Skyland Venturesのインキュベーションプログラム「WAVE」輩出の4チームら、3ヶ月間の成果を披露

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Skyland Ventures は、今夏からシードスタートアップ創出のためのインキュベーションプログラム「WAVE」を開始している。6月〜8月に実施された初回バッチには3チームが参加し、11日にはその成果を披露するデモデイが開催された。なお、WAVE は以前、シードスタートアップを集めるイニシアティブとして4月5日にイベントを開催したことがあるため、WAVE としては2回目、インキュベーションプログラムの WAVE としては、今回が初のデモデイとなる。

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デモデイでは、3ヶ月間のプログラムを経た成果を披露する WAVE 輩出のスタートアップ3チームに加え、East Ventures 紹介の1チームが登壇した。会場で披露されたピッチには、今後のフォローオン投資を検討する投資家のほか、メディアや起業家など数十名が集まった。本稿では、登壇した4チームのサービスやビジネスモデルなどを簡単にまとめてみた。

Aidemy(アイデミー) by Aidemy

Aidemy(アイデミー) は、人工知能のプロフェッショナルになりたい、マーケティング担当者のための学習プラットフォームだ。オリジナルコンテンツによるオンラインプログラミング講座を月額9,800円から提供する。

データ解析に適したパソコンを持っていないユーザや、プログラミングを始める以前に環境構築に不慣れなユーザにも気軽に参加してもらえるよう、Microsoft Azure ベースで市価100万円程度の PC と同等の解析環境を web ブラウザ経由で提供しているのが特徴。オリジナルの演習コンテンツは現在40種類、毎日6時間は Aidemy 在籍の人工知能エンジニアが講師として質問や答案添削に対応する。

5月29日から月に2回程度、半日コースの機械学習勉強会を開催しているほか、今月11日から4ヶ月間限定で「オンライン家庭教師 Aidemy(ベータベータ)」を月額10万円程度で提供開始、さらにこれをオンライン添削ゼミとしてパッケージ化し、来年1月くらいから月額1万円くらいで提供したいとしている。ベンチマークは、今年 Google に買収された Kaggle。Aidemy では将来、日本の内外10万人程度をユーザとして確保したいとしている。

Aidemy では目下の第1期で10名程度への限定リリースを予定しており その後、9月〜10月には「オンライン家庭教師 Aidemmy」を30名程度に限定リリースし(既に6名ほど受講開始しているとのこと)PMF 検証の予定。検証完了後、1億円程度を資金調達し、オンラインコンテンツの開発に注力したいとしている。

カケコム by ST Booking

アジアから日本への留学支援プラットフォームを運営していた ST Booking が、ピボットして新しく始めたのが「カケコム」。離婚調停をはじめ身近な問題で弁護士に相談できるモバイルサービスだ。日本では、年間350万件以上のトラブルが弁護士によって受任されているが、反面、身近に頼れる弁護士がいない消費者にとっては、トラブルが生じたときに誰に相談すればいいのかわからない、知り合いに相談しにくいなどの問題が生じる。カケコムは、このような消費者に弁護士への相談窓口を提供してくれる。

特徴としては、1. 手軽にスマートフォンで利用できる、2. 最短30分で見積ができ、チャットで相談できる、3. カケコムの認定弁護士が回答してくれる、4. 離婚問題に強い、という4点を挙げている。離婚問題の解決方法は、ある程度、対応手順がパターン化されているため、弁護士には効率的に対応がしやすいという副次的なメリットもある。日本における弁護士の人数は直近の15年間で約2倍に増加しており、今後15年間でさらに倍増する見込みで、この市場の活性化が期待される。

カケコムのビジネスモデルは、弁護士(将来的には、税理士・司法書士・行政書士などにも門戸を開放するようだ)から月額3万円のプラットフォーム利用料を徴収するというシンプルなものだが、弁護士50人にヒアリングしたところ、2ヶ月に1件以上の受任につながるならば月額3万円は安いと、6割以上の弁護士が回答しているそうだ。カケコムは9月11日にβ版をローンチ、2019年には(弁護士などの)有料会員2,000人の登録を目指す。ST Booking は2016年5月、BEENEXTからシードラウンドで20万ドルを調達している。

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GLIT(グリット)by Carat

Tinder が生み出した、スマートフォンの画面を左・右にスワイプするだけでユーザの好みを学習し、よりパーソナライズされたレコメンデーションをしてくれるという UX が、ついに職探しの分野にも取り入れ始められたようだ。「GLIT(グリット)」 では複数の転職サイトから転職案件をアグリゲーション、アプリが学習したユーザ嗜好に応じて案件をレコメンドしてくれる AI 給食アプリだ。Facebook ログインだけで使える手軽さ、スマートフォンのみで完結できる仕様から、積極的な転職活動者のみならず、潜在転職者層にもアプローチできるのが特長。

(成功報酬型ではない)SaaS 形式のビジネスモデルを取っており、GLIT を使って潜在転職者にアプローチしたい企業が3万円/月、または、5万円/月を支払う。料金はアプローチ可能な人材層によって異なるようだ。ここで少しわかりにくいのは、転職サイトなどに掲載された転職情報がアグリゲート対象であるのにもかかわらず、転職者を募集する企業から料金を徴収している点だ。GLIT が転職サイトにユーザトラフィックを誘導することでアフィリエイト課金することもできるだろうし、ビズリーチのように潜在転職者に課金するようなやり方もある。このあたりのビジネスモデルは、GLIT が正式リリースを迎える9月末にはクリアになるかもしれない。

Carat は2016年12月、アプリケーションテスト大手 SHIFT(東証:3697)出身の松本直樹氏(CEO)と斎藤陽介氏(CTO)により共同創業(このとき、Carat 共同創業に参加した吉崎亮介氏は、Carat の別プロジェクトであった事業をスピンアウトし、キカガクを創業している)。2017年6月に、Skyland Ventures と個人投資家1名から資金調達を実施している(調達額と個人投資家の氏名は非開示)。

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Flamingo(フラミンゴ)by Flamingo

外国語の先生を探し、レッスンの予約ができる C2C アプリだ。英会話を始めとする外国語習得においてはレッスンの継続が肝要だが、多くの人々が一定の習得レベルに達するまでにレッスンをさぼったり、やめてしまったりする。「Flamingo(フラミンゴ)」 では、生徒が相性のいい講師に出会う機会を作り出すことにフォーカスしており、講師が Flamingo に登録する際には Flamingo が(ビザの目視など)本人情報の確認を実施するほか、他ユーザのレビューをはじめとするプロフィールの充実、Flamingo の担当スタッフによるサポートなどで、ユーザに講師を選択しやすい環境を提供する。

昨年10月に東京でリリースした Flamingo(それ以前は、創業者の金村容典氏の活動拠点だった関西を中心にβ版を展開していた)は、8月の段階で講師〜生徒間の累計マッチング数が3万回を突破、講師のコミュニティにおけるネットワーク効果で登録講師数が1,000人以上に達しているという。将来的には、Flamingo 独自の仕組みにより、生徒に対してスコアリング機能などを実装したいとしている。

Flamingo は2016年4月、East Ventures のリードにより、DeNA や家入一真氏が率いる partyfactory から資金を調達。2017年6月に、メルカリ、佐藤裕介氏(フリークアウト代表取締役)、和田修一氏(元 nanapi 取締役)、家入一真氏らから新たな資金を調達している。いずれの調達についても、調達金額や調達ラウンドについては開示されていない。

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