中国のテック業界にとって、2013年が最悪の年になるという理由

SHARE:

【原文】

841131ad-9d62-44d0-9946-48353dbdfa45-315x267

昨年末、誰も彼もが2012年を振り返っているなか、私はちょっと将来に目を向けて2013年がどんな年になるのかを予測するのも面白いかもしれないと考えた。

「面白い」と言ったが、これは相対論だ。私を悲観論者と呼んでもらっても構わないが、私は2013年が中国のテック業界にとって最悪の年になると考えている。その理由とは?

 

インターネットの検閲はさらに悪化するだろう

中国のGreat Firewall(金盾、インターネット検閲)が先月アップグレードされ、人気のある多くのVPNが遮断されて企業に悪影響を及ぼし始めている。

この状況が2013年に良くなると期待できる理由は何もない。政府の代弁者である人民日報はインターネットにさらに厳しい規制を呼びかけ、政府がインターネットを利用したい人に実名登録を義務付ける可能性があると報道しているからだ。すべての状況を考え合わせると、中国のインターネットは来年、これまで以上に規制されるだろう。

ソーシャルメディアの検閲も悪化するだろう

検閲に関しては、2012年はSina Weibo(新浪微博)にとってかなりとんでもない1年だったが、新たな7日間の検索遅延の問題、そして更に徹底的な新たな実名制度導入の噂によって、ソーシャルメディアの今後には大きな期待ができそうもない。だが、悪いニュースがWeiboだけに限られているわけではない。

というのは、政府が新しいサービスのWeChat(微信、このサービスを政府が反政府分子の追跡に活用していても)に懸念を示しているようなので、来年も検閲の厳しい取締りがあるだろう。

モバイル市場の規制

中国のテック業界を監督する機関の1つであるMIIT(中国工業情報化部)は、モバイルアプリの開発と販売に冷血な手を伸ばそうとしている。同機関が正確にどういう取組みをするのかは明らかではないが、iPhoneが中国に上陸するのに3ヶ月の遅れがあるのはMIITの規制が原因だ。

アプリのデベロッパーは当然、ビジネスが鈍化することを懸念している。それは、ペースの早いモバイルエコシステムでは死の宣告にもなりうるし、そうでなければ検閲の対象、もしくはその両方かもしれない。この規制によって何が起こったとしても、MIITが2013年にモバイル業界に介入するのは1回限りのことではないだろう。

政府によって更なる規制が導入されるか、もしくは少なくとも規制の立案があるだろう

政府は国営企業が本当の企業のように運営されることを推し進め、それらの国営企業で実際に利益が上がるよう取り組んでいるが、民間のイノベーションをサポートする取組みにはあまり力を入れていない。

例えば、SARFT(娯楽の取締りと映画の検閲機関)は最近、中国のスタートアップXiaomi(小米)のTVゲーム業界への参入を叱責し、更には、国内のインターネット、モバイル、TV業界を監督することを目的として国営の子会社を設立した

これらすべてはビジネスに悪影響を与える

これらのことは当惑や制限を与えるだけでなく、ビジネスや開発にも悪影響を与える。中国のインターネットは世界中からますます孤立し、それによって国内のイノベーションが抑制され、海外投資を遠ざけている。そして、中国の限定的な政策は、著名な中国のテック企業の非倫理的な行為と合わさって、中国のテック企業の海外進出をこれまで以上に困難にしてしまっている。

ところで、中国にはよい兆しもあるのだろうか?もちろんある。スマートフォンとブロードバンドの普及率は上昇傾向で、来年も引き続き急速に伸びるだろう。インターネットの通信速度も速くなっているし、2013年には中国初の4Gネットワークも、(ないとは思うが)導入されるかもしれない。

だが、中国のインターネットで実際にできることが日ごとに減っているようなこの頃では、 通信速度とアクセスにはあまり意味がない。

だから、私は中国のウェブ/テック業界にとって2013年は最悪の年になると思う。が、私の考えが本当に間違っていることを切に願う。

【viaTech in Asia】 @TechinAsia

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する