中国のセルフバランススクーター開発会社Ninebot(納恩博)、ユーザの代わりに順番待ちをしてくれるAIロボットを開発中

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Ninebot Plus のビデオから
Image credit: Xiaomi(小米)

中国のスマートフォンメーカー Xiaomi(小米)が、Ninebot Mini のローンチから2年を経た6月28日、最新のセルフバランススクーター Ninebot Plus(九号平衡車 Plus)を3,499人民元(514米ドル)で発売した。Ninebot(納恩博)は今回初めて、消費者向け製品に無線位置決定技術を採用しており、また新たに、スクーターにユーザの後を追わせたりロックを解除したりできるリモートコントローラが付属している。さらに、Xiaomi PTZ カメラをスクーターに設置できるようになっている。

Ninebot をあまりよく知らないという読者もいるかもしれない。Ninebot は2015年春、セルフバランススクーターを手がけるアメリカ企業Segwayを、同社のセルフバランス車両の特許権と17年間におよぶ研究開発実績と共に買収した。この買収が成立したのは、Ninebot に Xiaomi からのバックアップがあったためだ。

Technode(動点科技)は、TechCrunch Shenzhen 2017 で Ninebot の共同設立者兼社長の Wang Ye(王野)氏に話を聞くことができた。同氏はインタビューで、新製品に関する背景情報と会社が持つ将来のビジョンについて語ってくれた。

Wang Ye 氏はその場では Ninebot Plus の情報を開示しなかったが、同社が人工知能の分野で Intel と協力関係にあることは認めた。革新を求めるすべてのテクノロジー企業にとって、AI こそが突破口になると確信しているという。

セルフバランスロボットがいかにして私たちの日々の生活を助けてくれるか

Ninebot Plus のビデオから
Image credit: Xiaomi(小米)

セルフバランスロボットが Meituan(美団)のフードデリバリーにどのような形で役立つことができるか、同氏は例を挙げて説明してくれた。

ある顧客が12時に、Wanda Mall(万達商城)の5階にある1件のレストランに対し、10件の注文をしたとしましょう。通常であれば、5階に上がり、列に並んで14分間待たなければならないはずです。10体のロボットが彼の代わりに列に並び、それぞれが1件の注文内容を受け取り、モールの出入り口まで自動的に移動してデリバリー担当者に食べ物を渡すことができるとしたらどうでしょう。セルフバランスロボットは、そういった効率化の可能性を秘めているのです。(Wang Ye 氏)

同様に、セキュリティロボットとして CCTV カメラの代わりに活躍することも可能だ。

様々な場所で、警備員と共に可動式防犯カメラが導入されています。ですがこういった防犯カメラは、高周波カメラを搭載したセルフバランススクーターへと置き換えが可能です。またセキュリティロボットは、撮影した動画をコントロールルームに Wi-Fi 経由で送ることができます。そうなれば、公園に設置された100台のカメラを、少なくとも50体のセルフバランスロボットに置き換えることも可能かもしれません。

そういったセルフバランスロボットの将来にB2Bが登場しうることは、容易に予測できる。

Ninebot Plus
Image credit: Xiaomi(小米)

人間による労働の軽減とコスト削減

Wang Ye 氏と同氏のパートナーはまた、 セルフバランススクーターが一般利用用途でも普及し、手頃な価格で入手可能な玩具として認識されることを期待しているという。

初心者向けのチュートリアルを用意しました。携帯電話アプリのインタラクティブゲームのような、ベーシックなチュートリアルです。新しいバージョンでは安全運転チュートリアルもありますから、ユーザはこれを利用して、自分の運転が安全か、またスクーターを使いこなすだけの腕があるかを評価することもできます。

ユーザエクスペリエンスだけに焦点を当てているわけではありません。 オンラインのセールスチャネルに依存したり、販売スタッフや店舗スタッフの人件費を完全に削減したりと、人間の労働力の削減にも関わってきます。(Wang Ye 氏)

Ninebot は人間の労働力よりも機械を活用することで、オートメーションの水準の向上に努めている。

重大なリスクを伴うタスクや人間の労働力に大きく依存するタスクは、機械を利用して完結させます。例えば、センサーを配備する際は、機械を活用し人間による作業の割合を軽減します。

2点目は技術革新によるコスト削減だ。Wang Ye 氏によると、同社はアルゴリズムを細かく検討し、重要なセンサーのいくつかを排除した。それによりコストを大幅に抑えることができたという。

弊社のチームに属するエキスパート2人が、一次抵抗を管理し電流センサーと置き換えるにはどのようにモデルを活用すればよいかについて、2編の論文を発表しました。センサーとして自動調整されるよう、アルゴリズムを調整したのです。これにより、センサーを取り除き、各スクーターにつき何百人民元も節約することができました。少なくなったパーツでも同じように機能しますので、品質対価格比も当然向上するわけです。

セルフバランススクーターのシェアリングについては否定的

Ninebot の共同創業者で社長の Wang Ye(王野)氏

中国ではシェアリングエコノミーが自転車シェアリングによる影響を大きく受けているが、この件に関しては Wang Ye 氏も彼の会社もさほどの関心を示さなかった。

セルフバランススクーターのシェアリングエコノミーに関して言うと、実際の需要はそれほどないと考えています。セルフバランススクーターは中国では販売が基本となっていますし、海外ではPay per Use 型(利用に応じた課金)の運用が普及しています。

Ninebot は海外のホテルやリゾートと協力し、駐車スペース1,800ヶ所、1万体以上のSegway製品、また自社ブランドのセルフバランススクーターの展開に努めていると報じられている。主な収益は特許権使用料から得ることになる。

また、Ninebot Plus 上部にある統一 QR コードと接続できるアプリも作りたいと考えています。そして例えば、ユーザが1時間あたり30~50人民元を支払い Ninebot を利用できるようにします。価格は、サービスを提供する事業体が設定できます。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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