応援したい会社になること−−キープレイヤーズ高野氏が語る「人材採用に必要な心得と振る舞い」

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スタートアップにとって、数限りある時間や人的資源をどのように配分し、進めていくかを考えなければいけない。優秀な仲間とともにサービスを進めていくためにも、経営者は採用に力を入れなければいけない。

キープレイヤーズ代表取締役の高野秀敏氏は、新卒でインテリジェンスに入社し、2004年に退社し、2005年1月にキープレイヤーズを起業。モバイルやインターネット業界向けの人材紹介や採用のコンサルティングを行うなど、転職や採用のノウハウを持った人物だ。

同氏がMOVIDA SCHOOLで語った、人材採用に必要な心得と振る舞いについて、まとめた。

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自身のステージに応じた、人材かどうか

スタートアップが採用するべき人材と、大企業が採用するべき人材は違う。それぞれのステージに応じて、どういった人材が必要か、経営者はイメージできなければいけない。具体的な人材のイメージを持つためにも、人と会い話をしながらイメージを膨らませよう。インテリジェンスで働いていた時、当時の社長は仕事の30%は採用活動に充てていると日々語っていた。経営者は、人と会うのも大きな仕事だということを忘れてはいけない。

採用活動は営業と同じ

「人と会う」という量をこなしつつ、多様な人との出会いを作らなければいけない。量と質が採用活動として重要であり、まさしく営業と同じ発想だ。どういう人が欲しいか、業界や職種などの経験、人物像や年収、年齢などの要素を加味しながら、採用活動を行ってもらいたい。

求人エントリーのためのアクションプランを考える

ベンチャーなどの小さな会社や無名な会社は、エントリーしてもらえることは難しいと自覚しなければならない。そのため、求人のエントリーを増やすためには、戦略的にアクションプランを考え、そのプランをもとに行動していくことだ。

欲しい人材を明確にし、絞ること

しばしば「いい人を紹介して」と言う人がいるが、それではダメだ。なんでも欲しいではなく、セグメントをしっかり絞ったほうがよい。会社のウェブサイトでは、採用に通じる細やかな情報、開発者であれば言語の種類といった情報を明確に載せておいたほうが、求人エントリーがされやすい。

経営者自身が足を使い、ブランディング活動を実施する

イベントや勉強会などに地道に足を運び、そうした場で探したい職種の人に対してアタックし、自身の思いを熱心に伝える経営者は強い。プレスリリースといった話題作り、経営者自身によるSNSやブログによるメッセージの発信など、日々のブランディング活動をもとに知ってもらうための取り組みを実施することだ。また、ウェブサイトには採用を意識したページ作りをしよう。メッセージや各職種の紹介、中の人が見える要素を作り出しておく。ブランディングを通じて知ってもらう工夫をし、求人エントリー数を増やす取り組みが重要だ。

ソーシャルメディアを通じた採用活動

FacebookやTwitterの登場によって、個人の情報が可視化されてきた。それにより、技術的なブログを更新している人など、スキルや能力向上に熱心に取り組んでいる人を探しやすくなった。そうした人たちに対して丁寧にメッセージを書いて送り、まずは会ってみたいという思いを伝えると、ある程度の確率で会ってくれる。SNSを通じて人を探し、相手の経歴やつながりをリサーチしながら、採用活動をすることも一つの方法だ。

会社に関わるきっかけをつくる

社内勉強会や定期的なパーティなど、自社に足を運んでもらう仕組み作りをすることは大切だ。すぐに転職しなくても、会社に関わるきっかけを作ることで、次第に活動に参加してもらえる動機になっていく。求人する側にとっても、会社の文化や中身を知ることによって、自分が入社した後のイメージも明確になっていく。

また、個人事業者が相手の場合は、まずは仕事を依頼してみることから少しずつ会社に関わってもらい、そこから社員として登用する方法もある。専門学校や大学といった学生たちにインターンとして関わってもらい、そこから入社につながることもある。成長している企業は、早くから学生たちとコミュニケーションをしているところも多い。若手を育成することで、採用にもつながり企業の基盤となることは大いにある。

面接においては、質問を事前に考える

欲しい人材候補をもとに、面接相手にどのような質問をするか、事前にリスト化しておくことは必要だ。社長以外に数人のメンバーがすでに企業に在籍している場合、どういった人材が今の企業に必要かを整理し、面接におけるミスマッチをなくす取り組みをしよう。

面接を通じて、長い人間関係を築こう

面接が上手な社長は、面接で採用に至らなくても、求人にきた相手とその後の付き合いに発展しやすい。定期的に会う機会を作り、現状を報告し合う関係を築くことで、一年後に採用につながるかもしれない。少しずつ関係を築く意味でも、面接を一つの出会いの場と考えよう。

会食などを通じ、相手の話を聞き出したり、仕事以外の話をすることで関係を作ることもできる。人との細やかなコミュニケーションを大切にしてもらいたい。

面接では丁寧な対応を

面接では、社長の持論や思いを語ることはとても大切だ。社長でなくても、面接に関わる社員が、企業について一人称で語れるくらいの話があるとよい。熱意としつこさは紙一重だが、熱心に言われて嫌な人はいない。熱意が伝わるための努力をしよう。

当たり前だが、面接において時間にルーズであったり、面接する側が横暴な態度をとってはいけない。面接後のメッセージやフォローを丁寧にするなど、一挙手一投足すべてが見られているといった思いを持ち、謙虚な意識を持って立ち振る舞いを意識しよう。

将来のキャリアプランを考えること

面接では、相手の質問に対して丁寧に応えよう。必ずすべきは、お金の話と今後の展開だ。お金の問題は後で問題の火種になりやすいため、初めにクリアにしておきたい。現状と将来設計の話も事前に擦り合わせをしよう。入社する人たちの将来のキャリアプランを考えているか、経営者として、採用した後のことも考えておくことは大切だ。

応援したい会社になること

スタートアップに入社する人は、経営者の大きなビジョンに共感したからこそ入社している、ということを忘れてはいけない。大きな志、大きな夢、大きな目標を掲げ、それを社員と共有し、社会に価値あるものを残すワクワクを持って過ごしてもらいたい。

ビジョンも一つの経営ツールだいうことを念頭に置きながら、応援したいと思われる会社になることを目標に、採用活動を行ってもらいたい。

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