beLAUNCH 2014で披露された、今年有望なスタートアップ20社を一挙ご紹介

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2ヶ月程前のこと、サイバーエージェント・ベンチャーズのソウル事務所を訪れたとき、同所代表の海老原秀幸氏がこの一年位の間に韓国のスタートアップがすこぶるよくなったと評価していた。これには筆者も全くの同意だ。

韓国のスタートアップ・イベントの先駆けとなった Open Web Asia の開催が2008年、それから、かれこれ5〜6年にわたり韓国のスタートアップ・シーンを見てきたが、この一年間で、韓国のスタートアップのレベルがワンランク上がったような印象を受ける。理由はいろいろあるだろうが、さまざまな取り組みが功を奏して、韓国のスタートアップが韓国以外の市場でも受け入れられるレベルに達したということだろう。

本稿では、5月に開催された、韓国のスタートアップイベント「beLAUNCH 2014」の「スタートアップ・バトル」に登壇したスタートアップ20チームについて、彼らのピッチと共に振り返ってみたい。なお、入賞チームの受賞式の模様については、こちらの記事で確認することができる。

Chin Chin(アサンナヌム財団賞)

モバイル・デート・アプリ。独身者同士が知り合うことができる。アプリで紹介された人が好きかどうかを選んび、双方が好きだと相手を選択した場合のみチャットができる。この種類のアプリの中には、一日に一人ずつ相手を紹介する種類のものと、ロケーション・ベースのものが存在するが、それぞれのよい部分をうまく組み合わせており、ユーザの心理的な安心とカップルマッチングまでのスピードと信頼性で差別化しているとのこと。

MangoPlate(망고플레이트)(グローバル・ブレイン賞を受賞)

パーソナライズされたグルメ・レコメンデーションをするサービス。ユーザ・リテンションを図りやすいという点で、聴衆からの共感を得た。友人を通じてレストランを発見できるレコメンデーション・アプリ。現在は、ソウル市内のレストランのレコメンドに特化。

Keukey(큐키)(B Dash Ventures 賞を受賞)

スマートデバイスで文字入力をしていて、タイプミスに気付いたときに、バックスペースキーを使って修正が必要な箇所まで戻らなくても、文字綴りが修正できるソリューション。単語分析アルゴリズムとあわせ、ユーザが気付いた段階で、正しい単語や文字を入力し画面をドラッグすれば、遡って該当箇所の綴りが修正ができる。現在、海外展開の可能性を模索中。

Notivo(노티보)(beGLOBAL シリコンバレー 2014年冬への招待)

フラッシュセール、飛行機の遅延、チケットの販売開始など、これから起きることで見逃したくない出来事を事前に登録しておくと、その出来事が起きたときに知らせてくれるアプリ。Notivo エンジンが Yahoo や ESPN など複数のニュースソースを定期的にウェブスクレイピングまたは API 経由でモニタしており、ユーザが知りたい出来事が発生するといち早く知らせてくれる。


Promisope(프라미솝)

障害や希少性、難治性疾患を持つ子どもの保護者のためのグローバルなコミュニティ「hereiam」を提供。代表のイ・ジュンホ(이준호)氏は航空宇宙エンジニアとして仕事していたが、自身の子供に先天性の障害があることを知り、人生の方向性が大きく変わった。障害のある子供を持っている保護者や関係者のためのマッチングシステムとコミュニケーション空間を提供しており、今後のオンライン・ストーリーブックの発刊とオンライン心理療法などのコンテンツ提供を検討している。

News Jerry(뉴스젤리)

韓国のニュース・キュレーション・アプリ。NEWS JELLY は、現代の読者のニュースコンテンツのニーズを満たすべく、「速読みデータジャーナリズム(仮訳、바로 데이터 저널리즘)」を提案している。ビッグデータをもとに、見落としたか、知らなかったコンテンツを提示し、記事内容を深掘りして見せることができる。情報の洪水の中でも、価値ある情報を提供し、正確な情報に基づいて、新たな視点で情報が把握できる記事が「速読みデータジャーナリズム」である。

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Genius Factory(지니어스팩토리)

学習者向けマインドマップ教育アプリケーションサービスを提供。学校の「詰め込み教育」を是正すべく、脳の学習パターンに最適化されたプラットフォームを提案する。

Ediket(에디켓)

Webベースのドキュメントエディタを提供するオンラインの添削サービスプラットフォーム。代表のキム・ミンギュ(김민규)氏は、アメリカへの留学時に多くのエッセイを書いたことがあり、、エッセイを添削してくれる市場の供給と需要の間にニッチがあることを発見し事業を開始した。著者と添削者が直感的に意見を交換できるプラットフォームを構築、今後は、教育や法律文書の作成まで対応できるよう、事業範囲を拡大する計画だ。

We & Factory(위앤팩토리)

ロケーションベースのカスタマイズされた自動広告ソリューション。モバイルが一般化しているにもかかわらず、世間には非効率的なチラシ広告が氾濫している。スマートフォンをもつユーザが、実店舗の前を通過すると、自動的に製品の広告情報がクーポンの形でデバイスにダウンロードされる。BluetoothとWi-Fiを利用している。既に、韓国の美容&健康用品チェーン店「CJ Olive Young」と協業を開始している。

