なぜアメリカのインターネット企業は中国で失敗するのか─Kaifu Lee(李開復)氏の考察

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【翻訳 by Conyac】【原文】

編者注:この記事はLinkedInに掲載されたもので、私たちはKaifu Lee(李開復)氏の許可を得てここに転載した。Kaifu氏は中国のインキュベーターInnovation Works(創新工場)の創設者で、またGoogleとMicrosoftで前バイスプレジデントである。


ほぼ例外なく、アメリカのインターネット企業は中国で失敗している。以下のグラフは中国におけるアメリカ企業の失敗を示したもので、3大勝者のAlibaba(阿里巴巴)、Baidu(百度)、Tencent(騰訊)が浮上することとなった。(この3社の合計時価総額は約1500億米ドルである。)

アメリカ企業の失敗を、政府の規制やえこひいきの結果だと多くの人が考えている。それも失敗の原因の一部ではあるが、企業自体に関係する他の原因がある。

1. 短期ビジョンにフォーカスしすぎる-中国は非常に忍耐が必要な大きな市場である。アメリカ企業は世界的にしばしば利益性を優先し、景気が悪化する中、全地域に縮小政策をあてはめる。しかし、この動きは一銭を節約して大金を無駄にする、となることが多い。短期ではいくらかの金を節約するものの、競合他社に市場シェアを明け渡すことになる。例えば、中国市場が盛況の間AOLは中国に参入・撤退を2度もし、撤退するたびに同社には財政困難が伴った。

2. 現地チームに権限がない-中国は手ごわいライバルのいる厳しい大市場である。中国でチャンスをものにするには、アメリカ企業は現地チームが責任を持ち、自治権をもち、ローカライズし、戦えるように現地チームに権限を与える必要がある。しかし、いくつかの悲惨な話やステレオタイプの懸念から、アメリカ企業本社は自治権を委譲することを拒むだけではなく、追加の監視を適用する。例えばGoogleでは方や製品、データセンター配分、UI、doodleにまで、そして社員の登用は言うまでもなく本社の承認が必要とされている。

3. スピードが欠けたグローバル化プロセス-中国の市場は特例を受けるのに十分な違いを見せることがありうるが、アメリカ企業は単一グローバルプラットフォームを維持することに非常に気を配っている。その意思決定はグローバルプラットフォームの統合性を維持することにはなるが、現地市場シェアを諦めることにもなる。例えば、eBayは市場リーダーのEachnetを買収したが、その後アメリカでホストしているeBayプラットフォームを支持しそのプラットフォームを廃止し大失敗となった。別の例は、これもeBayだが、売り手の評判に重点を置いたが中国ではそれは十分でなく、Alipayがエスクロー決済を導入し、その争いに勝った。

4. 文化の違い-アメリカ企業は、アイビーリーグでのMBA取得者やスタンフォード大の博士号保有者で、何年もの経験を持ち完璧な英語能力とアメリカスタイルのボディランゲージを持つ人の採用を好む。しかし、この「ウミガメたち」は中国でのインターネット闘争で日々繰り広げられる取っ組み合いには最も効果的な人材ではないかもしれない。例えば、Yahoo中国のゼネラルマネージャーはYahoo内部で不適任者と考えられていたが、Yahooを去った後たった6年で30億米ドル以上の価値を持つ企業を作り上げた。

では、アメリカ企業にはチャンスがあるのだろうか?簡単ではないが、可能性はある。まず、ここまで述べてきた内容は素晴らしい教科書となり、チャンスをものにするために学習する必要がある。次に、中国企業は消費者/モバイルソフトウェア領域で好調であるが、ビッグデータやクラウドコンピューティング、企業向けソフトウェアではアメリカ企業がまだ勝ち目をもっていると私は思う...今のところは。

【via Technode】 @technodechina

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