7,400万DAU・平均滞在時間76分/日を誇るニュースアプリ「Toutiao(今日頭条)」は、来年にも日本市場を動画アプリで攻める #IVS16F

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左から:Infinity Venture Partners 共同代表パートナー 田中章雄氏、ByteDance(字節跳動)副総経理 Josh Liu 氏

本稿は、12月6日〜7日、京都で開催されている Infinity Ventures Summit 2016 Fall の取材の一部である。

<12月21日更新:主催者依頼により、写真の一部を加工しました。>

先月、Wall Street Journal に、目を見張る記事が掲載された。創業からまだ4年しか経たない、中国のニュースキュレーションアプリ「Toutiao(今日頭条、簡体字では〝今日头条〟)」を経営する ByteDance(字節跳動)が、IPO を前に100億ドル(約1兆1,400億円)のバリュエーションで資金を調達しているという。

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12月6日〜7日、京都で開催されている Infinity Ventures Summit(IVS)の冒頭、Toutiao の Global Operations を統括する副総経理の Josh Liu 氏が登壇した。モデレータは、Infinity Venture Partners の共同代表パートナーの田中章雄氏が務めた。

日本や世界を代表するニュースキュレーションアプリとも、その規模で溝を開ける Toutiao の凄さは数字で見ると明らかだ。

  • 1日あたりの利用者数 7,400万人
  • 1日の1人当たり平均利用時間 76分以上
  • 1日に Toutiao 上で読まれる記事数の総和 13億本
  • 1日に Toutiao 上で再生されるビデオの再生数の総和 15億回
  • コンテンツを作成するクリエイター(=Toutiaohao/頭条号 or 头条号)の人数 30万人
  • Toutiaohao によって、1日にパブリッシュされる記事やビデオの本数 15万件
    (Toutiao 上でパブリッシュされるコンテンツのうち、90% が Toutiaohao が制作したもの)
  • コンテンツ供給を受けるメディアパートナーの数 1万社
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AppAnnie では、無料アプリ、有料アプリ、売上のすべてのランキングにおいて、中国で2位の座につけている。

Toutiao を Toutiao せしめているのは、何も書き手やニュースの数の多さだけではない。徹底的なアルゴリズム分析によるパーソナライゼーションがカギだ。現在、約2,500人いる Toutiao の全社員のうち実に約1,500人がエンジニア、そのうちの半数を超える約800人がデータサイエンティストやアルゴリズム解析に従事する人々ということからもわかるだろう。

Toutiaohao(頭条号、簡体字では头条号)と呼ばれるクリエイターの多くは、それまで伝統的なメディアで仕事してきた、プロのライターや動画のプロデューサーなど。彼らは、コンテンツ制作のスキルを引っさげて、従来の職業よりも稼げる新興メディアへと転向してきた人々だ。Toutiao クオリティの高いコンテンツを創出するトップティアのクリエイターには最低限の支払金額を保証しているが、トップティアのクリエイターだけを贔屓したいわけではないという。

いろんな種類のクリエイターを Toutiao のプラットフォームに招いているのは、人々がニュースだけではなく、知識を得る場所として捉えてくれているからだ。(中略)

Toutiao の肝はパーソナリゼーション。ユーザがどのような記事を好んでいるかを分析しているので、(トップティアの)よく読まれる記事だけを提供したいわけではない。

アルゴリズムとエモーションで世界を制覇

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北京にある ByteDance(字節跳動)の本社ビル。以前は、航空機の博物館だったという。
2016年8月、北京で池田将撮影。

Toutiao 運営会社の ByteDance は設立以来、2012年にシリーズAラウンド、2013年にシリーズBラウンド、2014年にシリーズCラウンドと順調に資金調達を連ねてきた。Byte + Dance(中国語では、字節 + 跳動)という社名には、ニュースカンパニーというだけでもなければ、テクノロジーカンパニーというだけでもない、アルゴリズムとエモーションの両方を兼ね備えた会社という思いが込められているという。

Toutiao は主に中国国内をターゲットとしているが、ByteDance は今年10月にはインドのニュースアプリ「Dailyhunt」を買収したのをはじめ、グローバル向けには「TopBuzz」というアプリを、中国に加え、アメリカとブラジルでローンチしており、英語とポルトガル語で利用できる。

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田中氏が日本への進出計画について尋ねたところ、Liu 氏が具体策については語らないまでも、世界の他の地域とは異なる戦略をとることを明らかにした。

日本はタフな市場だ。すでにローカルのプレーヤーもいるので、異なる方法で進出しようと考えている。それは動画を使ったものだ。動画を取り入れることで、我々は日本の市場でより早く立ち上がることができるだろう。

ニュースアプリ(Toutiao)と(これから日本に進出する)動画アプリで戦略が異なる可能性はあるが、Liu 氏によれば、Toutiao では広告(主にネイティブ広告)から得られる収入の、実に15%をコンテンツクリエイターに還元しているそうで、それが腕のいいクリエイターを集め、コンテンツ品質の向上に大きく寄与しているようだ。

折しも日本では、キュレーションメディアの品質低下が議論を呼んでいるが、来年の今頃は、ByteDance は日本のウェブメディアのランドスケープを変えているかもしれない。

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北京にある ByteDance(字節跳動)の本社ビルの受付
2016年8月、北京で池田将撮影

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