中国のソーシャルEC大手Pinduoduo(拼多多)、割引プロモーションとマーケティングにいつまでキャッシュを燃やし続けられるか?

by TechNode TechNode on 2019.4.8

Pinduoduo(拼多多)
Image credit: Pinduoduo(拼多多)

Pinduoduo(拼多多)が急成長を見せているが、そのためにキャッシュを燃焼させている。同社はこのままそれを続けられるのだろうか?

同社は、JD.com(京東)に比べてアクティブな購買者が年間1億1,300万人多く、昨年6.52倍収益を増加させた。ところが収益以上の額を、割引プロモーションを含め、販売とマーケティングに費やした。販売およびマーケティングのための出費は、昨年収益の増加率よりも多い9倍の増加率を見せた。

重要な問題は、Pinduoduo が出費を賄うための十分な現金を得ているのかということだ。これはフリーキャッシュフロー(FCF)と呼ばれる数値によって測られる。フリーキャッシュフローとは、生み出された現金のうち、企業が何でも望む目的のために自由に使える現金額のことだ。

もし Pinduoduo の FCF が正の値なら、同社は成長のための出費を続けられるだろうし、さらに大きな企業になることができるだろう。反対にもし FCF が負の値なら、成長計画は同社の現金持ち高にあまりにも無理を強いることになり、最終的には失敗するだろう。簡単に言えば、リスクが高い。

Pinduoduo は2018年の経営結果を3月13日に発表した。それによると一見、同社は莫大な現金を生み出しているように見える。「営業活動によって得られた純現金額」は77億人民元(約1,280億円)以上だった。
Pinduoduo-condensed-consolidated-statements-of-cash-flows.png
しかし、ここでちょっと待たないといけない。同社はこの額に制限付預金も含めているのだ。制限付預金は、企業が自由に使うことができないため FCF に含めることはできない。

Pinduoduo の直近のプレスリリースには、営業活動によって得られた純現金額の内訳が書かれていないため、2018年6月29日にまとめられたフォーム F-1を振り返る必要がある。この書類では、営業資金と債務における3つの大きな変化を見ることができる。制限付預金、マーチャント(店舗)への支払金、そしてマーチャント・デポジットの3つだ。
Pinduoduo-Changes-in-operating-assets-and-liabilitiesこれらはどういうものだろうか。そして、そのうち Pinduoduo はどれほどを自由に使うことができるのだろうか。同社の IPO 目論見書に含まれる「注記2:重要な経理ポリシーの要約」によると、「制限付預金とは、消費者から得られた現金で、マーチャントへの支払いのために、銀行監督下の口座に貯蓄されたものをいう。」制限付預金は自由に使用することはできないため、FCF からは除外されなければならない。

マーチャントに対する支払金は、顧客が製品を注文し、代金を支払い、現金が口座に入って、マーチャントに支払われるのを待っている段階になったときに発生するようだ。同社のマーチャント用 FAQ サイトによると、マーチャントへの払い出しは通常要請があってから2~4日以内に行われるという。ちょうど上述の制限付預金の定義が当てはまっている。

マーチャントへの支払金は Pinduoduo のマーケットプレイス上での取引額を反映しているのであって、同社の収益に寄与するものではないことを指摘しておきたい。同社の収益はオンラインマーケティングサービスと取引の委託から成り立っている。マーチャントへの支払金は、彼らの「GMV(総流通総額)」の機能を果たすものだ。GMV は、他のプラットフォームも報告している総流通総額 Gross Merchandise Volume の略語だが、非標準的な方法で計算されている。その方法とは、「製品やサービスが実際に販売されたのか、配達されたのか、それとも返品されたのかに関わらず」すべての注文を含むものであり、多額の配送料を含む可能性が高い。Pinduoduo は、GMV の語が何の略語かも示していない。

マーチャント・デポジットは、マーチャント用 FAQ サイトによれば、個人あるいは企業の口座に必要なもので、お金を引き出す機能など「無料の」マーチャント口座にかかる制限を解除するために必要なものだ。デポジットは、マーチャントがバーチャルショップを閉店するとマーチャントに返金される。
PDD-flow-chart.png読者は、自転車レンタルの Ofo に起きた事件に馴染みがあるかもしれない。同企業が顧客のデポジット管理を誤った疑いが生じたときのことである。1,000万人のユーザが払い戻しを申請し、同社の CEO は政府のブラックリストに載ってしまった

ここに大きな問いがある。マーチャントへの支払金とマーチャント・デポジットの中に、Pinduoduo が自由に使えるお金はどれほど含まれているのだろうかという問いだ。

今日の時点で入手可能な書類を読んだことに基づく筆者の意見は次のようなものだ。マーチャントへの支払金は制限付預金であり、マーチャントデポジットは、もし短期間に要請が押し寄せなければ、50%ほどは自由に利用可能でありうる。

そして、Pinduoduo の FCF を慎重に計算すると次のようになるだろう。
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Pinduoduo は、プロモーション、宣伝、オンライン・オフラインマーケティングなどに出費することにより、マーケットプレイスを成長させることができることを示してきた。もし同社の FCF が正の値だったら、素晴らしい。成長し続ければよい。しかし、正の値でないのなら戦略変更が必要になるだろう。成長のための出費を控えざるを得なくなり、成長が平たんになる、もっと悪ければ後退してしまうことにもなるからだ。最悪の場合、もし「制限付預金」の口座を自由に使える現金として使っているとしたら、マーチャントがデポジットの返金を求め、マーチャントへの支払金は減少し、取り付け騒ぎ状態に陥ってしまうだろう。

筆者の意見を改めさせるものがあるとすれば何か?それは、マーチャントへの支払金とマーチャント・デポジットの正体に関してもっと明確にし、もっと情報公開することだ。これらの口座はどの程度制限がかかっているのだろうか。Pinduoduo は数週間後にフォーム20-F をまとめる予定で、そこで現金にかかる制限の正体について明かすことが求められることになる。かたずをのんで待とう。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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