Xiaomi(小米)、中国ローカルのLSIチップメーカーと提携し、知的財産の強化を狙う【レポート】

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Xiaomi(小米)は現在、全力で海外展開を進めているが、新たな国の市場に参入するたびに、同社のモバイル機器に搭載するチップセット(半導体部品)のライセンス費用のために出費が必要になる。この費用負担は重くなってきており、また、同社が新規市場に参入する際のリスク要因となっている。

TechwebSina Tech(新浪科技)によれば、Datang Telecom(大唐電信)の全額出資子会社であるLeadcore Technologies(連芯科技)は本日、複数の中国メディアがXiaomiの傘下にあると報告しているBeijing Songguo Electronics(北京松果電子)との間で、「技術移転契約」を結んだ。契約額は1億300万元(1680万米ドル)であり、Leadcoreの重要な技術特許の利用が可能となるXiaomiにとっては、知的財産の強化となる。Xiaomiの中国における、特許を含む知的財産ポートフォリオは、AppleやSamsungのような競合スマートフォンメーカーにより苦境にさらされている

先週、QQ Techが発行した記事によれば、Xiaomi、Leadcore両社は同じ目的のために合弁企業を立ち上げようとしていたとのことだが、Xiaomiはそれをきっぱり否定している。同社の広報担当はTech in Asiaに対してこう述べている。

「Leadcoreとの協業という話は正しくありません。特許侵害の訴訟は、当社が他国に展開していく際の重要な懸念事項というわけではありません。当社は人口、可処分所得、ソーシャルメディアの成熟度、eコマースなど多くの要素を検討しています。そして、当社はアメリカおよびヨーロッパにおいて特許を保有しています。」

しかし、技術移転契約についての詳細が明らかになった今日、Xiaomiはコメントを拒否している。

Leadcoreは、携帯電話とネットワークを接続するための半導体チップを製造している。より具体的に言えば、China Mobile及びその他のTD-LTEとTD-CDMAネットワークへの接続するためのものだ。XiaomiはLeadcore製のチップを同社の携帯電話に搭載するのだろうか? 現在同社の機器に使われているQualcommやMediaTek製のチップをすべて置き換えることはないにしても、搭載の可能性はあるだろう。しかし、より多くの国がTD-LTEネットワークを拡充している現状において、Leadcoreは頼りになる仲間になり得る。

TD-LTEへの準備

Global Mobile Suppliers Associationによれば、大多数の国がスマートフォンを4G-LTEネットワークに接続するのにFDD-LTE規格を用いているのに対して、商用のTD-LTEネットワークは、現在27ヶ国で稼動しており、さらに多くの国で計画されている。TD-LTEネットワークはFDD-LTEに用いられるのとは異なる、Leadcore製のような半導体チップが必要になる。

Qualcomm、MediaTek、そしてLeadcoreのようなチップメーカーは、半導体チップの売上と、販売後にチップが使用されるにあたって支払われるロイヤリティの双方から利益を得ている。最近はこのロイヤリティ金額が、中国当局と世界最大のチップメーカーであるQualcommの論争の種となっている。中国政府は自国のモバイルチップ産業を振興させ、現在のQualcommによる「独占」を弱めるべく推し進めている。Xiaomi、Leadcore両社の提携は、間違いなくその方向への一助となるだろう。

Leadcoreの特許を用いて他のチップメーカーへのライセンス費用というコストを削減すること以外に、Xiaomiは法的な攻撃手段も持つことになる。ハイテク企業が特許侵害で訴えられた場合(これはモバイル業界では常に起こっていることである)、特許権の引渡しというのは、法廷まで進まずに訴訟を終結させるための常套手段である。例えば、仮にAppleがXiaomiを訴えた場合、同社はAppleにLeadcoreの特許使用の許諾を与えることで、何百万ドルもの支払や、法廷闘争での時間とお金の浪費を避けることができるわけである。

これはクロスライセンス合意とよばれ、2社が訴訟を避けてこの類の闘争を終結させるためによく使われる手段である。Xiaomiはこの分野においてこれまでもほとんど逆風を受けていない状態だったが、より多くの国に展開するにあたり、特許訴訟や高額のライセンス費などの面で、よりリスクを抱えた状態となっていた。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia
【原文】

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