Angry Birdsの顔、Antti Sonninen氏がBeatroboに参画し、COOに就任(インタビュー/ビデオ)

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

Angry Birds で知られる Rovio Entertainment (以下、Rovio と略す)の面々に初めてインタビューしたのは、昨年春のことである。東京のスタートアップ・コミュニティに身を置く人なら、トレードマークの赤いパーカーに長身を包んだ、日本のカントリーマネージャー Antti Sonninen 氏の姿を目撃したことは、一度や二度ではないだろう。

そして、昨日を最後に、彼の赤いパーカー姿を見ることはもう無いだろう。Sonninen 氏が新しいスタートアップへと身を転じたからだ。PlugAir の開発で知られる東京のスタートアップ Beatrobo は今日、Antti Sonninen 氏が Beatrobo に加わり、COO に就任すると発表した。Beatrobo はこれまで、共同創業者兼CEO で浅枝大志(ひろし)氏が中心にビジネスを牽引してきたが、Sonninen 氏のの参画を機に、同社のグローバル化を加速したいとしている。

カントリーマネージャーから、グローバルオペレーションを作る立場へ

Sonninen 氏は、Rovio の日本のカントリーマネージャーを一年以上にわたって務めた人物だ。2011年にフィンランドにある本社でチームに参画、以降、約3年間にわたって Rovio の成長を目のあたりにしてきた。彼が Rovio に入社したときに70名だった社員数も、現在では900名。なぜ、このタイミングで Beatrobo に身を転じることにしたのか、Sonninen 氏に理由を聞いてみた。

同僚が韓国や中国オフィスを開設するのを間近で見てきた。Rovio は今後も成長してゆくだろう。自分からアーリーステージに身を置くことが好き。自分しかできないことをやりたい。(Sonninen 氏)

Rovio に入社する前、Sonninen 氏は発展途上国での NGO 活動を支援するSNSのスタートアップを経営していた。そういう点では、彼のルーツは企業人ではなく起業家なのであって、新しい飛躍を遂げる可能性のある場に身を置いておきたいという心境は理解できる。

Beatrobo は4月にローソンから資金調達をし、その頃、一緒に面白いことができればいいなぁ、と浅枝氏と半ば冗談まじりに話をしていた。冗談に始まった話が、そのまま本当の話になっていった。(Sonninen 氏)

Sonninen 氏は Rovio のカントリマネージャーを務めていたことから、グローバルなスタートアップの運営において、ローカルオフィスやカントリーマネージャーの役割や考え方を十分に理解している。その経験を糧として、今後は本社側から Beatrobo がグローバル展開をしていく上での戦略を打ち出したり、課題を解決したりすることに注力する。

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Beatrobo が考えるグローバル化とは何か

アメリカのミクスチャーバンド LINKIN PARK やロサンゼルスのクリエイティブ・シンクタンク Makeshop との提携、さらには、アメリカ法人も設立するなど、平均的なスタートアップに比べると、Beatrobo のグローバル化は一歩も二歩も先を行っているような気がする。

Beatrobo が考えるグローバル化とは何なのか。CEO の浅枝氏によれば、今日の正式発表の少し前から、Sonninen 氏が Beatrobo のオフィスに姿を表すようになり、Beatrobo の社風は変わりつつあるという。

Antti がジョインするのを契機に、社内の定例ミーティングを英語にした。最初は皆、まったく話せずに、必要な情報は伝えられないし、共有できないし、そもそも意味があるのか、っていう話になった。しかし、4週間やり続けたら、できるようになった。(浅枝氏)

浅枝氏はバイリンガルであり、Sonninen 氏もフィンランド語、英語、日本語などを巧みに操るマルチリンガルであるが、それだけでは会社はグローバルになれない。社員の全員が、世界中にいるユーザが欲しているものを理解できる必要があるからだ。

日本の企業では、本社の経営中枢はあくまで日本市場をベースに考えていて、海外市場を見ているのは、担当する専属部署であることがほとんどだ。この海外市場の部署は、ビジネス開発やシステム開発の部署で並列のポジションにあることが多いので、世界の顧客から届いた声を開発部門に直接フィードバックすることができない。本社の中枢トップがグローバルかどうかで、そのスタートアップがグローバルになれるかどうかが決まる。(浅枝氏)

一度、国内市場対応型の組織構成ができあがってしまうと、後からグローバル対応に変化させるのは難しい。国内の市場シェアをとらえてから、海外に出ることを意識するのでは遅きに失する。Movida Japan の孫泰蔵氏が「サービスは英語版から作るべし」と言っていたのは、まさにこのことなのだろう(Beatrobo は、Movida Japan の第4期インキュベーション・プログラムの卒業生である)。

グローバル化する上で、海外拠点を作るかどうかはまだ重要ではない。現在はチーム全員で7名だが、離れてプロダクトを開発する意味はまだ無いので、現在は皆、東京オフィスで仕事している。必要なときが来たら、オフィスの開設を検討することになるだろう。(浅枝氏)

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Sonninen 氏の参加を受けて、ハイヤリングを加速

これまで Beatrobo は、浅枝氏以外の社員5名はすべてエンジニアだった。Beatrobo くらいのスタートアップになれば、求められる機能に合わせて複数のポジションの人材が必要だろうが、敢えてエンジニア以外の人材は登用せず、すべての雑務を CEO である浅枝氏がこなしてきた。

サポートをする人を入れることもできたが、単に私の仕事を手伝ってもらうだけでなく、その人には気持ちよく仕事し続けてもらえる〝居場所〟を作らなければならない。それが難しかったため、これまで開発以外の業務は自分がこなしてきた。

Antti がジョインしたことで、私は組織のマネージメントやファシリテーション側に注力したい。そのような点においては、むしろ Antti がよく精通していて、私も Antti から学ぶことが多いだろう。(浅枝氏)

真にグローバルなスタートアップを作るために、今後は、日本人か外国人かを問わず、人材採用に注力するとのことだ。Sonninen 氏の参加でチームの体制が整うことになるため、Beatrobo はエンジニアのみならず、ビジネス開発や製品開発、インターンなどの募集も始めた。優秀なグローバル人材を集めることができれば、ソーシャル・ミュージック・プレーヤーの Beatrobo、コンテンツ連動ガジェット PlugAir に続く、三番目のプロダクトが陽の目を見る日も遠くないだろう。

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