中国では近年、コワーキングスペースが一大ブームとなっており、何十万というオペレーターが台頭している。しかし、コワーキングが広がっているのは中国に限った話ではなく、世界的なトレンドとして発展がみられる。グローバル不動産サービス企業 JLL のワークプレイスストラテジー部門ヘッドの Claire Stephens 氏は、コワーキング中国フォーラムの場において、中国におけるコワーキングブームのインサイトをシェアした。
シェアリングエコノミーは、中国人が持つ「所有」の考え方を変えつつある
シェアリングエコノミーが中国に根を下ろしつつあるなか、実に多くの中国人が共同消費型のライフスタイルの方向性へ向かっている。iiMedia のレポートが示すように、中国におけるシェアリングエコノミーの市場規模は今年、3兆9,500億人民元(約6,330億米ドル)に達しようとしている。
コワーキングスペースは、所有からレンタルへという思考変化から最もメリットを享受しているセクターの1つだ。
以前は、デスクをシェアするという考え方を普及させるのは大変でした。でも人々は突然、Mobike(摩拜単車、自転車シェアリング)のデスクバージョンを利用できないだろうかと問うようになったのです。スペースを共同で使うというシェアリングエコノミーの考え方が主流になってきています。ですので正しいモデルを用意すればコワーキングが成功する可能性が大いにあります。(Stephens 氏)
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ミレニアル世代の労働力の増加
中国のビジネスシーンで増加するミレニアル世代は、職場環境でこれまでとは違う体験を求めている。彼らは肩書きには関心がなく、どのような体験ができるかを気にしている。コワーキングは、若い人が望む柔軟性、モビリティ、ユニークさを備えている。
Stephens 氏は次のように話している。
世代が違うと働き方も異なり、職場での優先事項も違います。ミレニアル世代は特定の企業の社員というよりも、コミュニティ、特にオンラインコミュニティに属しているという考え方を持っています。会社が自分の属するグループの中にあると感じられれば彼らはとても高い忠誠心を持つことでしょう。だからスペースを使って彼らをそのように意識させることが大事なのです。
政府支援
中国政府による起業家およびイノベーションに対する支援の動きと合わせ、この国ではスタートアップの育成を支援している業界が記録的に増えている。このトレンドに乗って、コワーキングスペースとインキュベータプログラムがあちこちで生まれている。
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コワーキングの成功にはテクノロジーの要素が不可欠
コワーキングの中でもテクノロジーは最も重要な要素だ。そしておそらく、ほとんどのオペレーターが失敗していることでもある。
現時点では、ただ見た目が美しいビジネスセンターにすぎないコワーキング環境を作っている企業がたくさんいます。大事なのはオンラインとオフライン両方のコミュニティを備えてコワーキングを活用してもらうことです。物理的なスペースにいるときだけではなく、オンラインでも使えるコワーキングの環境を作り出すことが重要です。
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