カップルや夫婦といった極めてクローズドなソーシャルネットワーク「Pairy」がリニューアルし、新しいバージョンとなるアプリを公開した。現在のユーザー閲覧ボリュームは月間500万PVで、公開後、約1年となる節目に新しい機能などでこの分野の可能性を追求している。
Pairyの公開は2012年6月。当時はクローズドのコミュニティとしてPath(2011年10月創業)やCouple(2010年11月創業、2013年2月に北欧のCuppleを買収してPairからブランド変更)、Between(2011年2月創業、韓国企業)などの「家族・恋人」ソーシャルネットワークの成長が日本にも聞こえてきたころだ。
カップルとなる二人が承認制のフローを経てペアリングを成立させると、二人だけが閲覧できるペアアルバム、チャットやデートスポットの検索や予定調整が可能なカレンダー機能などが利用できる。今回のリニューアルでPairyはカップルの「想い出」を振り返るアプリになるという。
TIMERS代表取締役CEOの高橋才将氏と取締役COOの田和晃一郎氏によれば、これまでのユーザー動向から、カップルユーザー(特に女性)のニーズが「想い出に浸ること」にあることが分かったのだという。
「ユーザーアンケートしてみたところ、女性の半数は彼氏とのチャットやLINEを読み返しているそうなんです。Pairyでもデートが終わった後に写真を共有してアルバムを見返したりするという行動が多く、土日のアップロードがやはり多いです」(高橋氏、田和氏)。
もちろん想い出に浸るだけであればもうコメントに出ているようにLINEや既存のソーシャルネットワークで十分だろう。そこでPairyが用意したのがデート機能だ。二人のデートの予定をPairy上で新たに追加されたカレンダーに追加してデートのプランニングが可能になっている。
「外部から取得している情報を元にデートスポットの掲載をしています。カップル市場というのを調査したところ、1.3兆円の市場規模があると想定しています。レストラン消費やホテル、プレゼントといった消費市場ですね。アプリを使うことでよりリーズナブルな良いデートプランを提供できるようになる」(高橋氏、田和氏)。
ここに彼らの考えるビジネスモデルも隠れているようだ。カップルをターゲットにしたマーケティングやO2Oといった話題は理解しやすい。
高橋氏と田和氏は共に2010年に新卒で博報堂に入社。それぞれ学生時代に起業経験やプロジェクト経験があったことから、入社二年目に博報堂社内で実施された事業プランコンテストにPairyの原型になるアイデアを提出、それが起業のきっかけになっている。
2012年5月にはDeNA出身のエンジニアと三人で起業し、2013年4月には、エヌ・ティ・ティ・ドコモ運営のインキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第一期採択企業にも選出されている。
カップルのみを対象にした非常にニッチなサービスなだけに、ユーザー獲得やマーケティング、ビジネスモデル、全てにおいて幅広く構えているLINEやfacebookなどのメッセージングやソーシャルネットワークと違った戦略が必要とされるだろう。コミュニケーションを中心に設定されているものが多い中、今回追加されたデートプラン機能がどのような効果を挙げるか興味深い。
メジャーなサービスが市場を寡占しつつある今だからこそ、ニッチを追求するプレーヤーのひとつとして続報があればお伝えしたい。
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