本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2013」の取材の一部である。
IVSの会場には多くの起業家がいるので、インタビューしていたら好調なスタートアップに再会した。ファッション系フラッシュセールの「MUSE&Co.」だ。半年前に取材した際、5000万円ほどだった月商は1億円にまで伸びていた。
MUSE&Co.は2012年2月創業の会員制フラッシュセールサービスで、ブランドから委託を受けた商品をタイムセール方式で会員に販売する。スマートフォンアプリが好調で、会員数は半年前時点で20万人、月商は前述の通り5000万円だった。調達の状況など詳しい内容についてはこちらの記事をご覧いただきたい。
ミューズコー代表取締役の久保裕丈氏に会場で少し時間をもらって話を聞いた。
半年で会員数と月商が倍増
ーー半年で順調に成長してるようですね。要因は?
これまではフラッシュセールだけで展開してましたが、モノを買うときってそれだけだと面白くないですよね。それでファッション関連のコンテンツ、いわゆるキュレーションコンテンツですね。それを開始したところ一気に伸びました。会員数はそこまでですが、購入率が上がりましたね。
ーーよくある施策だと思うのですが、ポイントはどこにあったと思われますか?
今はこの人がオススメしてると言った程度では響きません。名前が売れている方がいらっしゃって、そういう方を上手く出しました。
ーーセレブ系な人たちにオススメしてもらう。
ただ、消費者の方は賢明ですからいいものかどうかは見極めされます。なのでそういうセレブ系の方も人選にすごく時間をかけていて、別にモノを売らなくてもいいやっていうスタンスで、他の商品を掲載してもらってたりもします。
ーーこういった編集機能を持つとコストになりますけど、収支のバランスはどうですか。
ワークしてますね。編集機能っていってもそこまで立派なものは持ってません。外部を上手く活用してますし、ROIがどれぐらい見込めるのかということも含めてコントロールしてます。
ファミリーセール、フラッシュセールといった会員にとって、単なるコストバリューの高いサイトだけでなく、日々楽しめるコンテンツとしての側面が生まれることでここまで効果がでるとは驚きだった。
ーー具体的に出せる成長数字はありますか?
会員数ベースであれば月間で15%ずつ成長しています。アプリは月間で3万ダウンロードを続けていますし、ウェブからも毎月4万人ほどが登録してくれています。伸び率は(半年前に比べて)倍以上になってますね。
ーーブランド数や会員数はどの程度になりましたか?
ブランドが大体1000ほど、会員数は40万人になりました。
「年商50億円」とその先
ーー順調に購入が進んでいるとなると気になるのは今後の成長です。前回の取材でもお聞きしましたが、ビジネス構造的に商品点数を増やそうとするとバイヤーを増やさないといけない。その点の問題は解消されましたか?
だんだん積み上がってきてバイヤーをそこまで増やさなくても大丈夫になってきました。お付き合いのあるブランドがアセットとなって、(過去は売れ筋の商品を出してもらうための調整に時間がかかったが)外さないようになってきました。
ーーなるほど。であるとどこぐらいまで月商は伸びそうですか。
コンペティターを眺めると50億円、月商で4億円程度まではいけるかなと考えてます。
ーーそこから先にいくために何か考えていることは。
考えていることはありますよ。詳しくはお話できませんが、ひとつだけ、脱フラッシュというのはあるかなと思っています。フラッシュはお客さんを引っ張るフックとしての役割はありましたが、その先をみようとすると、定常的に「売れる」商品を提供する必要があると考えてます。
ーー急遽お時間ありがとうございました。
しっかりとユーザーを確保してビジネスも回っている状況があればコンテンツ導線はハマるということか。
ファッション関連のアイテムはテキスト検索が効きにくいので、雑誌のようなアプローチは王道とも思える。こうやって結果までついてくると、今後、逆のアプローチ(メディアがECを開始する)ことも増えてくるのではないかなと感じた。
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