ドコモ・イノベーションビレッジが第1回デモデイを開催——カップルアプリのPairyがグランプリを受賞

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今日、NTT グループのインキュベーション・プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ(以下、DIV と略す)」は、第一期プログラムのデモデイを東京で開催した。デモデイには、NTTドコモの加藤薫社長の他、500 Startups の Partner & Fire Chief George Kellerman 氏、Skype 創業者で Atomico のパートナー Niklas Zennström 氏らが登壇しステージに花を添えた。今回のデモデイは、DIV にとって初めての試みだったが、普段彼らがインキュベーションを実施しているスペースではなく、一般ホールを借り切って開催され、聴衆は数百名に加えて、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

今回発表されたのは、4月に第一期プログラムに選抜されたスタートアップ6社だが、この数ヶ月間でどの程度成長をとげたのか、目にするのを楽しみにしていた。では、各社の健闘ぶりを紹介してみよう。

なお、デモデイではNTTドコモの社員や、DIVの外部メンター十数名の審査により、グランプリとベスト・ストレッチ賞が選ばれた。彼らには副賞として、DIVに協力している 500 Startups オフィスへの訪問を含む、シリコンバレーツアーが贈呈される。

<グランプリ>  Pairy by Timers(高橋才将氏)

div-demoday-pairyPairy は、カップルのためのモバイルアプリで、二人が思い出を振り返るのを助ける。調査によれば、過去1ヶ月以上前のチャットをさかのぼってチェックするカップルは、全体の40%以上にも上るという。SNS や既存のメッセージアプリでは、他のコミュニケーションに埋もれて、1ヶ月以上も前の二人だけのチャットを見つけ出すのは容易ではない。Pairy は目的をカップル同士のコミュニケーションに限定することで、このプロセスを容易にしてくれる。

現在ユーザ数は12万人で、DIVに参加した3ヶ月間で156%伸びた。ユーザの多くは、結婚を控えた20代の男女だ。月間PVは600万件、登録されているデートスポットは5万件、うち、20%のデートスポットには実際カップルが訪問していることが確認できている。

毎月自然増加でユーザ数は120%ずつ増加しているので、このまま行けば2014年10月にユーザ数100万人を突破し、国内最大規模となる。2014年3月に、フォトブック・プレミアムサービス・広告でマネタイズし、フジテレビとも連携して番組を企画検討している。現在6,000万円を資金調達中で、Pairy で付き合ったカップルが結婚した後に使えるアプリ Family(仮称)を構想中だ。

<ベスト・ストレッチ賞>  Coromo by Coromo(井上北斗氏)

div-demoday-coromo3スマートフォンのホームスクリーンをメディア化するソリューション。仕事のとき、レジャーのとき、家にいるときなど、専用のカードを接触させる(Felica などのNFC仕様と推測される)ことで、ホームスクリーンを切り替えることができる。ユーザはHTML5 を使って自分オリジナルのスクリーンを作ることもできる。

スマートフォンでは、ユーザがホームスクリーンを眺めている時間(滞留時間)が最も長いことに着目した。大規模イベントや施設に、専用メディアとして使ってもらうことでマネタイズする。今年の東京モーターショーでは来場者向けの専用メディアとして提供されることが決まっている。会場を離れた後はユーザを Coromo Store へ誘導し、ユーザのリテンションを図るだけでなく、B2C によるマネタイゼーションにもつなげる。スマートフォンが将来、ウエアラブル・デバイスに移行しても、ホームスクリーンの概念は残るので、このビジネスには将来性があるとのことだ。

DecoAlbum / DrawChat by プライムアゲイン(阿部伸弘氏)

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DecoAlbum は、写真のデコレーションと共有を一つのアプリで完結させられるモバイルアプリだ。なお、このアプリの開発経緯などについての詳細は、このインタビュー(英語)を参照されたい。これまでに200万ダウンロードを達成し、この数はDIVに参加する前の約2倍である。日本とタイからのユーザが約半数を占め、全体の7割は海外ユーザによって利用されている。

先頃、プライムアゲインは DrawChat という Facebook 上で手書きイラストをメッセージングできるアプリをリリースした。Facebook API を利用して、思い出や感情を共有できるアプリを出し続けることで、2014年には現在の5倍にあたる1,000万ダウンロード達成につなげたいとしている。

FunPicty by Soda(本名耕氏)

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FunPicty(iOS / Android) は、面白い写真が撮れる写真アプリの機能を一つに集めたものだ。これまでの面白写真アプリは短命のものが多かったが、彼らはそれら複数のバリエーションを一つのアプリに集め、面白写真を投稿/閲覧しあうコミュニケーション・プラットフォームを実現した。他の面白写真投稿サイト Break、Imgur、Pixiv などと差別化するため、モバイルアプリを作ることに注力している。

現時点でダウンロード数500万件で、月間アクティブユーザは30万人。2014年には月間アクティブユーザを100万人にまで持って行きたいとしている。

クミタス by Willmore(石川麻由氏)

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食品アレルギーを持つ人のためのアプリ。アレルギー代替食を探せ、Yahoo Shopping やセブンネットショッピングなどのオンラインショップを横断してアレルギーフリーの商品を検索でき、各商品の原材料・アレルギー成分などの情報を入手することができる。

日本では、食卓で子供にアレルギー対策を施している家庭が14.2%、学校給食で代替食等の対応を要するケースが7%となっており、食品アレルギーは身近な問題である。30人の主婦の協力により、これまでに4万件以上の食品の成分情報を登録し、これにより、例えば、「原材料に卵を含まないクッキー」などの条件で食品を選択注文できるようになった。

アフィリエイトや定期販売などで、3年以内に年間売上高15億円を目指している。ロッテ、Dショッピング、もぐもぐ共和国、らでぃっしゅぼーやとの提携が決定しており、中間流通販売業者へのデータ販売も検討中だ。年内にモバイルアプリをリリースし、今後はレシピ機能、外食先やスーパー等で使える有料機能、成人向けの食事制限者や糖尿病患者にも使える機能を追加する予定だ。1年でユーザ数50万人、3年で300万人の獲得を目標に、シリーズAラウンドでの資金調達を実施中だ。

Nanovel by Gadget(浅見敬氏)

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もともと映画プロデューサだった浅見氏は、同僚のプロデューサらと「10分間のストーリーで人を涙させることができるか」という企画を立てた。くだんの同僚はこれを「つみきのいえ」として映像化し、第81回アカデミー賞で短編アニメ賞を受賞するに至った。

このアイデアにインスパイアされ、浅見氏は2,000文字で人を感動させられる小説のプラットフォームを構築した。Nanovel には、脚本家、放送作家、コピーライターら50名が寄稿しており、ユーザは月間16本の短編小説を無料で読むことができる。ユーザの継続利用意向率が68.5%と非常に高いことも特徴だ。


SD Japan では今後も、単独インタビューなどの機会を設け、デモデイで披露されたスタートアップ6社の動向をより深く追いかける予定だ。ご期待いただきたい。

また、DIV では第2期プログラムへの参加者を募集している。今回のスタートアップ6社に続きたい起業家の人たちは、この機会にぜひ申し込んでみてほしい。

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