Cooori(日本)

反復による言語学習プラットフォームで、言語を効率的に習得できるサービスを提供している。斬新な学習用UIで、発音のチェックや学習の進捗管理等が可能。効率的な学習が可能になる点と、個人に最適化された学習を提供する点を特徴にしている。

Rainist(레이니스트)

ピッタリなクレジットカードを非常に簡単に探してくれるサービス。韓国に存在するすべてのクレジットカード2,100個のメリットを、消費パターンに基づいて、独自のシステムで分析し、最適なクレジットカードを提供提案する。これまでに1ヶ月間のベータテストを実施し、6,800人のユーザを獲得、うち272人の実際のカード発行まで導いた。既存のカードのプロモーションは過剰なマーケティングが非効率であり、このサービスの導入により、4%以上のコンバージョンを達成させることができる。

PlayMobs(플레이몹스)

mVoIP(モバイルVoIP)を利用した無料通話ソリューション「Bridge Call(브릿지콜)」を提供。複雑な他サービスとは対照的に、通話ボタンを一度押すだけで電話先が mVoIP に対応可能かどうかを自動判定し、その結果に基づいて、mVOIP または通常回線で電話を接続する。

Open & Wise(오픈앤와이즈)

スマートフォンで車を操作する技術を開発。BlueTooth を使ってエンジンをかけるなどの動作ができる。ピッチの後で、チェ・インジュ(최인주)に話を聞くことができた。冬に厳寒に見舞われる北海道などでは、乗車前に車内をエアコンで暖められるよう、家の中からエンジンをスタートできるオプションを使う人が多いが、そのような機能が Open & Wise のソリューションで提供可能か聞いたところ、BlueTooth の電波到達範囲の関係で、家の中から遠く離れた屋外の車のエンジンをスタートさせる用途は想定していないとのことだ。おそらく、OBDインタフェースを通じて、SmartDriveDashLab のようなしくみを目指しているのではないかと考えられる。

MycooN(마이쿤)

スマートフォンの充電の問題を解決するためのソーシャルチャージングサービス「Plugger(플러거)」を提供。多くのモバイルユーザに共通する問題である「充電」を素材に事業を展開、「バッテリー交換サービス」と「フランチャイズ企業との提携による充電スペースの確保」が主なサービス内容。

Bitfinder(비트파인더)

世界中の人々がより健康的なライフスタイルを享受できるように支援する製品を提供。スマートアクセサリー「Wave(웨이브)」をは、気候の情報を感知して、紫外線量、温度、湿度、空気の質などを測定して、ユーザーが健康的なライフスタイルを維持できるように支援する。

Peopleware(피플웨어)

スタートアップのチームビルディング支援プラッットフォーム。スタートアップが、世界中のスーパーエンジニアやデザイナーらとつながれる環境を提供し、求職と採用プロセスの効率の悪さを改善する。

Anyractive(애니랙티브)

電子黒板で作成した内容を、ユーザが持っているすべてのモバイルデバイスで使用できる。先生が書いた板書を、ユーザがモバイルデバイスに共有し、効率的な学習を支援するようなシーンを想定。

Viscovery(台湾)

2008年台湾で設立。画像検索エンジンで、Eコマース、小売等に応用可。画像や文字の認識が早いのが特徴。シンガポールにもオフィスを開設。ここ数回の複数のスタートアップ・カンファレンスで姿を見ているので、今年最も元気のよいスタートアップの一つと言ってよいだろう。日本にも市場参入を計画しており、大手オンライン・ショッピング・モールやEコマース・プラットフォームとの連携が期待されている。この分野では、用途は異なるが、同じく画像検索を使ってコマースを活性化させようとするサービスとして、日本の Brand Pit なども注目を集め始めている。

Kairos(카이로스)

自動巻き腕時計のディスプレイにスマートフォンの着信やフィットネス情報を表示するハイブリッドなスマートウォッチ。スマートウォッチは概して単価の安いものが多い。一方、時計市場全体を見てみると、売上の多くはアナログでラグジュアリーなブランドものが占めている。そこでこれら両方の要素を兼ね備えた、ラグジュアリーなスマートウォッチを作ることで、これまでになかった市場需要を開拓しようとする試み。Kairos も前出の Viscovery 同様、アジア各地で開催されるカンファレンスの随所で目にしており、今年注目されるスタートアップの一つだ。

Soundlly(사운들리)

テレビの視聴者が、 番組を見ながら画面に出てきた商品をモバイルで購入できるプラットフォーム。テレビ音声にモバイル機器を誘導する信号を載せることで、番組と連動した購入機会の提供を実現する。既にテレビ番組提供業者との提携、サービス提供を開始している。


いかがだっただろうか。これらのチームがアメリカや日本、東南アジア各国の市場で成功することを期待したい。

次回は、6月10日〜11日にシンガポールで開催された ECHELON 2014 のピッチ・セッションに登壇したスタートアップ10チームを紹介する予定だ。

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