にわたり、利用条件はサービスによって異なるが、基本的にLancersを活用しているユーザーが対象となっている。

また、提携するパートナー企業の提供する支援策もあり、人材のインテリジェンスやインフラのさくらインターネット、既に提携が発表されているデジタルハリウッドなど10社が公開されている。

同様の施策としては、同じくクラウドソーシングを運営するクラウドワークスも福利厚生などの支援策を発表している。

新しい働き方にスケールメリットを提供する

クラウドソーシングというカテゴリで眺めると、ロゴなどのカテゴリに特化したものや、マイクロタスク(文字入力などの軽作業)に強いリアルワールドのような事業者、積極的に中間に入って仕事をこなすMUGENUPのようなタイプなどバラエティも豊かになってきている。

一方で総合的なクラウドソーシングサービスはより「クラウド上に現れた巨大な会社のような存在」になりつつあり、新しい働き方を望む人達に、今回の支援策のようなある種スケールメリットを感じられる施策を打ち出している。

例えばランサーズでは福利厚生以外にも、ウェブツールの無償提供商標の事前確認支払猶予期間を毎月1回から2回への変更など、個人単位ではなかなか難しい取組みをプラットフォームとして実現しようとしている。

IMGP0165
登録ランサーを集めてのセミナーや税金相談などを予定している新オフィスのセミナールーム

働く場所を問わない取組みも

ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏によれば、ランサーズで働く人の7割は地方在住者なのだという。その流れから場所を問わない、海外でも仕事ができる取組みとしてフィリピンのセブ島のコワーキングスペースと連動した仕事のインフラづくりにも着手している。

フィリピンの物価は安く数万円ほどがあれば1カ月の生活が可能で、例えばランサーズから生活費相当の仕事を発注することで、仕事をしながらの語学留学などを実現することができるようになる。

もちろんさらにスキルがあれば場所にとらわれない生き方を獲得できるかもしれない。こういった取組みはまだ実験段階なのだそうだが、地道な一歩だと評価したい。

各社の状況が整備される中「新しい働き方」も多様性を増してきた。どこかで各社プラットフォームの比較なども実施してみたい。

IMGP0178
ランサーズの開発現場

BRIDGE Members

BRIDGEが運営するメンバー向けイベント「Tokyo Meetup」では新サービスの紹介やノウハウ共有などを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。メンバー登録は無料です。
  • BRIDGE Canvasの購読
  • メンバー向けDiscordご招待
  • BRIDGE Tokyoなどイベントご招待
無料メンバー登録