恋人向けのクローズドSNSアプリ「Pairy(ペアリー)」を運営するTIMERSは、ベンチャーキャピタル4社を引受先とする総額約1億円の第三者割当増資を実施した。
割当先となったのは、インキュベイトファンド、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、East Ventures、NTTドコモ・ベンチャーズ(NTTドコモ・ベンチャーズはインキュベーションプログラム参加の転換社債による)。
TIMERSが資金調達を実施するのは、1年半前に創業して以来初めて。今回調達した資金をもとに、開発体制強化のためにエンジニアを中心とした人材獲得を進めていく方針だ。
ペアリーは2013年9月にフジスタートアップベンチャーズが開催するピッチイベント「FSV MEETUP 2013」で優勝、ドコモイノベーションビレッジのデモデイでも優勝を飾っている。こうした実績を積み、今年の9月に会員数も10万人を越えた後も順調な数字の伸びを見せ、今回の調達へと至った。


ペアリーは、カップルが想い出の写真を2人で簡単に共有できるアルバム機能や、2人だけでのチャット機能、行きたいデートスポットを共有しリストで管理できる機能や、予定調整に便利なカレンダー機能、2人のまとめをつくるペアプロフ機能などの機能がある。
TIMERS代表の高橋才将氏は、
アクティブ率や継続率も高い数字となっています。これまでプロモーションはせず、クチコミで数字を伸ばしてきました。今回得た資金もプロモーションには充てず、アプリを改善することでユーザ数を伸ばしていきます。
と語った。
「嬉しい」かどうかがサービス設計の軸
カップル向けのクローズドSNSは、コミュニケーションツールであるチャットアプリや他のカップル向けSNSと競争する必要がある。ペアリーはどのように競っていこうと考えているのだろうか。高橋氏は、差別化について以下のように語ってくれた。
マーケティングで差別化できるとは思っていません。サービスの質を高め、圧倒的なクオリティにしていくこと。そうすることでブランドになり、クチコミが生まれ、会員獲得につながります。マーケティングは足し算、プロダクトは掛け算で数字が伸びると考えており、ペアリーはプロダクトでの差別化を追求していきます。


高橋氏は、コミュニケーションツールにはストックとフローの2種類があると考えている。提供する価値がストックなのかフローなのかの見極めが重要だという。
LINEはメッセージがすぐ流れていってしまうためフローな体験を提供するツールです。その最たるサービスはSnapchatのようなサービスだと考えています。ペアリーはその真逆。消したくないメッセージのやりとりなど、ストックしたくなるコミュニケーションの部分において、価値を提供しています。
これまでにも多くのカップル向けサービスが登場してきた。その多くは備えている機能に違いはなかった。それでも、生き残るサービスと消えてしまうサービスとに分かれている。高橋氏はこの点について、カップル向けアプリならではのサービス体験が実現できているかどうか重要だと語る。
一番大事な軸は「嬉しい」と感じるかどうかなのです。一般のユーザビリティからは多少外れても、アプリを使うカップルにとって嬉しいかどうかを軸に、サービスを設計しています。
ペアリーは、来年の頭には夫婦に向けたクローズドSNSアプリのローンチや、英語、中国語、韓国語などに対応した海外版のリリースを予定しているという。ペアリーは来年の10月には国内で100万ユーザの獲得を目指す。
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