AOLが米ベライゾン傘下に、ハフィントンポストはスピンアウトの噂も

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Verizon by Mike Mozart, on Flickr

<ピックアップ>Verizon Buys AOL for $4.4 Billion

米メディアのニュースはこの話題で溢れてましたね。

ニュースの発端はAOLのCEO、Tim Armstrong氏が従業員に宛てたメモで、米通信キャリアのベライゾンが1株あたり50ドル、総額44億ドル(120円換算で約5280億円)でAOLを買収するというものです。※TechCrunch Japanに日本語の翻訳が出てましたのでこちらも合わせてどうぞ。

気になるのは米ベライゾンという通信キャリアがなぜメディア会社を購入するのか、という点ですが、ここはBusiness Insiderの記事でまとめられてる5つのポイントというのが理解しやすそうです。まとめると、今回の連合でベライゾンは15億台のPCやTV、モバイルデバイスを通じて70%のネットトラフィックにリーチすることができ、また、ベライゾンの強みであるモバイルとモバイルビデオ、AOLの強みである広告の組み合わせで強力なプラットフォームが構築できる、というものです。

以前AOL傘下のTechCrunchで共同編集長を務めていたErick Schonfeld氏が「モバイルビデオ」と一言ツイートしていたのが印象的でした。

AOLの広告ビジネスやモバイル動画との相性はよくわかりましたがもう一つ、AOLには気になる資産があります。そう、ハフィントンポストを始めとするメディア群です。この件については大きく分けてハフィントンポストとTechCrunch/Engadgetなどのテクノロジー系メディアで状況が分かれるようです。

まず、ハフィントンポストについてはRe/codeのKara Swisher女史が早くも関係者筋の情報として伝えている通り、スピンアウトの話があるようです。ドイツのAxel Springerが有力候補らしく、AOLが買収した際の3倍近く、10億ドル以上の評価額という具体的な数字も出てきていました。また、完全な売却ではなく、共同でのジョイントベンチャーを立ち上げるなどいくつかシナリオがあるとも伝えています。

次にTechCrunchとEngadgetなどのテクノロジー系メディアですが、こちらは早々とTim Armstrong氏自らTCのインタビューに答える形で、継続することを明言しています。ただ、身売りはないものの、競合でもあり、長年同じ取材現場を共にしてきた他のメディアがある懸念を表明しています。

参考記事:Verizon’s deal to buy AOL will make life uncomfortable for TechCrunch and Engadget

というのも、ベライゾンは過去、自前でテクノロジーメディア「Sugarstring」を立ち上げ、シャットダウンした過去を持つからです。詳細はこちらの記事をご覧いただきたいのですが、エドワードスノーデン氏に端を発した米国のスパイ問題やネット中立性などに関連した話題を書くなと契約ライターに約束させようとし、それが公になったという経緯があったようです。

こういうこともあって、例えばTHE NEXT WEBなんかはハッキリとTechCrunchとEngadgetを名指しして売却後、彼らはやりにくくなるだろうと指摘しています。ジャーナリズムが徹底している米国ならではの話かもしれません。

またRe/codeにはこういった傘下メディアのスピンアウトが噂される背景としては、Business InsiderやBuzzFeedなど、新興勢力の追い上げに対するよりアグレッシブな追加投資の必要性が書かれていました。確かにハフィントンポストやTechCrunchは一時代を築き上げ、現在もこのネットメディアカテゴリのトップブランドを保っていますが、最近のNowThisのような分散型コンテンツメディアなどの出現に柔軟に対応しようと思うと、まだまだ改革の余地が大きいのだと思います。

なお、この話題はあくまで「米国」のものです。日本法人については各紙それぞれ何らかの発表をするのではないでしょうか。

via Re/code

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