本稿は、タイ・バンコクを拠点に活動する神谷和輝(かみや・かずき)氏による寄稿である。神谷氏が「B Search News」に掲載した記事に、編集部が一部加筆修正した。
神谷氏は、2014年にタイ法人 HUBASIA CO., LTD. を設立し、タイを拠点に翻訳・通訳のクラウドソーシング事業を展開。2016年6月にはタイのビジネスポータルサイト「Bsearch」をリリースしている。
なお、本文中の写真はいずれも、写真家の田中文章氏によるもの。
9日、新産業を担う日タイのスタートアップと政府、大企業との連携を促進するため、官民連携促進団体日タイイノベーションサポートネットワーク(以下:JTIS)が発足した。両国のスタートアップ10社が参画し、タイトヨタやタイの素材最大手 Siam Cement Group (SCG) など両国の 大手企業20社以上が名を連ねた。
タイ政府は経済成長のためスタートアップ支援が不可欠だとしており、国内全域でイベントを行ったり、数百億バーツのファンドを形成したりするなど活発な動きをみせている。同国の意向を支援するため、経済産業省と在タイ日本大使館は先ごろ、タイのスタートアップと日タイ大企業を繋ぐイベント Embassy Pitch を開催した。
Embassy Pitchに出席した、タイ科学技術省大臣を務める Pichet Durongkaveroj 氏は、同イベント後にソーシャルメディア上で感想を述べた。
私と佐渡島大使は「イノベーション」こそがタイの経済成長を導くことができるという考えで一致している。スタートアップと大手企業を繋ぐことで、タイは 経済成長を続けていくことができるだろう。
同イベントについて「賞賛すべきイベントだった」として、同氏は 9日の JTIS 発足にも駆けつけた。
JTIS は Omise 代表の長谷川潤氏が理事長を務め、タイスタートアップの成長を支援する場作り、規制緩和や法整備を政府に提言する役割を担っていく。
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同日、日本の世耕経産大臣、タイ科学技術大臣 Durongkaveroj 氏、佐渡島大使の立会いのもと、タイ最大のスタートアップ協会である TTSA との覚書署名式が催され、協力関係が締結された。
また、署名式の前には世耕経産大臣とタイで活動する日本人起業家が直接意見交換する場が設けられ、起業家らから大臣へタイのスタートアップ環境に関する現状説明、規制緩和や支援策における要望が伝えられた。
大臣も起業家らへ積極的に質問するとともに、日本の大企業・スタートアップが海外に出てくることを政府として後押しすることが国益に繋がるといった認識を伝え、起業家らを激励した。
JTIS では次回の Embassy Pitch 開催に向けた両国大企業・スタートアップへの呼びかけを強化し、広く協力関係を募っていく意向だ。
<JTIS 概要>
- 理事長:長谷川潤氏(Omise)
- 理 事:若井伸介氏(BuzzCommerce)、岡本博之氏(Withfluence)
- 事務局:事務局長氏 越陽二郎(TalentEx)、神谷和輝氏(HubAsia)
<JTIS 事務局>
- 事務局長:越陽二郎氏(TalentEx)
- 事務局次長:神谷和輝氏(HubAsia)
<加盟スタートアップ>
- 日本スタートアップ:Omise、BuzzCommerce、Withfluence、TalnetEx、HubAsia ほか
- タイスタートアップ:Drivebot、Anywhere 2 Go、Siamsquared Technologies ほか
<サポート企業・団体>
- 日本企業:トヨタ、ホンダ、日産、三菱電機、シャープ、dmLab(電通メディアラボラトリ)、パナソニック、NTT コミュニケーションズ、富士フイルム、三井物産、伊藤忠、住友商事、野村総合研究所、アビームコンサルティングほか
- タイ企業:Siam Cement Group (SCG)、ThaiBev、Saha Group、AIS、TRUE、Singha Group、Amata Group、Charoen Pokphand Group ほか
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