オンラインにプライバシーをもたらすVPNアプリ「TunnelBear」

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Above: TunnelBear for Chrome Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat
上: Chrome用TunnelBear
Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

VPN(バーチャルプライベートネットワーク)は、オンラインでプライバシーを確保するためのツールの競争において、その重要度が増してきている。カナダに拠点を置くTunnelBearはクロスプラットフォーム型アプリで、利用者のロケーションと身元をウェブ上で保護することにここ数年開発に取り組んできた。

TunnelBearは本日、GoogleのChromeブラウザ向けに暗号化技術を発表した。新開発の軽量な拡張機能をChromeに追加することにより、一瞬のうちに匿名モードでブラウジングできるようになる。

Chrome用 TunnelBear
Chrome用 TunnelBear

厳密に言えば、Chrome用TunnelBearはVPNではなく、それに似た機能を持つものである。新しいChromeのアプリケーションは実は暗号化プロキシで、コンピューター上の行動全てを不可視化するというよりは、ブラウザ内の活動に限定されるということだ。よって単に暗号化技術によってコンピューター上から情報が流出することを防ぎ、インターネット上での全ての行動を保護したいという人にはTunnelBearのWindows/Mac用アプリケーションの方が向いている。

このTunnelBearによるChromeの新機能はGoogle Chromeブラウザの暗号化技術AES 128ビット暗号化方式が採用されているが、彼ら独自のVPN商品にはより強力な暗号化技術AES-256が採用されている。

TunnelBearとは

Mac、Windows、Android、iOSで利用可能なTunnelBearは最も簡単で使い勝手の良いVPN製品として、2011年の設立以来世界179ヶ国で500万以上ものユーザを獲得しその評価を高めてきた。

Android向けTunnelBear
Android向けTunnelBear

トロント拠点の同社は自己資金のみで設立され、現在18人の開発者やデザイナーがいる。同社がVentureBeatに語ったところによると、シンプルだが効果的なマネタイズおよびマーケティングによって利益を上げているという。

無料のプランではひと月500MBのデータ通信が利用可能であり、メールや一般的なウェブサイトの閲覧のみの利用であれば充分に楽しめる。だが動画を再生するとなれば45分ほどで使い切ってしまうだろう。

また、TunnelBearを宣伝する書き込みをツイートすることで1GB相当の追加データ通信を手に入れることができる。

真の匿名希望ネットユーザには、月額4ドル99セントで最大3つの端末でデータ通信が無制限に利用できるプランが用意されている。あるいは同じ内容を1年分44ドル99セントで購入することもでき、これではひと月あたり17%お得になる。

ではどのような人がTunnelBearを利用し、どのような使い方をしているのだろうか?

VPNをめぐる論争

人々がVPN機能を利用する目的の一つとして、アクセスが制限されたコンテンツの地域制限をくぐり抜けられるということが挙げられる。例えばアメリカ、あるいはフランスやジンバブエにいる人でもTunnelBearを使えばイギリスのオンラインテレビ視聴サービスBBC iPlayer(本来は英国内に住むBBC受信料支払い者のみが利用可能)を海外にいながら視聴することが可能になる。そのようなことが大手オンラインエンターテインメント会社の間に不安をもたらしている。

昨年は、VPN機能を使用してNetflixのコンテンツに米国外からアクセスしている人々に対して、料金を払っているとはいえNetflixはもっと厳しく対応するべきだとSonyが少々不満を抱いているかもしれないという問題が出てきた。

その後まもなくしてウェブサイトRedditで複数のVPNサービスが今後Netflixには効かなくなるという噂が浮上したものの、Netflixはそれまで行ってきたVPN機能の使用や似たような方法でサービスにアクセスしている人々を取り締まる対策に変化はないと否定した

Netflixユーザは、利用条件に基づけばそれぞれの地域で公開されたコンテンツのみが視聴可能であるが、VPN機能の使用自体は違法ではないという見方が一般的に受け入れられている。とはいえ、ユーザがVPN機能を使ってアクセスしている疑いがある場合には、Netflixはそのユーザのアカウントの使用を停止させる権利を有している可能性もある。

VentureBeatとのインタビューの中で、TunnelBearの共同設立者であるRyan Dochuk氏は、VPNサービスに関してハリウッドその他のところからいかなる圧力も警告も受けたことはないとコメントしている。「TunnelBearに関してネガティブなフィードバックを受けたことはありません。それはTunnelBearが重視していたことではありませんでした。コンテンツプロバイダから連絡を受けたこともないです」と、彼は述べている。

彼によると同社はTunnelBearの用途を積極的にモニターしているわけではないが、ユーザからのフィードバックを引用しつつTunnelBearの主たるユースケースはプライバシー関連であるという。 「TunnelBearをTwitter、Facebook、YouTubeなどのサービスにつなげるために使用しているユーザは、検閲が行われている国に多くいます」と、彼は付け加えた。

これが重要なポイントだ。厳格な政治体制下にあり、オンラインサービスへのアクセスが日常的にブロックされている人にとって、VPNは欠かせないツールである。例えば、昨年トルコでは政府による汚職の疑惑がソーシャルネットワーク上で広がったためTwitterが禁止された。その結果として、VPNへの接続は急騰した。

マーケット

TunnelBearはオンライン時のロケーションや身元を保護するツールを豊富に用意しており、競争の激しさを増す市場で運営されている。最もよく知られるVPNプロバイダはHotspot Shieldであるが、無料版は広告収入に支えられている上ブラウザ対応版がない。

TunnelBearではそういったトンネルをくぐり抜けてカナダ、米国、英国、ドイツ、日本、フランス、オランダ、イタリア、アイルランド、スウェーデン、スイス、スペイン、シンガポールやオーストラリアなど、様々なところへ飛ぶことができるが、Hotspot Shieldでは米国、英国、オーストラリア、日本、カナダ、香港、中国、インドおよびドイツに限られる。

その他ベルリンを拠点としたスタートアップのZenmateがあり、これまでになかったブラウザ対応のみのサービス(主なブラウザすべてに対応したVPN機能をプラグインとしてパッケージしたようなサービス)を他社との主な差別化要素としている。

ブラウザの拡張機能をリリースしたTunnelBearは、今や世界の中でも最良のサービスを提供していると考えられる。Chrome上で常にアクティブな状態にしておいてネットでの行動を保護しつつも、PC中心のオンラインアクティビティは通常のまま。こうすることで、VPNの設定を切り替える必要がなくなる。

上: TunnelBear for Chrome Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat
上: TunnelBear for Chrome
Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

TunnelBearのもう一つの武器は、アプリ全体を通じて登場するクマのキャラクターかもしれない。どこかのパクリだと言う人もいるかもしれないが、楽しいし、初めてVPNを経験する人も肩ひじ張らないで済むかもしれない。

「世間にはたくさんのVPNサービスがありますが、彼らは技術系ユーザをターゲットにする傾向があります」とDochuk氏は説明した。「私たちのアプリは常に、私たちのサービスを楽しく、シンプルに、そしてどんな人も利用しやすいようにすることだけに焦点を当ててきました。要は、普通の人にVPNの恩恵を開放するということです。」

ブラウザがLinuxやChromebooksで利用可能であることを考えれば、Chromeへの登場は、TunnelBearが同技術をさらに多くのプラットフォームにもたらすということでもある。同社は、将来的にはSafariやFirefoxなどさらに多くのブラウザに対応する計画があると語った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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