フードデリバリーを提供していたdely、動画レシピプラットフォームの構築を目指す

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動画メディアが活況だ。各プラットフォームに掲載される動画コンテンツたちは、日々かなりのリーチを生み出している。

少し前に話題になることが多かった「分散型メディア」のように、各プラットフォームにコンテンツを提供することでユーザを集めているプレイヤーたちも、動画コンテンツへの注力を始めている。

海外では、BuzzfeedやVICEなどの名前がよく挙げられるが、日本ではC Channelやエブリーなどのプレイヤーが動画コンテンツを作成し、急成長している。

大小様々なプレイヤーが鎬を削るフロンティアに挑戦しているスタートアップのひとつがdelyだ。

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delyは2014年にフードデリバリーサービスをスタートしていたが、その後ピボット。「KURASHIRU」というキュレーションメディアを立ち上げた。

kurashiru

「KURASHIRU」は、ライフスタイルを中心としながら、美容やフード、動物等のテーマにも展開している。各テーマごとにFacebookページを複数作成しており、現在、トータルで5ページを運用しており、約170万いいねを集めている。

「KURASHIRU」は、ウェブサイトを持ちつつ、各プラットフォームに動画を中心としたコンテンツを配信。再生数を稼いでいる。近々広告ビジネスもスタートさせるそうだが、話を進めているクライアントからは好感触を得られているという。

「これまでWebで動画広告を出稿したいと思っても、なかなか再生回数を100万回超えるようなところがありませんでした。私たちのプラットフォームでは、安定的に高い再生回数を出すことができるので、クライアントも喜んでいます。」

そうdely代表取締役の堀江裕介氏は語る。分散型メディアと呼ばれる、各プラットフォームでコンテンツを提供しているプレイヤーは、スポンサードコンテンツで売上をたてるところが多い。だが、delyが目指す領域はここに留まらない。「KURASHIRU」は今後「フード」に力を入れていき、このテーマのフォーカスが彼らが目指す未来に関係している。

フードのレシピ動画はシェアされることも増え、動画コンテンツの中でも高い人気を誇る。だが、フードといえば、Buzzfeedが運営する「Tasty」など、いくつかのライバルが存在する。フードに特化したとして、堀江氏はどう彼らと競争していくのだろうか。

堀江氏「他のプラットフォームに動画コンテンツを配信していく上で大切なことは、知名度を高め、ブランドを作っていくことです。私たちは「KURASHIRU」のアプリも提供していて、「KURASHIRU」という名前での検索が増えています。フローになりやすいプラットフォーム上ではなく、アプリでユーザをストックしていくことを目指します」

女性向けキュレーションメディアとして高い認知を獲得した「mery」は、検索やソーシャルメディア上でのシェアからの流入でトラフィックを伸ばし、アプリをリリースした後は、アプリでユーザをストックできるようにしてきている。

「KURASHIRU」が想定している流れもこれに近く、提供しているアプリにユーザをストックしていこうとしている。

これまでにもFacebookページから導線を作ったり等はしていなかったにも関わらず、ユーザは検索からアプリにたどり着き、ダウンロード数が伸びていたそうだ。これまで情報を届けるアプリだった「KURASHIRU」は全面リニューアルを行い、その姿を変えている。

kurashiru app

堀江氏作成した動画をアプリ上に”ストック”していきます。ユーザから、「あのレシピどこいったんですか?」という問い合わせがとても多いんです。 1日に数十件は来ます。「KURASHIRU」は、動画レシピアプリとしてリニューアルし、成長させていきます」

現在でも、月に500〜600本の動画を作成しているそうだが、そのコンテンツはストックにはならず、流れていってしまっている。これをストックに変えていけるよう、動画レシピアプリへと姿を変えようとしている。これにより、広告以外のマネタイズモデルが見えてくる。

堀江氏「課金できているコンテンツは限られます。クックパッドに食べログ、アットコスメなどを見ればわかるように、食と美容のコンテンツは課金されやすい。「KURASHIRU」は、動画レシピでクックパッドモデルを目指したいと考えています」

動画レシピのプラットフォームとなることで、ユーザ課金をマネタイズの軸にしていこうと堀江氏は考えている。将来的には、アプリにライブ配信の機能をつけ、料理教室や人気の料理ブロガーなどと連携していく考えだ。

今年の3月には、YouTube 創業者スティーブ・チェンが料理のライブストリーミングサービス「Nom」をリリースしており、料理のライブ配信方面も可能性が広がっている領域。

YouTube 創業者スティーブ・チェンが料理のライブストリーミングサービス「Nom」をローンチ

フード以外のテーマはアプリ化は行わず、分散型メディアとしての運用に止め、スポンサードコンテンツでマネタイズを図っていく。

フードデリバリーからピボットした後、delyはスタッフが共同創業者以外の全員が辞め、会社の銀行口座には20万円ほどしかない時期もあったという。その苦労を乗り越え、堀江氏には次のステージが見えてきた。

堀江氏「今は、スタッフで10人、バイトまで含めると35人ほどのメンバーで500〜600本の動画を作れる状態になっています。1、2ヶ月以内に1000本の動画を制作できる体制を整えます。その後は、月間の再生数は10億までは特急でいきたいですね。自社のプラットフォームだけで1年以内に5億回、外部のプラットフォームと合わせて10億回の再生回数を目指します。」

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