インドの仮想通貨スタートアップWandX、単一トランザクションでイーサリアムベースのトークンバスケットのP2P取引を可能に

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ほぼ世界中どこにおいても暗号通貨はいまだに驚きの目で見られ、存在を感じられずにいるが、それは途上国のみならず先進国でも言えることだ。この業界に関する知識をたくさん持っている人でさえ、高いリスクを理由に仮想通貨への投資には二の足を踏んでいる。

業界における最近のトレンドや価格の高騰からすると、暗号通貨に心躍る人がいそうなものだが、現実はその反対である。皆、今でも神経質なままだ。

しかしながら Abhinav Ramesh 氏は心配していない。ブロックチェーンの起業家である同氏は、特にインドにおけるあらゆる種類の仮想通貨の成長に対し強気の姿勢で、自身が設立したスタートアップ WandX を次のレベルに成長させることで、この業界の認知度が向上するとみている。そして、インドにおける規制が明確になれば、ブロックチェーンのイノベーションへの道筋がつけられると考えている。

認知度の欠如

Ramesh 氏は次のように述べている。

ビットコイン取引の業界は急速に成長しつつあり、多くの人が投資に関心を持ち始めています。民間のブロックチェーン業界は、主に Hyperledger(オープンソースブロックチェーン・関連ツールを持つ包括的プロジェクト)概念実証の構築面で成長をしています。しかしながら、インドではパブリックなブロックチェーンアプリはほとんど現れていません。この国ではブロックチェーンのプロトコルレベルでのイノベーションが生まれていないのです。WandX のミッションは、こうした状況を変えることです。

しかし彼は、インドに規制がないことをいくぶん憂慮している。

若者の人口が多く、貯蓄に対する意識が高まっているインドは潜在的に大きな市場です。この国では、様々なプロセスをより効率化できる AI やマシンラーニングの面で革新を続けていますが、トランザクションの方法と処理を変革するブロックチェーンではイノベーションが起きていません。こうした状況を変えたいのです。

シンガポールで設立された同社は、スマートコントラクトを通してイーサリアム対応ブロックチェーントークンのピアツーピア取引を可能にしている。イーサリアムブロックチェーン上に構築された WandX アプリのユーザは、 ERC20トークン(トークン規格)のバスケットを1回のトランザクションで生成・取引できる。ユーザは、WandX により開発されたイーサリアムのスマートコントラクトを通してトークンのバスケット生成と取引ができるのだ。

彼は e27に対しこのように語っている。

つまり、当社のスマートコントラクトを通じてイーサリアム対応ブロックチェーントークンの取引がピアツーピアでできるのです。この取引は、1つのトークンにも複数のトークンにも対応しています。

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WandX 設立者兼 CEO Abhinav Ramesh 氏

このアイデアは、Ramesh 氏がブロックチェーンのカンファレンスに参加した時に思いついたという。それは彼が Ernst & Young のサプライチェーン部門で顧客向けのソリューションとして「サプライチェーンにおけるブロックチェーン」の採用を検討する傍らで株取引をしていた頃の話だ。株取引の専門知識とブロックチェーンの知識を組み合わせる決心をした彼は、WandX を立ち上げた。

WandX のビジョンは、ERC20トークン上で構築されるあらゆる金融商品の生成、取引、決済を行うための分散型インフラを作ることだ。

現実の世界には、先物、オプション、収入源を使った証券化商品、債務証書など、通貨やコモディティについての様々な商品があります。暗号資産の世界が急速に成長しつつある現在、私たちは暗号通貨向けにこうしたインフラを作っているのです。1回のトランザクションでイーサリアムトークンのバスケットを P2P でユーザが生み出せるイーサリアム対応トークンから始めました。これはすでにイーサリアムのテストネット上で採用されており、当社ウェブサイトでもご覧いただけます。

Ramesh 氏は続ける。

ターゲットとする市場は二分されています。1つは、こうしたバスケットの生成者たちです。彼らは価格に上乗せをしてバスケットを販売できるほか、1回のトランザクションで複数のトークンを移転できるため、こうしたトークンのバスケットを作っているのです。そしてもう1つの市場は買い手です。これまでに高いリターンを得られたトークンバスケットを保有することには利便性があります。全ての取引は当社のスマートコントラクトや API を通してなされますが、それにより公認の BTC/ETH(ビットコイン・イーサリアム)取引所との提携というビジネスモデルにつながる可能性が開けます。そして取引所は当社の API を活用することで顧客に様々な ERC20トークンを取引してもらえるようになります。

現在 WandX のプラットフォーム上でなされているトランザクションはベータ版であるが、彼は今後3か月で1日あたり100回のトランザクション達成を目指している。

不信感への対処

WandX_

売り手であれ買い手であれ、暗号通貨ユーザを最も悩ませているのは信頼性の欠如である。しかし彼によると、WandX はこの不信問題に対して効果的に対処しているという。

当社のスマートコントラクトコードはオープンソースです。このコントラクトは、ERC20トークンバスケットの移転が完全になされるか、全体のトランザクションが失敗になるかのいずれかになるよう設計されていますので、エラーになる余地はほとんどありません。WandX は4週間以内に本番環境のリリースを目標としています。

他のよくあるオンライン取引プラットフォームと同様に、WandX は各取引から一定割合の手数料を受け取っている。同社は、アプリケーション上で取引を行い、プラットフォームでリアルワールドのユースケースを試してイーサリアムのプラットフォームで先頭を切りたいと考えている流動性プロバイダと提携することで成長していく計画を立てている。

日増しに暗号通貨を取引するユーザ数が拡大するにつれて、当社はアルトコイン取引市場のかなりの部分を獲得できる準備が整っていると考えています。

Ramesh 氏はこのように締めくくった。

【via e27】 @E27co

【原文】

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