スタートアップがデザインやマーケティングを考えるのはどのぐらいのタイミングからなのだろうか。
誰もがまずは自分の仮説を小さなプロダクト(それはもしかしたら製品と呼べるものじゃないかもしれない)に表現して、知人や友人数人に試すことから始めるだろう。
このアイデアはあなたの欲しいものなのか?
MVP(Minimum Viable Product)を何度も試作し、ある日、その仮説がマーケットに対して入り込めるものだと確信が持てたら、そこからしこしこと形あるプロダクトに仕上げていく。まあ、スタートアップの教科書的な情報を漁っていればこのぐらいの話は想像がつきやすい。
問題はここから先だ。初期プロダクトは手作りで知人や友人に試してもらったとしても、それを全てのユーザーに依頼することはできない。この時に考えなければならないのが「プロダクトの自立」だ。
Dropboxの初期ユーザー獲得の逸話はご存知の方も多いだろう。ユーザーを紹介してくれれば500MBのスペースを提供する、このバイラルの仕組みは彼らの初期成長を大いに促進させた。まさにプロダクトが「自走」して成長していく好例と言える。
では、プロダクトを「自走可能に」成長させるためには何をしたらいいのだろうか?
ーーちょっと前置きが長くなったが、それを教えてくれるよいきっかけになりそうなイベント・プログラムが開催される。
HEART CATCH2015はスタートアップを「デザインやマーケティング」というアプローチで自走可能な成長企業に押し上げようというメンタリング・プログラムで、その最初の成果発表会を12月12日に開催する。
ステージでは上記の5社のスタートアップたちが、2カ月のメンタリングプログラムの成果を披露してくれることになっている。主催するHEART CATCH事務局の西村真里子さんの話では、オンラインマーケティングやデザインに関わる人たちが多数参加するということだった。
スマホ家庭教師、マナボの課題

では、当日のイベントではどういうプログラムが披露されるのだろうか?例えば、プログラムに参加したスマホ家庭教師「マナボ」では、2カ月のメンタリングで、マーケティングに関する課題を抽出し、その改善結果を当日に披露することになっている。
いわばプロダクト改善のビフォーアフターだ。
マナボ取締役でCTOの山下大介氏はサービスが成長する中で、将来像や直近の課題は共有できていたものの、その道筋がチーム内でバラバラだったと問題点を話す。
「直近では契約ユーザが増えて来たこともあり、社内には漠然としたユーザ像があり、なんとなく地方のユーザの方がニーズが強そうという印象がありました。しかし、社内にマーケティングができる人材がいなかった事もあり、そのユーザ像が正しいのか、本当に地方を攻めるのが事業的に良いのかという判断が誰にもできない状態でした」(山下氏)。
結果的に山積した課題を目の前に、不具合の解消やKPIの改善が優先されるという「よくありがちな」風景が広がり、急ぎの場合はエンジニアが自身でUI/UXを決定することも日常だったそうだ。

これに対してメンターを務めたのが、THE GUILD, Art & Mobile代表の深津貴之氏とBloom & Co.代表取締役の彌野泰弘氏だ。
深津氏はマナボの課題を「(プロダクトの)manaboは機能やデザインが『ついてる』という段階にすぎず、『全体メッセージに沿っているか』『使われるのか』『それがどう戦略に寄与するのか』に届いていない状態だった」と振り返る。
「デザインがマーケティングや施策を決定する上位レイヤーから、ちゃんと入って「何がどういう意図で行われるのか?」を理解していきました。また、メンタリング期間中の方針は、 グラフィックや演出はおいておいて、「何がどういう理由で行われているか」を理解して、「それを実現するために、何かを作る」ということを徹底することを心がけました。単に作るのではなく、常に複数パターンを作って、長所短所を比較することをメインに進めていきましたね」(深津氏)。
彌野氏のメンタリングでは「会社の中で合意されたコンセプトがなかった」ことを課題と考え、CXOやコアメンバーに質問する形式で、「マナボとは何か?」を可視化していくプロセスをとったという。
「会社の中期ビジョンからターゲットコンセプト・プランを考えることを目的に、一貫性と必然性をもったマーケティング戦略とプランを考えました。この戦略を具現化しお客様に届けるために大切なデザイン、UI/UXはマーケティング戦略を元に0から再構築しイベント当日にお披露目する予定です」(彌野氏)。
デザインとマーケティングに関する二人のメンタリングでマナボはどう変わるのか。その結果は12日のイベントでお披露目されることになっている。私たちTHE BRIDGEもメディアパートナーとして当日取材に参加する予定だ。(参加チケットはこちらから)
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